清水戦~監督の功績

2018年5月2日 サンフレッチェ広島 vs 清水エスパルス エディオンスタジアム広島

 ついに訪れた。ヤン・ヨンソン率いる清水との対戦である。昨シーズンの降格危機を救ってくれた恩人でありながらその後あっさりと契約更新しなかったのは意外だった。そしてその後任が城福監督というのはもっと意外だった。そしてその残留への功績を買われて清水に就任したというのも驚きではあった。
 札幌監督のミシャ、名古屋の風間監督、長崎の高木監督、そして今回のヨンソン監督。それぞれサンフレッチェの功労者でありながら敵として迎えなきゃいけないというのは感慨深いものがある。何気にサンフレッチェは日本サッカー界の中に影響を与えてると言っていい。
 試合前のピッチの上ではヨンソン監督に挨拶をする選手の姿もあった。雨の降る中照明の光には雨足がくっきりと認識できるのだった。
 スリッピーなグラウンドであることが予測できた。試合はロングボールの応酬になることが予想された。が、その割には両者つないでの展開をしてきてきたと思いきや清水は遠目からでもグラウンダーのシュートで狙ってきた。ツーッと滑るピッチにボールが伸びる。危うくゴールに入るのではという恐怖を感じるもGK林は堅実に処理していくのだった。
 そんな清水に対し前線からプレッシャーを与えて自由を奪っていく。わずかな隙をみつけて巧みにかわす清水。だがそのパスの出所を青山が予測していた。パスカットからDFの間を通すスルーパス。抜け出した柴崎がゴール前に送るとGKがクリアで対処。だがその前にはディフェンダーと競りながらパトリックが詰めていて当たった。パトリックの脚で跳ね返りそのままゴールに入ったのだった。
 入った。もしかしてディフェンダーのオウンゴールか?パトリックがゴールパフォーマンスのマシンガンポーズを取ってるからパトリックなんだろう。いや、どっちでもいい。とにかく決まった。先制点が決まったのだ。
 幸先良い出足に柏が左サイドからドリブルで翻弄する。ゴール前を固められた状態での2人、3人とかわすドリブルは膠着状態を打開させる。縦へ抜けるとファールを受けFKがもらえる。惜しむらくはクロスを送ってもことごとく工藤やパトリックのシュートにつながらないとこだった。
 そんな柏とは逆サイドの右サイドからボールが運ばれる。和田のオーバーラップ。そこから数人のパス交換により逆サイドに振られた。ぽっかり空いたスペースに柏が受けると左SB佐々木がオーバーラップ。中に切り込む、そしてキック。スワーヴの掛かったそのボールはクロスかと思いきやそのままゴールの中に吸い込まれていった。
 カシワ、カシワ、カシワーッ!
 柏の今シーズンの初ゴール。それは後半という時間帯もあってかなり有利になるゴールだった。
キレのあるドリブルで何度もチャンスを演出した柏。能力はあるものの今一つその実力を認知されてない気がする。その理由はゴールが少ないせいだろう。ゴールを決めれば少なくとも得点者のとこに名前が載る。名前が出れば注目する人が増える。そういったとこから知名度は上がっていくのだろう。残念なことにドリブルで何度突破しても世間は注目してくれないのだった。
 その後は工藤、水本、柏と交代をしていき更にたたみかけるのかと思いきや一方的に攻められるだけになった。クリアしても前線に味方がいないのでマーボールにならない。例え収めてもボールの出し所がない。選手の配置が後ろに下がっているのでしょうがない。そんな中でもパトリックは全速力で走って相手のプレッシャーを怠らないのだった。
とはいえもはや無理に攻め上がらないというように見えなくもなかった。選手交代も連戦を考慮してのものだろう。交代で入った川辺や吉野にしてみればもっとアピールしたいもどかしさがあるかもしれない。それでもチームの置かれた状況に同化しているのだった。
際どい場面がなかった訳ではない。シュートも何本か打たれた。それでもそれぞれがそれぞれのカバーをして乗り切った。今期9試合目の無失点、2−0で乗り切ったのだった。
90分を通して攻める時と守る時のメリハリが効いてる。まるで最初からそのようなストーリーが敷かれてたかのように。いっぱいいっぱいの中たまたま勝ってたという印象しかなかったが段々と安定してきたように見えてきた。それが城福監督のマネジメントによるものだろうか。でも間違いなくその中には昨シーズンのヨンソン監督の功績も含まれてるのだった。

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