神戸戦~やっと手にした勝ち点1

2017/05/06 サンフレッチェ広島vsヴィッセル神戸 エディオンスタジアム広島

 開始10分以内での失点、セットプレーでの失点、守備で人数が揃ってる中での失点。もはやこれさえ達成できれば文句は言わない。それほどまでに要求のレベルは下がっているが、逆にこれさえできていればそうそう負けるものではないのだった。

 今のサンフレッチェは当たり前のことが当たり前にできなくなってる。得点力不足や連携のミスなども大きいが、単純なパスミスが多い。そんな基本的なことすらできないのに難しいことをやろうとしてる。それはまるで尻に火のついた受験生が基礎をないがしろにして難しい問題ばかり挑戦する様のようだった。

 だが蓋を開けてみればいい連携からいいパス回しができている。最終ラインの千葉からの縦パスが攻撃へのスイッチとなり前線への圧力を強める。それにより柏とミキッチの両サイドも生きてきた。

 塩谷もオーバーラップから攻撃へ参加する。ゴール前からラストパスを送ると柴崎。ふかしてしまった。完全に崩した場面だった。決めきれない。それを象徴するシーンだったが、こともあろうに前線で一番シュートの確実性のある柴崎が決めれなかったというのは大きな誤算だった。

 ワントップの工藤は遠目からのシュートを枠に入れないどころかパンチ力がない。そしてペナルティエリアで自分でシュートをするという意志がないので恐さがない。もっとFWらしいギラギラとしたものが欲しい。

 更にもう一人の前線、ロペスは顔はいかつい。ボールキープに力強さがある。そして前が空けば遠目からシュートを打つという積極性も見せる。だけど入らない。ロペスはシュートがヘタなのだった。それでどうやって点を入れたらいいのだろうか。

 そんなヤキモキしている中、守りを固めてた神戸はカウンターが始まる。シュートブロックに入る。が、フェイントでしかなくスルーパス。走り込む神戸の選手に塩谷も付いていたもののシュートコースに入りきれず打たれてしまった。GK林の手の届かないゴールの隅に決まってしまった。正直当たり損ねだろう。それが逆にGKの逆を突いてしまったらしい。

 またしても失点した。どうしてこうも失点してしまうんだろう。無失点ができない。守りきれない。だがゴール前ではシュートを打てば何かが起こるという典型かもしれななかった。

 後半に入りギアを入れたサンフレッチェは前掛かりになっていく。中盤のブロックにザックリと切り込むパスが入っていく。そこから縦に横に斜めにとパスを織り交ぜ進んでいく。すると左の柏からマイナスのパスがゴール前ロペスの前に入るとシュート。神戸のブロックに防がれる。が、再びロペスの足下に転がり逆足で打った。入った。ネットが揺れた。ゴール、間違いなくゴールだ。

 ドワーッ、という歓声が響きわたる。またこのまま負けるのかと諦めも少しはあった。得点力のないチームにおいて先に失点してしまうのはもはや死を意味してるからだ。そんな中でのロペスのゴール。シュートがヘタだと思ってたがこういう混戦だと決めてしまう。そういえば今までのゴールもこういう類のものが多い。ペナルティエリア内で敵味方入り乱れる、そんな時こそロペスが生きる。サンフレッチェが点を入れる為の一つのヒントを得たような気がしたのだった。

 スタンドのチャントが音量を増し、追加点を入れるべく選手を後押しする。そしてカズが野上と交代で入ると持ち前の危険察知能力で相手の攻撃の芽を潰し更に前への推進力を高めていく。その為にも最前線の工藤にボールを収めたい。

 が、その工藤にボールが渡ってもドリブルをすれば競り負けてしまうしポストプレーをするとトンチンカンな方向に行くし自分で勝負すればいいとこで味方を待った挙げ句奪われたりしてしまう。ここにも勝てない理由が見えてきた。結局ボールの収め所がないからだ。体格がいい割には簡単に倒されてしまう工藤には一体何を期待すればいいんだろう。それでも他にこのポジションの適任がいないというのがサンフレッチェの苦しさなのだった。

 両者勝ち点3を狙ってスクランブルのような展開になる。ボールを奪いたいのに奪えない。運良く奪えたとしても前でつかえてしまう。それでもロペスのドリブルからファールを貰う。いい位置からのFKだ。

 ボールに立つ塩谷とロペス。角度的には左足のロペスだがシュート精度のなさを考えればそれはありえない。塩谷しかないだろう。だが右足ではちょっと厳しいかもしれないと思ったら壁の外側から巻いていくシュートを打った。ネットが揺れた。一瞬歓喜に沸こうとしたがそれはサイドネットであった。立ち上がりかけたものの崩れ落ちてしまった。今シーズン、FKからの得点が1点もないが、その記録はまだ続いていきそうだった。

 柏が左サイドからクロスを入れる。だが誰も合わせられない。右サイドからも交代で入った高橋がクロスを上げるも合わせられない。どうしてここまでクロスが上がって点が入らないのだろうか。よくよく観るとサイドで勝負してる時、工藤を始めとしてサンフレッチェの選手はゴール前で張っているのである。クロスが上がってから入るではないからよほどピンポイントのクロスじゃないとヒットすることができない。おまけにディフェンスにしてみれば守りやすいときてる。だからクロス上げたってすぐにクリアされてしまうのだった。

 そして引き分けのまま終わった。勝ち点1。今のチーム状態ではそれが精一杯だろう。負けなきゃいいのかもしれない。でももういい加減勝ち点を積み上げなければどうにもならないとこにきてしまった。補強の失敗、ワントップの人材不足。それらを踏まえてこの先どのような活路を見出していけばいいのだろう。

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