Intermission(ほんじつはおやすみ)~包丁をおる~

冷凍保存にしかけた魚がかなり凍った頃になって、まるごと冷凍したらあとが難儀とふと気がつき、今更ながら筒切りに分けよう、と包丁の背を木槌で叩いて刃がたちはじめた何打目かでウッカリ刃先側をヒットしてしまい、手のなか木柄の中で鋼が折れたー形あるものだから運命としてそうなったのではなく、これはうっかりとせっかちの帰結で、でもうっかり者でせっかちだが、ドコカノ鍛治屋さんがそれを直してくれるものなら結構長く待てるだろう…柄の中で折れている包丁はまな板の上で豆腐を切るにも難儀だし、キャベツのせんぎりなどのぞむべくもないが、諦めて柄をはずすと、てに持った食材を削ぎきりにするのには都合がいい、但しその直線は作業中の手に馴染まないーその理想のかたちは石包丁だと手が思うーだから、だれかそんな包丁を作ってみませんか…それでだからつまり、文字どおり、ということは基本であって、今日の出来事は料理人の引退決意、では無かったのです。