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みんな、頑張ってる。

先日、午前3時くらい。
すすきのでタクシーを拾った。

3人で飲んでいて、そこから1人合流、3人合流し
最終的には7人くらいで飲んだ。
年齢関係なく、みんな対等に話せる関係の人たち。
居心地が良くて楽しかった。
みんなはその後ダーツバーに行こうって
話をしていたけど、
少し疲れていて、1人で帰った。

こんなご時世の若者の飲み会。
世間ではあまり良い顔をされないんだろうなぁ
とか考えつつ、
4台ほど停まっていたタクシーの1つに乗り込んだ。

タクシーのおじちゃんは、
話しかけてくるタイプとそうでないタイプがいる。
今日の人は話しかけてこないっぽいなぁ
とか思いながら、
2年前には想像もできなかった
静かな夜のすすきのをぼーっと見ていた。

「学生さんですか?」

乗車してから10分後くらいに唐突に聞かれた。
あまり歓迎されないのではと思いつつ、
嘘をついてもしょうがないので
正直に学生だと答えた。

「そっか。学校は大変みたいだね。」

案外優しい返答に、安心した。
会話しても面倒くさくないタイプだと判断した私は
この1年半で数え切れないほどした
「コロナ禍の学生生活」の話を
当たり障りのない程度に話した。
うんうんと話を聞いてくれるおじちゃんには
好感が持てた。

逆に私も、おじちゃんに質問をしてみた。
タクシーも、やっぱり大変ですか。

「そうだね。
 私の持ち場はずーっとここ(すすきの)
 なんだけど、
 ここ1年半は、本当にひどいね。
 深夜帯、10時間くらい待機してても
 1人もつかまらない時もあったからね。
 今日だって、お姉さんが3人目だよ。」

20時から待機していると考えたら、
7時間でたった3人。

時給換算したら、割に合わなすぎじゃないですか。

「その通りだよ。
 私たちの仕事ってのはね、完全歩合制なんだ。
 お客さんが払う代金の50%が、
 私たちのお給料になるんだよ。
 料金が1500円だったとしたら、750円。
 今日のお客さんたちは大体
 そのくらいだったから、
 出勤時間で割ってみたら、ねぇ。」

初見の情報に、驚いた。
タクシーという乗り物が割高な分、
タクシー運転手という仕事も
割りが良いのだろうと思っていた。
いや、現に稼げる仕事ではあったのだろう。
騒がしかった以前のすすきのでは、
タクシー待ちの列が毎晩長く伸びていたのだから。

「2020年の、一番北海道の感染者が多かった月。
 あの時の給料、いくらだったと思う。」

うーん、15万円、とか?

おじちゃんは笑って、「これだけ」と
片手でパーを作った。

年齢で言えば、50代前半くらいだろうか。
人当たりも良いから、きっと家庭もあるのだろう。
そんな中で、稼ぎが月に5万円。
アルバイトをした方がまだマシだろう。

そんな。。よく生活できましたね。

「まぁ、頑張ったよね。
 生活するしかないからさ。」

「こんな世の中、早く終わって欲しいよね。」

そうこう話をしているうちに、私の家に着いた。
料金は1640円。
その50%を考えて、
何だか申し訳ない気持ちになった。
精算してお礼を言おうとした時に、
おじちゃんが言った。

「私たちにとっては、こうやって
 タクシーを利用してくれるお客さんがいるだけで
 ありがたいんだ。
 特に最近は、若い人が多くてね。
 世間では若者がどうこう言われてるけど、
 私たちにとっては、
 本当にありがたい存在なんだ。
 お姉さんも、ありがとうね。」

あ、今日タクシーに乗って良かった。
と思った。
こんなにストレートに感謝を伝えられる
おじちゃんの人間性に感動した。

こちらこそ、ありがとうございました。
また、使います。

そう言ってタクシーを後にした。

このご時世、一番辛いのは学生だ
なんて言ってくれる大人が多いけど、
私はそんなこないと思う。
大人だって苦しくて、
それこそ月5万円の給料で家族を
養わなくてはいけない状況の人が
一定数存在しているわけで、
決して自分らだけ悲劇のヒロインに
なってはいけないと深く感じた。

大人とか学生とか関係なく、
みんな、頑張ってる。
私も、頑張ろうと思った。

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