レノファ山口戦~開幕を待つ一戦

2017年2月19日 2017Jリーグプレシーズンマッチ レノファ山口vsサンフレッチェ広島 維新百年記念公園陸上競技場

 中国地方。その土地柄から長らくサンフレッチェの周りにはプロのサッカークラブがなかった。ファジアーノ岡山やガイナーレ鳥取がJを目指してると聞いた時、それは夢物語だろうと真に受けなかったものの見事参入を果たした。それどころか海を挟んだ四国地方からも3つもJクラブが誕生し、山口への期待も高まっていったのは当然の成り行きだろう。県内にそれほど話題になるコンテンツのない山口にとってそれはいい地方活性化の足掛かりともなりそうだったものの、果たしてどれだけ盛り上がるのかというのは未知数でしかなかった。

 そもそも山口という場所、広島の隣でありながらもその雰囲気はまるで趣を異にしている。横に長い山口は岩国のような隣接地は広島の影響を強く受けてるものの、そこから下関の方へ向けていくともう九州の文化が色濃い。その辺が独自のコンテンツを生み出さない要素であるが、そもそも人口が少ないという問題がある。年々若者世代が減少しており、高齢化でしぼんでいく地域の典型であるとも言える。それでいて総理大臣を一番排出してることからも分かるように、有力政治家の影響が大きいことでどこか優雅な雰囲気があるのだった。

 それが最も現れてるのが道路整備である。国道、県道レベルを始めとして車で走るような道路は真っ直ぐで車線が広い。運転をしててあまりハンドルを切る機会がなく、まるで大陸ではないかと錯覚してしまうことすらあるのだった。当然そこまで道路が整備されるのは政治家の影響があるのだろう。また、山口はセメントの産地であることからもそれを消費させる目的があったのが伺いしれるのだった。

 ただ、そうやって道路を整備しても牧歌的な山林ばかりが目立つ。ハイキングには事欠かないだろうが若者にはどうしても刺激のない場所でもあるのだった。そこにサッカーのプロチームというのは魅力的ではあったものの、果たしてうまくいくのだろうかとレノファ山口の登場を見守ったものなのだった。

 さすがにJリーグに上がるのはそう簡単にいかなかったもののあれよあれよの内にJ2まで昇格したのである。金銭的には恵まれないので名の通った選手はいないものの、その超攻撃サッカーは他にはない特徴となり、レノファのアイデンティティとなっているのだった。

 そんなレノファ山口とのプレシーズンマッチ。山口でもそれなりに盛り上がりをみせ7千人近く入ったのだった。両ゴール裏には同じくらいサポーターで埋め尽くされ、近くに対戦相手があるっていいことだなと灌漑に耽る。

 そして1-4のスコアで勝ったものの1点入れられてることから、決して戦えないチームじゃないというのが分かるのだった。

 公式戦ではないプレシーズンマッチ。そこには工藤やフェリペや森島や稲垣や廣永といった昨シーズンほとんど観られなかった選手の顔が目立った。もう10年くらいここまでメンバーが替ることもなかったような気がするので、そういう意味でも今シーズンがどうなるのか興味が沸いてくる。

 いよいよ開幕。あと一週間の猶予を妄想と共に待ちわびる。今はこの昂揚感を味わっていきたい。

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