散文

・一年くらい前、父親が、私の母方の祖父に暴力を振るって警察沙汰になった。

・離婚調停に入っている。母と弟と祖父母は家を出ていった。私の実家は、もはや実家ではないような気がする。

・離婚するにあたって、成人済みの私と妹は、親を選ばなくてはいけないらしい。親権をどちらにするか。

・父の家は歴史が長く、私のいとこが12代目頭首になる。父の両親つまり私の祖父母は二人とも元教師で、祖父は教育委員会の理事をしていた。父の弟も教員で、現在副校長。父の妹は保育士。

・金銭感覚が狂っている。私と妹どちらにも5万円とか夏のお小遣いだけでそんなくらい普通に渡す。年末年始も渡される。テレビを持ってきたら周波が違って見られなかったので、新しいものを買う。掃除機を買ったが思っていたのとは違っていたので、違うものを買う。修理するより新しいものを買う方がいいから買っていけという。旅行に行くときはお父さんに言いなさいと言う。おかしい。狂っている。ずれている。この感覚がずれている事に気がついたのは最近だ。湯水のようにお金を使う家。私もそうなっていた。嫌だ。友達が私を止めてくれる。ありがたい。

・父の妹つまり叔母は、夫を震災で亡くしている。子供がいない。だから私を始めとする姪、甥は彼女にとっては特別な存在である。

・私は正規職員で採用されたので、安定した収入は得られている。

・奨学金の返済や生活費で助けられているのも事実。世の中、お金が無いと苦しい。それは今現在の母を見ていて痛感している。お金がある、助けてくれるところに頼るのも生き方の一つではある。

・親を決めるにあたり、すごく難しい判断をしなくてはいけないのかもしれない。奨学金の返済を手伝ってくれて、お金を援助してくれる父親か。だけど、私の大好きで大好きで大切な祖父母を、母を傷つけたことは許されることではない。許してはいけない。許せない。私の大切な人を傷つけた人間を親に選んでいいのだろうか。父も母も、祖父母も、皆私を愛してくれている。だからこそ苦しい。難しい。

・父を選んだら祖父母を捨ててしまう、裏切ってしまう。母を選んだら父から今まで渡してきたお小遣いを返せと言われるかもしれない。怖い。そうだ、たしかに父は怖い。優しいけれど、聡明だけれど、自分の子どもたちを愛しているけれど、だからこそ怖い。

・お金か、私の大好きだという気持ちか。当事者になってみると、綺麗事など言えない。こちらは実際の生活がかかっているのだ。

・私が長女なばかりに、長女なばかりに。長兄社会の日本に生まれたばかりに。無言の圧力とでも言うべきか。答えは決まっているようなもの。

・おじいちゃん、おばあちゃん、大好き

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