甲府戦~リーグ戦折り返し試合

2016/06/25 ヴァンフォーレ甲府vsサンフレッチェ広島 山梨中銀スタジアム

 じわっ、じとっ、という暑さがまとわりつく。中途半端に雨が降り湿気を含んでるだけに真夏日ともなった日中の気温の高さが蒸し暑さを招く。座ってるだけでジト~ッと汗がにじみ出てくるのが不快だった。ナイトゲームとはいえこういうコンディションでの試合はアジア特有と言っていいだろう。

 この試合を前にして、サンフレッチェではまたしても怪我人を出してしまった。エンジンと称される青山の離脱が大きな痛手だ。そしてそれに加え今節は宮原まで累積警告で出場停止。そんなに出場してる訳ではないのにどうしてそこまでカードを受けてしまうのか。すでに千葉も出場停止をしたことからディフェンスの負担の程が伺いしれる。それだけファールで止めざるをえないという状況が多いのだろう。失点が多いという要素も含めてどうも守備が上手くいってないのだろう。

 それでいながらこの試合、丸谷のワンボランチで フォーメーションを組んできた。しかもウタカ、寿人の2トップと柴崎、浅野の2シャドー。超攻撃的とも言える布陣をスタートからでは初めてなのだった。

 確かにメンバーも足りないしいつもの布陣はあまりにも対策が練られている。ここで他のオプションを見せる必要はある。そして観てるこちらにもそれは新鮮さを与えるのだった。

 後ろからビルドアップしていくのはいつもの通り。だが甲府はブロックを敷きサンフレッチェの攻撃を待ちかまえている。清水、柏というサイドの選手が縦への突破からクロスを入れるがゴールには結びつかない。どことなく有利に進めていそうで有効な手になってないのは甲府も上手く守ってるということなのだろうか。

 ブロックをを崩すのは容易ではない。なので最終ラインの塩谷はトップのウタカへ長いパスを出した。ピンポイントに出したもののそんな守備の人数の揃ってるとこに出ても囲まれて終わりだろうと思いきやワンタッチで中央へ流した。ボールはエアポケットのように空いたスペースに出ると柴崎。駆け込んだ勢いそのままに放ったシュートはゴールに綺麗に入ったのだった。

 早い時間の先制。人数を掛けて守るのに長けてる甲府を引いて守られる展開にできない状態にしたことにまずは安心した。だがその後ウタカが真正面からのシュートを枠に入れられなかったことから追加点は難しいような気がしたのだった。

 すると今度は甲府の方が息を吹き返す。高い位置から猛然とプレスを掛けてくる。ビルドアップしようにもパスが引っかかってしまう。そして高い位置でボールを奪った甲府は更に攻撃への厚みを増していくのだった。

 なんかヤバくなってきた。カウンターを仕掛けようにもセカンドボールが拾えない。浅野が速いドリブルで一人でゴール前まで持ち上がるもシュートまでいけない。

「ああ、浅野。そのプレーじゃ10番が泣くぞ」

 そんなつぶやきがため息と共に漏れてしまうのだった。

 そうやってサンフレッチェのカウンターが決まらないことが余計に甲府へ勢いを与えより前への圧力を強める。特に退団が決まってるクリスティアーノが有終の美を飾ろうとばかりに単独でも果敢にドリブルで切り込んでくる。その気迫に塩谷も何度か振り切られてしまうのだった。

 何とか林がシュートを止めたものの今度は低い位置からのアーリークロスが入るとチュカのヘディング、たった1本のロングパスで追いつかれてしまったのだった。

 ところがこのプレーに副審の旗が上がる。

「おお、オフサイドだ」

 助かった。ほっと胸をなで下ろす。だがこのプレーで甲府は尚更勢いに乗りサンフレッチェは守るので精一杯だ。止めようと思えばファールを取られその都度FKを与える。そしてその都度林が止めるのだが苦しい時間が続く。だから戦線へボールがつながった時、まるでやっと息が吸えたような感覚になるのだった。

 するとここで中央のウタカへ。更にぽっかり空いたスペースに出すと猛然と走り込んできたのは塩谷。一直線に伸びるシュートはゴールネットに食い込むように突き刺さった。

 塩谷の2試合連続となるゴールは勝利をぐっと引き寄せる追加点となり精神的にも楽になる。そしてその緊張感が溶けた状態が再び流れを呼ぶ。

 浅野が受けたボールをウタカに出す。最前線、3人に囲まれたウタカには厳しいパスだと思ったがそのままゴールを目指す。ブロックに身体を寄せるDF。だがそれを切り返してシュートを打つとGKもボールに触りながらも取り切ることができずそのままボテボテとゴールに入ったのだった。

 3点、決まった。さすがに決まった。時間ももう少ない。だがこうなるともっとゴールシーンが観たいような気がしてきた。

 そんなことを考えてると甲府も意地の反撃を始めてきた。もう勝負は決まっただろうが甲府は一向に諦めてないのだった。

 もういい加減終わりだろ。最後の最後にはそんな台詞も吐いてしまった。0ー3というスコアは完勝であろうが点差程差があるという気もしなかった。

 勝つってこういうことだったんだな。結局こうやって目の前のことをコツコツと積み上げていって昨シーズンは優勝したんだよな。そしてリーグ戦の日程を半分終えた。順位は4位であるが勝ち点という意味でいえば昨シーズンとあまり変わらない数字を出している。果たして2ndステージはこれをどれだけ伸ばすことができるのだろうか。

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