磐田戦~スコアレスドローの意味

2018/03/18 サンフレッチェ広島vsジュビロ磐田 エディオンスタジアム広島

 ジュビロ磐田。
 今シーズン主力としてスタメンを張る川辺が昨シーズンまで2シーズンレンタルで在籍した。磐田でも中心選手として活躍し、てっきりそのまま完全移籍してしまうかと思いきや戻ってきたのはちょっとした驚きでもあった。ただ、戻ってくるからにはチームの核ななるべく決意があっただろう。
 磐田で成長し磐田で開花した。
 それだけに両チームとって特別な感情のある一戦であった。そして実際、アグレッシブな潰しあいのような試合になるのだった。
 前線のパトリックに預けるサンフレッチェ。競り合いでは勝てるもののその後の展開がない。そして磐田がボールを奪うとアライウトンが右サイドからゴリゴリとドリブルでえぐる。対峙する和田。だがフィジカルで勝てず突破されるとシュートまで持ち込まれた。
「うわ」、と声を上げた。が、枠に入らなかったことでホッと胸を撫でおろすのだった。
その後にも磐田は左右にボールを散らしクロスを入れる。そこに川又が飛び込む。その迫力に恐怖するがサンフレッチェのDFも身体を当てて自由にはさせないのだった。
膠着状態。特に磐田の守備への戻りは異様に速い。前がかりに責める磐田に対しては当然カウンターのチャンスもあったものの、パトリックがドリブルで持ち上がるもゴール前まえ行った時にはもうDFが3人も戻っているのだった。ボールをこねて見方を探す。そしてその遅れた分DFも寄せてしまいボールを取られてしまうのだった。
ああ、もっと強引に。入らなくてもいいから打ってほしい。ドリブラーの柏がペナルティエリアでパスを出してカットされた時、そんな想いが強くなるのだった。丁寧に丁寧に崩してから打とうとしてるので最後の選択が全部読まれてるようだった。
スローインも取られ、ゴールキックもマイボールにできず、ペースは完全に磐田のものだった。吉野、柴崎を入れ打開を図る。今シーズンの鉄板の交代であったが戦況はちっともよくならない。そこで最後の交代として馬渡が右サイドにはいったのだった。
ドリブルとクロスで壁を打ち破りたい。そんな意図だったろうがそもそもサンフレッチェの攻撃にならない。裏を狙いパスでマークを外していこうとするもシュートまでいけない。堅い、堅いDF。だがそれを打破するために強引なプレーがほしい。そう思ってたら稲垣がミドルシュートを打つ。売った瞬間に大きく外れるのはわかったシュートではあったが、それでもこういうプレーしか可能性がないような気がするのだった。
時間は刻々となくなっていく。これはもう引き分けならよしとするか。だけどやっぱり勝ちたい。それでいてクリアボールが相手ボールになる度に失点さえしなければいいような気がしてくるのだった。
 相手ファールでプレーが止まった。とりあえず一息つけた。GK林のキックからロングボールが放り込まれる。前線での競り合い。時間のない中でのパワープレー。こういうプレーで点が入った試しがないだけに期待はしてなかったものの競り合いからルーズボールがサンフレッチェの選手の足元に入る。シュート。が、DFのブロックにより大きく跳ね返されるのだった。
ここで試合終了。ああ、勝てなかった。策はつくしたはずだが駄目だった。正直あと90分やっても点が入りそうな気がしなかった。逆に失点の不安の方が大きかった。判定という要素があったら完全に負けだろう。
ところが試合後のスタッツを確認するとボール支配率も枠内シュート数もサンフレッチェの方がわずかに上なのだった。
人間の印象とはいかに当てにならないものか。中断前の試合で引き分け。これがよかったのか悪かったのか。でも少なくとも点が入らなかったことでルヴァンカップでのメンバーとの入れ替えも出てくるかもしれない。
ああ、勝ちたかった。だけど昨シーズンだと簡単に失点しなかった場面で踏ん張れた。残留争いをやったチームにしては奮闘したと考えるべきなんだろうか。

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