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ときめきアイドルはいいぞ

Abstract

In this article, I shall discuss Tokimeki Idol and its management. First, I would like to explain what is good about Tokimeki Idol, then introduce some of my favorite songs. Tokimeki Idol is an awesome content; however there are some requirements to the management, and I make suggestions depending on each one.

Index terms ― Tokimeki Idol, KONAMI Didital Entertainment, smartphone game, music.

1. はじめに

図1 ときめきアイドル(オフライン版)

 2017年9月に事前登録が始まったKONAMI Didital Entertainment(以下、KDE)によるスマートフォン用ゲームアプリ「ときめきアイドル」は、約半年後にサービス開始された。いつやり始めたのか定かではないが、初のイベント「にゃん娘大変装!」を完走した記憶はあるので、それほど日は経っていないだろう。で、それほど経たないうちにサ終を食らってしまった。
 今でこそ高品質な3Dグラフィックスによるスマホゲームが数多くあるが、2018年当時においてときドルのモデリング・UIデザインは一級品であり、大御所やライバルに決して引けを取らないものであると確信している。現在でも折に触れてオフライン版をプレイする度、その完成度の高さを実感する。流石に3Dはやや古くなった面もあるが、イラストに近い等身大のキャラクターが寮内・ステージで動き回っているのは今見ても十分鑑賞に耐え得るのではないかと思う。また、プレイ結果などによって精度が変わるオートプレイ機能やアクセサリー単位の着せ替え機能やVR機能など、当時のアイドルリズムゲームとしては先進的な要素が多数含まれていた。
 もちろん、このようなゲームにおいて欠点が存在しない訳ではない。サ終の大きな要因、それは射幸心を煽らなかったことではないか。アイドルゲームにおいて、各アイドル毎に専用の衣装が実装されることが多い。これは、"限定物"に対するプレイヤーの心理、そもそも推しに対する愛着(信仰心とも言える)が働いてガチャが回る。しかし、ときドルはそのようなことはせず、15人全員に共通の衣装を与えキャラカードの性能もほとんど同じにした。これによって全アイドルを平等に愛することができ、特定の者を偏愛するということを抑えられるであろう。一方、アイドルに格差を付けなければガチャが回らないという悲しい現実によって売り上げが振るわず、サ終の憂き目に遭ったと推測している。要するに、金に貪欲になれなかった。
 さて、ここまでがオンライン版「ときめきアイドル」の概説であるが、2021年現在でもほぼすべての要素が詰め込まれたオフライン版が完全無料で提供されている(図1)。できないのはフレンド登録くらい(実はもう一つあるのだが、それは後述)。いいからやれ。
 本稿は次のような構成となっている。第2章ではときドルの曲について語る。第3章ではオフライン版アプリ「ときめきアイドル」について語る。第4章ではときドル運営に対する要望を述べ、第5章で総括する。

2. 曲はいいぞ

図2 アルバム
図3 Spotify

 ときめきアイドルの曲を聴くためにはCDはもちろん、Spotify(図3)やMusic Unlimitedなどのサブスクリプションサービスを利用することがができる。ひなビタやバンめしも同様なのでKDEの方針であると考えられるが、いずれにせよときドルの曲をほぼ全て手軽に聴けるというのは大きな特徴である。以下の曲紹介においてSpotifyリンクを埋め込むが、何故か音量調節バーが存在しないため試聴の際には音量に十分注意していただきたい(あと埋め込みが異様に大きい)。
 CDを買う場合にはアルバムを3枚買えば一通りの曲が揃う(図2)。シングルは、それぞれのソロ曲が入っているという価値がある。特に2ndアルバム「ときめきアイドル Song Collection 02」を買うことを強く推奨する。理由は後述。

DREAMING-ING!!

 アイドル物には全体曲が付き物なので、当然ときめきアイドルにも存在する。それが「DREAMING-ING!!」という最初期の曲である。ときめきアイドルの楽曲は基本的に自分語りをすることはない。すなわち、「私はこのようなアイドルになりたい」というメッセージは含まれない。しかし、本曲(及びトキメキ☆ミライ)は例外である。彼女らの目標はメロディアスライブで優勝すること。この曲の歌詞には「憧れのステージ」とあるが、これは明らかに伝説のステージ「メロディアスライブ」のことである。これからも分かるように、DREAMING-ING!!は彼女らがアイドル科に所属した直後の曲である。非常に真っ直ぐな歌詞に、1stライブで感涙した者も少なくないだろう。一番最初の曲でありながら、今なお好きな曲である。

Magic Hour

 ときめきアイドル以来、2番目のオリジナルソロ曲(1番目は日比野記子のお月様のメロディー)。好きな事には全力で取り組む、そんな奈々菜の熱いソウルが伝わってくる名曲。
 「キミのその笑顔が闇に迷わないようにひとつ小さな星をキミにあげる」、所謂エモい歌詞とはこういうことを言う。また、本曲の歌詞はバンドパートナーかつ同ユニットメンバーである日比野記子が書いたというのもエモポイント。さらに、普段は高い声の奈々菜が低いキーで歌う、これもエモい。すなわち、本曲はエモさの塊に他ならない。

Keep the Faith

 「Rhythmixxxの3人、こんなにカッコ良いユニットだったっけ」、初めて聴いたときこのような感想を覚えた。少なくとも菜園系お笑いユニットが歌うような曲ではない。もっとクールなユニットが歌いそうな曲なのだが、なぜかRhythmixxxと妙にマッチしている。とにかく、サビ前のガラスが割れる音が良い。歌詞に深入りすることはしないが、思春期特有の若さと青臭さを感じられる。

3. ゲームはいいぞ

図4 タイトル画面

 オフライン版「ときめきアイドル」は現在においても配信している。いつまで遊べるかは分からないが、Android 11とiPad OS 15.1で遊べているのでまだまだ大丈夫だろう。図3はタイトル画面を示しているが、誕生日や月ごとなどによってイラストが変化する(オンライン版は1種類のみだった)。1年周期で変わるため、度々起動して眺めてみるのも良いだろう。本章では、ゲームの中身を解説する。

寮内

図5 談話室

 アイドルリズムゲームのホーム画面と言えばどういうものを思い浮かべるだろうか。指定したアイドルの2Dないしは3Dがドンと置かれ、背景は固定ではないだろうか。しかしときめきアイドルは異なる。彼女らの住居である寮そのものが文字通りホーム画面であって、普通のライブ終了後もメロディアスライブ終了後も必ずそこへ戻される。これはある意味当たり前のシステムであり、彼女らの事務所こそが寮だからである。
 寮内では、彼女らの日常生活を垣間見ることができる。雑談したり自主練したりご飯を食べたりグラディウスしたりご飯を食べたりなど。アイドルの日常を描くこのシステムは、アイドルでない彼女らの素顔を見せてくれる。単なるリズムゲームに留まらない、「学園アイドルコミュニケーション」としての役割をしっかりと果たしていると言えよう。

ライブパート

図6 ライブリザルト

 とはいうものの、メインはリズムゲームなのだろう。実にシンプルなシステムで、タップ・ホールド・フリックの3種類のノーツが存在し、ノーツがクロスして降ってこない、奥行きはそれほど無いという特徴がある。したがって、音ゲーとしてはかなり質素であり覚えゲーの要素は少ないと考えられる。
 ここまではよくあるリズムゲームであるが、ときドルの先進的な要素として「おまかせライブ」というシステムが存在する。プレイ結果の腕前によって点数が決まるテクニックリザルトに応じて、それなりのプレイを自動でやってくれる機能である。今でこそおまかせライブに類似したシステムが他のゲームにもあるが、当時としては唯一無二の要素であった。キャラストーリーを読むにはそれなりに回数をこなす必要があるので、スタミナ3倍消費と合わせればかなり快適に進めることができるだろう。

VR

図7 ジャイロモード
図8 ネコセンパイ憑依モード

 ときめきアイドルの最も大きな特徴はVRに対応しているところだろう。戦術のホーム画面はもちろん、ライブ鑑賞をVRにて行うことができる(図7)。特等席でライブを見ることができるため、ライブ空間特有の臨場感を味わえる。MV付きの曲は全てVRで鑑賞することができる。これは、実際にアイドルがライブ会場で歌って踊っていることの証明にもなるだろう。
 以上の要素だけなら後追いとはいえ他ゲームにも存在する。ときドル特有のVR要素としてネコセンパイ(図5の猫)に憑依するというのが有名だろう。ネコセンパイを一定時間見つめることで、視線がネコセンパイの位置に変わる。視線が変わることで見える風景も変わってくる。それ以上に肝要なのは、ネコセンパイに憑依しているとアイドルに撫でられるというイベントが発生する。しかるに、ネコセンパイ憑依モード(図8)は「学園アイドルコミュニケーション」の要素があると言えるだろう。
 他にも着替えるように指示したり、顔色を見てもらったりすることもできるが、いずれにせよVRは必須の要素ではない。ゴーグルを用意したりそうでなくとも現実で体の向きを変えるのが面倒な人もいると考えられるため、VR要素をおまけあるいはお遊びとして導入したのは、アイドルゲームとしては丁度良い塩梅ではなかろうか。

4. 運営への要望

ときドルダイアリー以外の展開が欲しい

図9 もっと! ときめきアイドル ~featuring 青山つばさ&川口夏海~

 新曲やライブを行うのみならず、既存曲をBEMANIシリーズに移植するとかオフライン版で曲をDLCで追加するとか、とにかくやれることはまだまだある。つい最近(12月8日)1stライブのブルーレイが出たばかりではあるが、オンライン版から現在までずっと追っている者としてはコンテンツの供給を僅かであっても求めている。コンテンツを追うためには、まず供給が無ければ始まらないのである。
 また、確かにときドルダイアリーは15人のキャラの掘り下げに貢献していると思われるが、2・3個の台詞しかない形式では掘り下げるのにも限界がある。昨年、ドラマCD「もっと! ときめきアイドル ~featuring 青山つばさ&川口夏海~」(図9)が発売されたが、もっと! ときめきアイドルシリーズを続けるべきではないだろうか。アイドルは生き物である、たとえ非実在のアイドルであっても。したがって、ドラマCDは彼女らのキャラクター性の掘り下げという点において最も適した媒体なのではないかと思う。

2ndアルバムをサブスクに入れてほしい

図10 2ndアルバムの不在

 前述の通り、ほぼすべてのときドル曲はSpotifyなどで聴くことができるのだが、なぜか「ときめきアイドル Song Collection 02」だけはどのサブスクにも入っていない(図10)。このアルバムが既存曲の寄せ集めだけだったら問題なかったのだが、草壁野々香によるカバー曲「出会えて良かった」や村井聖夜氏によるリミックス「フィフネルの宇宙服 ~アウター・スペース・ミックス~」などの名曲を聴くことができなくなっている。したがって、2ndアルバムをサブスクに収録することは有意義かつ必要である。
 また、3rdアルバムを最後に新曲の供給が止まっているため、4thアルバムを作成できる程度の新曲を揃えることが求められている。3rdアルバムにはそれぞれのグループの曲が一通り収録されたため、4thアルバムに向けて各アイドルのソロ曲を用意するのが良いのではないだろうか。カバー曲ではなく、新曲でもってソロ曲を持つことが望ましい。とにかく、新曲の発表を強く希望する。

アンダーザブルースカイをオフライン版のガチャに入れてほしい

図11 アンダーザブルースカイ
図12 ブーツ

 継続プレイ特典として新SSRカード「アンダーザブルースカイ」(図11)が配布されたが、新規に始めたプレイヤーが手に入れることは現在不可能である。そろそろ3年経つのだし、引継ぎしていないプレイヤーにも入手機会を与えるべきではないか。次段に述べる通り、この衣装はよくできたものであるため、新規プレイヤーにも入手のチャンスを与えるべきである。
 この衣装は、水着を除けばかなり露出度が高い。ゴシックネクロードを始め、ときドルの衣装は基本的に露出は控えめである(バニーガールでさえスカート)。レースクイーン調の衣装ではあるが、ブーツのヒールを抑えることでダンスに適するようになっている(レースクイーンが履くブーツは概して厚底ハイヒールである)。また、光沢感を際立たせることによって、そこはかとなくフェティシズムを感じる。要するにえっち。

5. まとめ

 思えば、所謂アイドル物にハマったのはときドルが最初であり、(現在においては)最後である。他のものにはそれほど熱狂しない、できないというのは実に不思議な事である。思いつく限り考えてみると、やはり全推しがしやすいコンテンツだったからではないか。例えばキャラクターが100人いたとする。すると、当然各アイドル毎の扱いの差が生まれるのは必然である。極端な話、曲も無ければそもそも声も無い、そんな惨めなアイドルが存在する可能性も生じてくる。それぞれが互いにどのような関係であるか、それを把握できる限界が15人だった、とも言える。
 しかし、それだけでは説明が付かない。なぜなら、アイドルの人数が過多でないコンテンツは山ほどあるからである。もう一つの考えられる理由としては、コミュやストーリー、ホーム画面においてアイドルとプロデューサーが関わり合っていることが強く描写されているからだと思う。単推しすることはシステム上不可能であり、15人全員のマネジメントをすることによって全員を深く知ることができる。
 締め切り間近でかなり焦っていたため乱雑な文章となってしまったが、ときめきアイドルというコンテンツがどういうものであるか、その雰囲気を掴み取っていただけたのなら大変幸甚に思う。また、ときめきアイドル運営に対し更なるコンテンツの供給を強く熱望して、この記事を締めたいと思う。

謝辞 この記事は「期限設けないと書けない人のための Advent Calendar 2021 - Adventar」に参加したものです。FFのkabi(@aokabi_111)にはまとまった文章を書く機会を提供していただきました。また、KONAMI Digital Entertainmentにはときめきアイドルという素敵なコンテンツを供給していただきました。

sky-18 is a person who likes games, especially retro games. At first, he was trying to write an article about Ryu Saeba who is a "strongest" character in Burning Fight. However, since Burning Fight is more popular than he expected, he thought that it is nonsense to introduce it. He wondered what it was that he had been addicted to throughout the year, and what he came up with was Tokimeki Idol. His Twitter account is "@51C7_IS".

 


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