鳥栖戦~決まらないゴール、勝てないサンフレッチェ

2017/03/11 サガン鳥栖vsサンフレッチェ広島 ベストメニティスタジアム

 緑のピッチに黄色のユニフォームの色が映えた。今シーズン初となるアウェイユニフォームでの試合である。ホーム2戦勝てず未だ未勝利。今度こそは、この試合こそはと今シーズンの初勝利を願うのだった。

 スタメンには青山と柴崎が復帰していた。怪我人等で離脱者が多い中においてこれは大きなプラスポイントであった。そしてそれを証明するかのように青山のスルーパスから裏へ抜けた柴崎がシュート。ゴールに突き刺した。そのあまりもの華麗さに喜ぶよりも先に唸ってしまった。が、これをオフサイドで取り消されてしまう。スロー再生された映像が流れると全くオフサイドではなかった。ミスジャッジ。やってはいけない誤審。前節に続いて審判の笛が不利に働いてしまう。

 ただ、この2人が戻っただけでこういうシュートシーンが演出されるというのは大いに勇気づけられる。ただ、それは新加入の選手がちっともインパクトが残せてないということでもあるのだった。

 そのなかでも最も気になるのがフェリペ・シルバだった。鳴り物入りで加入したこの10番のミッドフィルダーは確かに高い技術を見せるもののどうも効果的ではない。セットプレーは決まらないし相手の守備を崩すとかゴールにつながる仕事ができてない。もしかしてこれは外れでは、そろそろそんな気分になってきたのは早計だろうか。

 だがフェリペが中盤で3人囲まれてもボールキープする技術を見せる。おお、やっぱりいい選手だ。開幕からずっとスタメンなのも頷ける。そしてそこからどう展開するのかと思っていたら更にキープを続けてるものだから最後は取られてしまいカウンターを受ける。

 うわ、やばい。

 ただそれは守備陣の戻りによってかろうじて防ぐことができた。

 それに胸を撫で降ろすもその後攻め込まれるシーンが多くなる。すると守備に追われたフェリペがファールで止める。完全に遅れてただけにファール覚悟の守備だったろう。だが、位置が悪かった。それによってFKはバイタルエリアのエリアとなった。

 距離はある。それでも原川の蹴ったFKはGK林は触れることすらできず決められてしまった。スーパーゴール。だけどそれは同じプレイスキックのキッカーであるフェリペによってもたらされた。そしてフェリペは自分のFKではちっとも決めることができないのだった。

 追う展開になったサンフレッチェ。両サイドの突破から活路を見出そうとするも一向に打開されない。特に左サイドの清水はがんばっていて再三チャンスはつくるものの最後の最後で決めきれない。一体これはなぜなんだろうと考えるとやっぱり点を取る役目の選手に目がいってしまうのだった。

 ストライカー。それはほんの一瞬の隙を狙うもの。それは唯一無二のチャンスを生かす者。そして個での得点を狙える者である。そしてそんなスケール感というものを工藤からまるで感じられないのだった。

 抜け出してシュートを打ってもGK真正面。崩しからフィニッシュに持ち込んでもボールにミートしてない。そのせいかこの選手は危ないというオーラをちっとも感じられない。ああ、この補強も本当に正解だったのだろうかとそろそろ疑念を感じるも開幕以来唯一のゴールがこの工藤だったというのが限りないジレンマになるのだった。

 点を取らなければならない。そんな切羽詰まった状況が余計不幸を呼び寄せる。何と丸谷が2枚目のイエローを貰って退場となってしまったのだ。しかもそれは相手のちょこざいリスタートの対応によるもの。どことなくわざと車にひかれる当たり屋のような感覚を受けたがそれはそれで相手の作戦なのだからしょうがない。とにかくこれでサンフレッチェは一人欠くことになったのだった。

 あんな判定などに負けるものか。

 そんな反骨心から攻撃の圧力が強まる。後ろからもどんどん雪崩ののように攻撃の人数が上がってくる。そしてクロスを入れミドルシュートを打ちCKを何本も蹴った。それなのに決まらない。ああ、一体サンフレッチェには何百回のチャンスがあればモノにできるのだろうか。

 決まらない、決めれない、決めきれない。今のサンフレッチェにはゴールを決める選手がいないのだった。2年連続でチーム得点王の選手がいなくなるというのはこういうことをある程度想定しとかないといけないことみたいだ。

 攻めて攻めて攻めまくった挙げ句ゴールは割ることができずに敗戦。これで開幕3戦勝利なしである。得点は開幕の1点のみ。しかもこの試合ではカードも連発し6枚も貰ってしまい、フェアプレーのチームという栄誉さえも陰が差しているのだった。

 勝てない、勝てない、勝てない。どこをどうやっても点が取れない。その結果失点をしてしまう。点が取れないことが全ての負のスパイラルの根幹となっている。

 一体いつになったら点が取れるようになるのだろうか。そしていつになったら勝利の歓喜を味わうことができるのだろうか。長いトンネルに入ったような気分になるのだった。

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