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青春の夢を見た( [SONG by] Ep.3 )

何も考えずに筆を執った。

壊れた涙腺から溢れた雫がまだ頬を濡らしている。もう1時間が経つのに呆然とした余韻から抜け出せない。
どうしても今日のうちに、言葉にしておく必要があると思った。
わたしの生涯の宝物となるであろう、7月7日七夕の日、公開されたSONG by Ep.3について。


帰宅途中、友人からのLINEでソングバイが投稿されたことを知った。
慌てて通知を見て、目に飛び込んできた日本語の文字列。

「あの夢をなぞって」

夢かと、思った。

家に辿り着いてすぐ動画を開く。

一音目で、もう涙が出てきた。
だって、大好きな歌手が、日本の曲をこんなに素敵に歌ってくれている。

ただ選んで、歌うだけでなくて、
曲に真正面から向き合って、そのテーマを自分なりに噛み砕いて、わたしたちに届けてくれる。そんな当たり前ではないことを、違う文化圏の、異言語の曲で。
誰よりも真摯に歌手であろうとするスンミンさんの思いが、痛いほど伝わってくる。

日本向けのコンテンツではなくて。
日本活動用の用意でもなくて。
単に流行りだからと選んだわけでもなくて。

選曲を見たときに、ああこれは、スンミンさんが聴いて、素敵だと思って、この夏の日、STAYに歌を通して伝えたいと思った、メッセージなのだと…確信して、そんなの、泣けないわけがない。

簡単な言葉だけで構成されているわけではない、長い日本語を覚えてコメントしてくれて。韓国の方には難しいだろう「つ」「ず」の発音もほんとうにきれいで、ひとつひとつの単語がただの音でなく確かに意味を持っていて、このソングバイの裏に存在するであろう練習の日々にこんなにも胸が痛い。
原曲に最大限のリスペクトを払いながら、自分の世界に引き込んでしまう、自分の曲として生まれ変わらせてしまう。簡単なことではないのに、言語の壁を越えて成し遂げてしまうスンミンさんは、きっと天性の歌手で、どこまでも努力の人だ。

鳥の鳴き声と、澄んだ空と、茂る緑と。肩越しに漏れる光と、その周りの微かな虹。
どこか浮世離れした美しさと儚さの中で、確かにどこまでも真っ直ぐな歌声が、物語の始まりを告げる。

「夜を抜けて 夢の先へ 辿り着きたい未来へ
本当に?あの夢に 本当に?って今も
不安になってしまうけどきっと」

この歌詞に、自分を重ねた夜はあったのだろうか。
夢に向かって歩む大切な誰かに、この歌詞を届けたいと思った朝があったのだろうか。

自然の中で青春を語り、青春を歌うスンミンさんは、この世の何よりも綺麗だった。

「一緒に活動しているメンバーと過ごす環境自体が、青春漫画のような…」

アイドルという道を選んで、厳しい世界で戦ってきて、沢山の得たものの代わりに、失ってしまった大切なものも、きっとあったはずで。
それでも今の日々を青春と思ってくれるなら、メンバーからの、STAYからの沢山の愛がスンミンさんにとって青春だと思えるくらい、キラキラとした幸せの形をしているなら。

わたしはただひたすらに、これから何年経ってもスンミンさんが光の中で歌っていられるように、静かに祈りを捧げるだけだ。

出逢ってくれて、ありがとう。
歌を歌っていてくれて、ありがとう。
届けてくれて、ありがとう。
Stray Kidsのスンミンでいてくれて、ありがとう。

抱えきれない感謝を胸に、もう一度再生ボタンを押す。

優しい声で語られ始める小説の世界の中で、そっと目を閉じた。

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