柏戦~勝てそうで勝てなかった試合

2016/07/13 柏レイソルvsサンフレッチェ広島 柏スタジアム

 雲行きが怪しくなったのは後半に入ってからだった。相手をいなしてプレスをかいくぐるつもりがどうにも引っかかってしまう。そして高い位置でボールを取られるともう防戦一方。どうした、どうした、一体どうしてしまったんだよ。そんなぼくの心の声も空しく柏の攻撃が続くのだった。

 防いでも防いでも迫り来る柏の猛攻は止まらない。そしてついにはペナルティエリアの内に。清水が対応したものの1対1の攻防に見事に負けてしまいクロスを上げられる。するとドフリーの見方につながり頭に当てるだけで決められてしまった。ああ、やられた。でもまだ1点余裕がある。これから立て直そう。

 そんな甘い考えが影響しただろうか、サンフレッチェのキックオフで始まったはずなのにあっという間に柏ボールになり攻め立てられる。縦へ入れられ左右に振られもうやりたい放題。そして堪えきれずペナルティエリアで倒してしまいPKを与えてしまったのだった。

 林、止めてくれよ。

 そんな願いも空しく、実に冷静に当たり前のように決められ同点にされてしまった。ああ、勿体ない。何であれを耐えれなかったんだよ。どうも人数を掛けて攻撃に来られるとその圧力に屈してしまう。どうも屈強さがない。

 だがこの時ばかりは選手にばかり非を向ける気にはならなかった。それ以前に危ない兆候はあった。だからその流れを変える為にも選手交代をすべきだった。そんな一呼吸があるだけでも波を断ち切る可能性があるものである。それなのに実際にミキッチを交代で入れたのは同点にされてしまった後だった。その一方で点を取る為にはミキッチが必要でもあるのだった。

 ここでミキッチが右サイドでドリブルと、期待したもののそんな姿はまるでおがめなかった。むしろ左の清水の方が積極性があって勝負を仕掛ける。そんな展開から逆サイドのミキッチへルーズボールが飛ぶ。

 シュート!

 が、それをゴールの上遙か彼方へ飛んでいき夜空に消えてしまうかとさえ思えた。

 その後も茶島が入り皆川が入ると縦へと速い展開が続く。そして浅野がシュートを放つもまたしてもバーにガツンという音と共に跳ね返してしまった。ううむ、1試合で2回もバーに当てるって狙ってもできることじゃあないぞ。そしてその後は皆川のゴール前でのヘタレっぷりに脱力してしまう。あの巨体を持っていながらどうしてまともなシュートが打てないんだろう。このままではもはやプロとして通用しないのではと心配になってしまうのだった。

 それでもまだチャンスはある。がんばれ、がんばれ。ぼくらは念じる。このまま引き分けで終わる訳がないと。

 だがそのまま無情にも終了のホイッスルがこだましたのだった。ああ、勝てた試合なのに。勿体ない、勿体ない。そんな落胆を共感するかのように周囲からため息らしきものが聞こえた。

 柏の応援席からは強烈なブーイング。向こうにしてみても勝てた試合だったのだろう。そういう意味では両者痛み分けは妥当だったのかもしれない。それでもやはり想いは消えない。

 もうちょっと堪えてたら。

 やっぱり失点が多いと勝てない。そんな当たり前のことを思い知らされた試合、帰りの足取りも重くなるのだった。

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