仙台戦~天文学的に脆い守備

2017/04/22 ベガルタ仙台vsサンフレッチェ広島 ユアテックスタジアム

 戦術柏。そう言いたくなるくらいに柏の存在は圧倒的だった。

 右サイド、高橋のクロスからゴール前で柴崎が粘る。ディフェンダーを背負いながらも粘って粘って出したとこに柏がシュート。ゴールに突き刺さるシュートだった。そして左サイドからクロス、ロペスのシュート。ブロックに遭うも折り返しを工藤が押し込む。これで2点目。全て柏によってもたらされたようなものだった。

 開始5分以内の失点が続いたこともあり、せめて15分間無失点でいればいいという限りなく消極的願望を持っていただけにこの得点は至高の喜びであった。そして確信してた。もうこれで勝てるだろうと。そしてそれが災いしたのかもしれなかった。

 実際、後半に入ってもスコアは変わらなかった。攻める仙台、ブロックを敷いて守るサンフレッチェ。今まで逆の状態になりながらも全く点が取れなかった。つまりリードしてるチームにとってみれば守備を固めて時間を稼ぐというのは造作もないこと。それなのに崩された。人数は揃っているのに崩された。どうやればこの状態から点を取られるのか不思議でしょうがなかった。

 すると今度はバイタルエリアでファールをしてしまう。そしてFKを与えると決められてしまった。綺麗に決められてしまった。与えてはいけない時間に決められてしまった。それは素晴らしいキックであった。だがどうしてこんなとこでファールを犯してしまうのかわからなかった。強くいく場所が違う。どうしてこんなエリアで一か八かのアタックをしてしまうのだろうか。

 そして極めつけはサイドから崩され石原に合わされ逆転されてしまった。ああ、一体なぜ2点もリードしておきながら逆転されてしまうんだろう。そしてこの時もゴール前に人数は揃っていた。ああ、一体このチームは本当に勝つ気があるんだろうか。どうやればここまで簡単に点を与えることができるんだろう。脆い、何て脆い守備なんだ。

 情けなさに目の前の光景がぼやけてきた。もはやこれは夢か幻か。人間、あまりにも辛い現実の前には脳が現実逃避をするのかもしれない。

 追いつきたいサンフレッチェ。ちょっと前までの仙台と逆の状態になったというのにサンフレッチェの攻撃はちっとも威力がない。守備を固められると崩せない。前のめりになればなる程相手の守備が堅くなる。点が取れない以上にどうしてサンフレッチェはこういう守備ができないんだろうかと涙が出そうになってきた。

 時間がない、時間がない。ああ、何で3点も取られるんだよ。3点も、3点も。考えれば考える程わからない。そして納得いかない。どうして3点も取られるんだよ。

 アディショナルタイム。もはやそれは惨めさを噛みしめる為の修行の時間だ。攻めて攻めて点が取れない。またそんな結末を迎えるのか。いよいよそう思った時CK。こういうのを決めないとと思うも決まりはしない。ああ、何でサンフレッチェのセットプレーはここまで入らないんだ。

 残り1分。それは死刑のカウントダウンが始まってるような心境だった。右サイドからゴール前へのロングキックが出た時、それはもうやけくそ的な選択であるように思われた。が、ゴール前のヘディングが柏の前に落ちると中へパスを流す。浮き球をトラップした柴崎、ゴールに流し込んだ。入った。入った、入った、入った。ゴール!

 追いついた。最後の最後に追いついた。かろうじて引き分けに持ち込むことができた。地獄の縁から這い上がったのである。

 しかし、しかしだからこそ思うのである。何で3失点もしてしまったのかと。そして何度かあったシュートチャンスをどうして決められないのかと。どうしてサンフレッチェの選手はこんなにもシュートが入らないのだろうか。

 悔しさが収まらない。それは相手に対してでなく自チームに対してである。次につながる、次につながる。森保監督はインタビューで同じ台詞を繰り返すものの、ちっとも次につながってない。一体いつになったらこの泥沼から抜け出せるんだろうか。

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