湘南戦~しぶとい湘南、もぎ取った勝利

2016/08/13 湘南ベルマーレvsサンフレッチェ広島 湘南BMWスタジアム

 平塚、それは試合があるといつも何かがあるとこだった。ある時は豪雨、ある時は火事、ある時は電車の遅延。さて、なので今回はどんなハプニングが起こるだろうかと冗談めかしていたものの、よりによって所用がり広島に行かなくてはならなくなった。せっかく関東でサンフレッチェが試合をするというのにそれに反して広島に行く自分。これはおかしい、何かがおかしい。だがこれによって平塚でどんなことが起きようと身に降りかかることはないというのを自己弁護に使うのだった。

 その為テレビ観戦となったぼくだったものの、目に飛び込んできたのは湘南のゴールシーンだった。バイタルエリアで反転されるとマークに着いてた千葉は見事に振り切られ強烈なミドルシュートを決められた。ああ、千葉が守備で負けてしまったよと思うと共にそのゴールネットを突き刺さるシュートに唖然としてしまう。スーパーゴール、一体何で相手チームはサンフレッチェとの試合に限ってこんな凄いシュートを打ってしまうのだろうか。それは見えざる力とでも称したくなる魔力でもあった。

 また先に失点してしまった。どうにも今シーズンのサンフレッチェは守備が弱い。それもそのはず、ディフェンスラインは千葉の他はカズと清水という本来別のポジションの選手がやっているのだ。でもそれを考えると何気によく守ってるような気がしてきた。それどころか攻撃的な思考の強い清水がいることがプラスに転じたのだった。

 最終ラインの清水はトップのウタカまで速いパスを送る。それは湘南の間隙を縫い受けたウタカは反転、そのままゴール前へ持ち込むとGKと交錯しながらもゴールにねじ込んでしまった。凄い、凄い、これもスーパーゴール。清水がボールを持った瞬間、その数秒後にゴールが生まれると一体誰が想像しただろうか。これこそ清水がいたからこそ生まれたゴール。そしてウタカがいたからこそできた個人技だった。

 しかし、ウタカにしては強引なプレーだった。ゴール前に行ってもどこか綺麗に崩そうとして防がれる印象の強かったウタカであるがここ最近こういうプレーが観られる。それはどうもロペスが来てからという気がする。ボールを持てばどこからでもシュートを狙うロペス、確かにそれはサンフレッチェに足りない要素でもあったのだった。

 ところがそのロペスとなるとこれがいいんだか悪いんだか分からないから困ったものである。密集の中を突破しようとしたり遠目からでも打っていこうという姿勢は力強いものの中盤でボールを取られて逆襲を受けた時には本当に肝を冷やした。そしてファールを主張する姿も痛々しい。未だゴールも奪えないし一体この選手どうなんだろうと考えるのだった。

 それはともかくあと1点欲しい。そんな時、柏が左サイドからクロスを上げようとするも湘南のマークに遭い下がりつつ迂回する。マークの人数は更に多くなり迂回する。もうこうなると何もできないだろうと思ったその時、中央のスペースへ緩いパスを出すと後ろから猛然と走ってきた選手がいた。そして走った勢いそのままにバチン!とゴールに突き刺すシュートを放ったのであった。

 丸谷。決めたのは丸谷だった。この重要な逆転ゴールを決めたのが凄かった。今まで遠目からのシュートを何度もトライして入らなかった丸谷。決めた、決めた決めた決めた。決勝ゴールを決めたのだ。

 歓喜の和が広がる。このゴールは大きい。そしてこれによりより勢いを増すだろうと思われるとまた更なる追加点などと欲が出てきたのだった。するとまだちっとも諦めてない湘南はゴール前まで迫ってきた。飛び出す林。が、それをあざ笑うかのようにループシュート。ゴールに吸い込まれる。ああ、もう駄目だ。もう目を覆ってしまいたくなった最後の瞬間だった。千葉が戻り、もうゴールラインの上とも言えるギリギリの場所で脚を振り上げボールをかき出したのだった。

 おお、クリアした。やったぞ、千葉。チバ!チバ!チバカズヒコ!完全なる失点を防いだシーンに興奮が醒めやらない。失点した時毒づいたことなどすっかり忘れて千葉に神々しさを感じるのだった。

 その後もチャンスは生まれるも決めきることができなかった。そしてゴール前で交錯したそのプレーでウタカが負傷退場してしまう。大事を見計らってのことだろうか。いや、そうでなくてはこの先困るのだった。完全なる得点源となったウタカの離脱は大きすぎる痛手である。何とか軽傷であることを祈るのだった。

 だが試合はそのまま終わった。残留争いをしてる湘南であったがしぶとい相手だった。正直これで残留争いをしてるのが信じられない。そして最後にこの平塚の地では何事もハプニングは起こることもなかったのだろうかと想いを馳せるのだった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?