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川崎戦~取れないゴール、防げないシュート


2017/10/21 サンフレッチェ広島vs川崎フロンターレ エディオンスタジアム広島

 「ミ、ミナガワーッ!?」
 スタメンを観た時、目を疑ってしまった。シーズン途中から完全にレギュラーとして定着していたものの全くといっていいほど結果が出せずパトリックにあっさりポジションを奪われてしまった。大卒で入団して以来、その恵まれた体格によってすざましい破壊力を期待したものの、彼のプレーはどうにもぱっとしないのだった。それに伴いもう来シーズンはプロのキャリアも終えてしまうのではというのもあり得ない話ではなかった。
 雨の降るピッチ。それはボール扱いもままならず肉弾戦も要求されるかもしれない。ワントップの皆川にはそこを期待されたのかもしれない。
 ボールの滑るピッチで両者攻撃的に始まった。やはり優勝争いをしてる川崎の方が攻撃の回数は多い。だがサンフレッチェも最期の最期でくい止める。それがチームに勢いを与え徐々に攻撃へと比重を上げていくのだった。
 ワンツーから縦へのスルーパス。サイドのスペースに飛び出した選手がフリーでクロスを上げる。あとは触るだけ。だが滑り込んだ柏はあと一歩足が当たらなかった。そしてCKから皆川がシュートを打ったシーンもあったがGKに当ててバーに跳ね返されてしまう。入らない。本当に決まらないサンフレッチェの攻撃だった。
 セカンドボールも拾い圧倒的優位な展開だ。あとは決めるだけ。そしてそんな時に川崎のGKが負傷交代することはゴールに向けての可能性をまた押し進めるのだった。
 ところがここから川崎からボールを奪えなくなってしまう。サイドで丹羽が身体を寄せるがあっさりと抜かれるとファールを犯してFKを与えてしまった。抗議をしているものの完全に手を使ってた。
 とはいえ距離があるのでそれほどの驚異でもなさそうだ。ゴール前に蹴られたキックはGK中林の飛び出しで手に納めた。それで事なきを得たと思いきや落とした。水分を含んだボールのせいか、ぼろっと落とすと詰め込まれた。呆気ない、呆気ない失点なのだった。
 点の取れないサンフレッチェにとってもう劣性になってしまった。それでもまだ時間はある。チャンスはつくれているんだ。
 そう活き込んだものの、今度はDFの前に出されたボールにミドルシュートを打たれると綺麗にゴールに入ってしまった。水本が相対してたにも関わらずまるでカラーコーンであるかのようにプレッシャーを感じてなかった。
 2点差。それはもう絶望的なスコアだった。点の入らないチームにとってもはや勝つことは諦めざるを得ない。だがせめて同点にはしていきたい。
 何とか1点。高橋は最後列から何度もサイドを駆けめぐりクロスを上げる。柏がゴール前でヘディング。ゴールに向かわず真横に行ったが皆川の目の前。が、これに反応することはできなかった。そして逆サイドからもグラウンダーのクロスが入る。柏がスルーして皆川が詰める。が、これも枠に入らない。入らない、入らない、入らない。さすがにここまで決定機を逃してるともう永遠に入らないような気がしてきた。
 そこへのテコ入れにパトリックを入れて前線のターゲットを2枚にする。が、今度は中央にボールがちっとも入らなくなるとボールを奪われロングキック。落下点にいた水本は目測を誤り小林への収まりを許すとそのまま縦へ進みシュート。まるでGKなんかいないかのようにガツンと決められてしまったのだった。
 3点目。
 さすがに終わった。手を替え品を替え、走って走って走り回ってボールも左右に振って翻弄しようとも決めることのできなかったゴールを川崎はたったの1本のパスで決めてしまう。この差は歴然だ。両者の違いははっきりしている。シュートを決めるか決めないか。そしてGKが防ぐか防がないかだった。
 そういえば中林のサンフレッチェでのデビュー戦もそうだった。プロのGKだったら簡単に処理できそうなボールを手前に落としてしまい失点してしまった。GKとしての基本能力はあの頃から向上してないのだろうか。
 そして皆川。3回もあった決定機をものの見事に外してしまった。もはや駄目だろう。シュートを決めれないFWにゴールを守れないGK。サンフレッチェが勝てない理由を露呈させたかのような試合だった。
 結果を出せない選手はいくらやっても駄目。実際に森島もパッとしたとこのないまま交代させられてしまった。もう今いる選手ではどうにもならないのだろうか。
 いや、それでも人間成長の余地はある。その象徴が高橋だった。相手のシュートをブロックしてここぞという場面ではオーバーラップを繰り返す。彼こそは早くプロの道を諦めた方がいいと思ってた選手だがその高橋が一番がんばってるように見えた。
 残留にかけては厳しいポジションであるには変わりない。それでも個々の選手がレベルアップすることによって活路は開けてくる。希望はある。あとは決めるだけなのだから。

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