甲府戦~長かったホーム初勝利

2017/08/17 サンフレッチェ広島vsヴァンフォーレ甲府 エディオンスタジアム広島

 いよいよここまで来てしまった。いつかは勝てる、いつかは勝てると軽く考えてたものの、結局半年経ってもホームでの勝利がない。いい加減火がついてほしい。焦りを出してほしい。エンジンを始動してもらいたい。
 残留へ向けての直接対決となる甲府。選手の質からいってもサンフレッチェの方が断然有利なはずである。それなのに順位は下。いい加減その現実にチームに気づいてもらいたい。
 さすがにこの状況は不味いと思ったか、開始から前線への圧力を強める。甲府にボールを触らせないくらいに攻めに力強さがある。右サイドからパトリック。そこから中央へ入れると駆け上がった丹羽がシュート。が、枠に入らない。攻撃の形としてはよかったが最期が決まらない。ああ、ということはいつもと同じではないか。
 そんな悪い予感は的中してシュートの入らない場面が続く。
 柴崎のミドルシュートは枠に入らない。そして丹羽がクロスを上げパトリックが競り勝ったヘディングシュートはバーに当たった。やはり今日もゴールが決まらない。そんな不安に襲われるのだった。
 そして何よりもこうしてシュートを外していると相手チームがサンフレッチェの攻撃に慣れてしまうのだった。どこをどうツツこうと甲府のDFは跳ね返してしまう。そしてそのセカンドボールを拾うとカウンターへと向かうのだった。
 1点取られると終わり。それはもう今シーズン何度も味わっている。ボールへ寄せるも簡単にかわされる。そしてボールを回される。中央からグラウンダーのシュート。距離があった分GK中林はキャッチしたが、枠に入ってるとこが不気味なのだった。
 甲府の作戦はじっくりと時間を掛けさせわずかなチャンスを生かすというもの。その甲府の術中にジリジリとはまっていってるように見える。そして徐々に甲府の攻撃の時間が増えてくるとペナルティエリアに入られたり一発を決めそうな雰囲気へと傾いていったのだった。
 マズい、マズい。この流れをなんとか変えないと。
 そんな不穏な空気を払拭するかのように青山が甲府の守備網を切り裂く。スルーによりマークを外したとこでボールを貰い左斜めへの縦パス。ロペスがそのままドリブルで縦へと抜ける。シュート。が、GKに弾かれるものの、セカンドボールを打った柴崎。ボールはGKをすり抜けるようにゴールにぶち込まれたのだった。
 先制。先制、先制、先制!
 喜びを爆発させる柴崎はベンチメンバーの元へ駆け寄った。皆がそのゴールを讃えようとまとわりついた。
 だがまだ試合は終わってない。残り20分、どのように使っていくかだった。
 しかし、監督にこのまま守備固めという発想がなくパスでボールを動かす。そして隙あらばとチャレンジしたボールを出すものの、そのどれもが精度がない。追加点を狙ってるのだろうが、それでは相手にみすみす攻撃権を与えてるようなものだった。
 甲府も同点にしようと出てくる。サイドからクロスを上げる。何とか防いでいるものの、競り合いに弱いサンフレッチェの守備ではそれだけで驚異だった。
 そんな前掛かりになった甲府の最終ラインは当然高くなる。が、そこに広大なスペースができることを利用して青山がロペスに出した。縦へ向けて猛烈なドリブルを突っかけたのだった。
 ロペスの力強いドリブルは喰らいついてたDFを振り払いペナルティエリア内でシュート。これは決めるだろうと思ってたそのシュートはGKにぶち当たって跳ね返されたことであんぐりとしてしまった。
 これが決まると大きかった。それなのにロペスは決めきれなかった。最期のワンタッチが余計、もしくはループシュートを狙うべきだった。チーム内得点トップのロペスはこういう決めるべきとこで見事に外してしまうのだった。
 もうサンフレッチェに得点はできない。そんな思考になってくるともう守りきることを願う。ボールホルダーにもっと速く寄せて。人を捕まえろ。徐々にそんな守備への要求が大きくなっていくのだった。
 メンバー交代もしないサンフレッチェは選手の負担が大きくのし掛かる。それなのにヨンソン監督はメンバー交代をしない。だがよく考えたら他に代えれる選手がいないのだった。
 相手ボールをカットするとパトリックめがけて前線へフィードする。そこへは当然マークがついてるものの何とかボールを収める。攻撃につながらないにしてもファールをもらえる。そして時折柏がドリブルによって相手の守備網を切り裂き柴崎も孤立してもボールキープで時間を稼ぐ。守備陣も無失点でしのいでる中、やはりこのバランスは崩したくないのだった。
 気づけばアディショナルタイム。意外にも時間の経過が速いと感じたのはただクリアするだけの守備一辺倒とならなかったからだろう。隙あらば追加点、本当にそれさえできれば息の根をとめられるのだ。
 アディショナルタイムに入る。あと一息。そして3分が経過するとタイムアップの笛が鳴り響く。勝った、勝てたのだ。
 雄叫びを上げる青山。パトリックが加入することにより見違えるように存在感が大きくなってきた。やはりいる時といない時では攻撃の引き出しが大きく変わってくるというのを見せつけられた。
 今シーズン、ホーム初勝利。それは長い長い道のりだった。だけどまだ降格ラインにいるという現実は変わってない。それでもわずかに脱却へ向けての階段を一歩進んだ。
 これから昇っていきたい。もう1試合たりとも無駄にはできない。勝利に歓喜きながらも余韻を味わうよりも次なる闘いへ向けて気を引き締めるのだった。

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