甲府戦~無力感ばかりの敗戦

2016/08/20 サンフレッチェ広島vsヴァンフォーレ甲府 エディオンスタジアム広島

 キックオフ前、2年前の広島での土砂災害に対する黙祷が行われた。ああ、そうか。もうそんなに経つのかと遠い目をした。災害が起こることが少ないと言われた広島にも防災意識を植え付けるきっかけにもなったような気がする。

 センターサークルで黙祷を終えた選手がピッチを広がる。所々に雨後だと分かる濡れた箇所が散見する。そういえば台風が3つも接近してるだけあって天候は不安定だ。晴れ間が見えたかと思うと大雨が降り出したり。天災は決して人事ではないというのが今の日本なのかもしれない。

 そんな雨上がりの後である割にはモヤッとした暑さがある。そのせいだろうか、サンフレッチェはボールを持ってもスピードを上げることなくじっくりじっくり回していくのだった。対して甲府もブロックをつくって待ち構えてるもので一向に動きのない試合のように見えるのだった。もっとサイドを生かして、ディフェンスの裏を狙ってと思うもののどれも上手くいかない。それだけ甲府の守りが機能してるのだろうか。

 この膠着した状況、時に相手の密集地とも言えるとこにボールを入れる。それをウタカやアンデルソン・ロペスが納めてしまうものだからその誘惑はより大きくなる。だがそれはさすがに守備の人数が多いだけあってクリアされてしまうのだった。

 前半はゼロゼロで後半に掛ける。きっとそんな作戦だったのだろう。余裕を持ってるように見えてどことなく迫力がない。それがシュート数の少なさに現れてるのだった。

 崩れない、崩せない、こじ開けれない。甲府のブロックはどこをどうやっても効果をなさない。それは引いた相手を崩せないというテーマはまだ克服されてない。サンフレッチェがACLで勝てない理由こそがこれなのだった。

 そして攻め倦ねるサンフレッチェに対して甲府はカウンターを仕掛ける。前掛かりになったサンフレッチェであるが守備へのリスク管理も怠って無く何とか防いでいたもののCKを与えてしまった。するとヘディングを合わせられた。だが止めた林。よし、ナイスセーブと思ったのも束の間、詰め込んだ田中祐介に押し込まれてしまった。そのあまりにもあっさりとした失点に本当に決められたのかと信じることができなかった。

 何だよ、失点してしまったよ。

 次第に認識できたことにより怒りがこみ上げてくる。攻めても攻めてもまともなシュートすら打てなかったサンフレッチェに対して甲府は実に効率よく、簡単に決めてしまったのだ。それこそがサッカーという競技であるものの、それを冷静に考えようとすると余計に熱くなってしまうのだった。

 急げ、急げ。いい加減点を取れよ。

 寿人、皆川という攻撃の選手を入れるも一向に効果が現れない。点が入らない、点が入らない。ロングボールを入れようとサイドからクロスを入れようと跳ね返されてしまう。どこをどうやっても甲府には折り込み済みとばかりに対応してしまうのだった。

 そしてタイムアップの笛が鳴った。ワンタッチパス、ミドルシュート、ドリブルでの切り込み、パワープレー、CK、FK、ありとあらゆる得点パターンを試したものの一向に効果をなさなかった。完敗、言い訳のない完敗なのだった。

 激しい無力感に襲われる。年間勝ち点でもこの試合勝つか負けるかで大きく分かれる試合だった。それだけにまるで良いとこがなく負けたことの失望は大きく、一体いつになったら立ち直れるのか自分でも分からないのだった。

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