浦和戦~入らないゴール

2016/09/25 浦和レッズvsサンフレッチェ広島 埼玉スタジアム2002

 前の席が立つから必然的に立たなくてはいけない。それが逆に応援に一体感を生みサンフレッチェの応援が響きわたる。それがいい結果に結びつければ、そう思ってたものの試合は静かな立ち上がりだった。

 ブロックで守るサンフレッチェに対してボールを回す浦和。それはそれで上手く立ち回ってるような気がしたがそんな時間が続くといい加減もどかしくなってきた。やはり攻める場面が見たい。そんな想いを感じ取ったかのようにスルーパスが出る。ミキッチが出てクロスを上げる。そしてウタカもGKと1対1のシュートを打つ場面があった。が、決まらない。でもそんなチャンスの連続はペナルティエリアでのミキッチのファールを導き出したのだった。

 蹴るのはウタカ。フラッグを降ったり大声を張り上げたりしてプレッシャーを与える浦和ゴール裏。そんなことぐらいでウタカが外す訳ないよとたかをくくってると外した。GK西川のはるか頭上を越えるキックを蹴ってしまいボールは遙か彼方へ飛んでいってしまったのだった。

 ああああああ。

 崩れ落ちそうになるもドクトルはまだチャンスはあると気丈な声を掛けるのだった。

 ところがその後カウンターからクロスを上げられる。懸命に戻ったサンフレッチェのDF。しかし次の瞬間ボールはゴールの中に入っていたのだった。ゴール、しかもそれはオウンゴールなのだった。

 PKを外してオウンゴールで失点。まるで自作自演のような展開に茫然自失となる。それでも同点を狙うべく攻めにいくと再びウタカにGKと1対1の場面が。だがこれも決めきれなかった。あれだけゴールに近づいても決めきれないウタカにもう得点の期待はできなくなってしまった。

 ゴールには近づいてる。それは間違いない。なぜならゴールまで1mの距離まで来た場面が何度あっただろうか。それらをことごとく決めきれない。それだけに終わらず速攻時にドリブルで駆け上がる茶島が攻めきらずパスを出してカットされた時、もう何万回チャンスがあっても決められないような気がしてしまった。それだけに尚のこと、攻撃への重心は傾いていくのだった。

 するとどれだけ攻めても決めきれないサンフレッチェの攻撃に気をよくした浦和はボールを取ると一気にカウンターを仕掛ける。全速力で守備に戻るもポン、ポン、ポンと簡単につながれて真正面からゴールを喰らってしまった。そしてその後もカウンターから決められるとさすがにもう諦めの心境が生まれた。それでも懸命に声を枯らすアウェイ席。1点、せめて1点でもいいから決めてほしかった。

 ウタカ、茶島に見切りをつけ、そして丸谷を下げて守備の枚数も減らし皆川、浩司、寿人という攻撃的な選手を入れていった。サイドからのクロスが入る、皆川は合わせられない。ミキッチのアーリークロス、ラインを割ってしまう。バイタルエリアでのFK、これも入らない。どこをどうやっても点が入らない。そしてCKでもちっとも点が入らないと知ると浦和は露骨にCKを与えて楽々とクリアでゴールを守るのであった。

「悪くないんだけどなあ。どうしてこうなるんだよ」

 ドクトルが呻くように決して浦和に負けてるような気がしない。それなのに3点差がついてる。一体これはどうしてなんだろう。時間が経つに連れてもしかしてこのまま無得点で終わってしまうのかという焦りが生まれるのだった。

 そしてそのまま1回もゴールを割ることができず終わると徒労感に苛まれる。ぐたっと座り込みそうになった。が、それでもアウェイゴール裏から送り続けられる声援にこちらも勇気づけられるのだった。

「いやあ、試合として悪くはなかったんだけどなあ。やっぱりウタカが外しすぎたよな。あと、失点が収まらないのもカズに比べて丸谷の守備が安定してないんだろうな。それが分かってて森保さんもあえて丸谷を使ってるような気がするよ」

 ドクトルの呟きに皆が同意を示すのだった。

 浦和に負けた。多くの元サンフレッチェの選手が所属する相手に負けた。そこがまた空しさを大きくさせるも周りにいる仲間やサポーターによって立ち直れたのだった。

 もう今年は関東で観戦するのはこれが最後だろうか。でもまだ天皇杯もあるし、希望の火はまだかろうじて灯っているのだった。

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