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熟女の「熟」を定義してみな

「熟女」という言葉を創造した奴はマジで天才だと思う節があったりする。私が小中学生だった1990年代からその言葉が常用語として使われていたが、どうやら祖となるのがそれ以前にリリースされた五月みどりの歌らしい。

中森明菜の名曲「少女A」のアンサーソング?としてリリースされた「熟女B」とはなかなかのパロディセンスで、いわば佐藤栄作と佐藤B作の構造なのだが、稀代のリリシスト・なかにし礼もおそらく当時、今世に至るまで当たり前に使用される言葉になるとは想像していなかっただろう。
「少女A」については当時の「ヤンキー全盛期」という時代背景をなぞって未成年の犯罪報道で多様される匿名表現をそのままタイトルにしている辺り、作者である売野雅勇氏のセンスが光る作品なのだが、かたや「熟女B」に関してはそれらしいコンセプトが皆無で、ただただ官能小説のようなパンチラインが飛び交う仕上がりになっている。

   "バナナの皮をむくように
         私の服をぬがせたら
         しばらく灯りをつけたまま
         見おろしていてほしい"

五月みどり「熟女B」

冒頭のリリックから読み取れるように、ワードチョイスがひたすらエロい。このことから勝手に世間では「熟女=エロい」という認識になってしまったのだろう。しかしライムスターの「B-BOYイズム」ならぬ「熟女B」イズム「決して譲れないこの美学」というか、本来の熟女の定義が時代の経過と共に薄れつつあるような気がする。一時期の「家にタンテがあればDJ」「韻踏めればラッパー」の如く「女は歳とれば熟女成り」という誤った風潮が道ゆくトーシロやwanna be boy界隈の中で認識されつつあるのだ。

そもそも小中学生の頃からエロ本やアダルトビデオに馴染んでいた私にとって、冒頭の五月みどり feat.なかにし礼が唱えた主義主張の存在を知る前から「熟女=おばはん」という認識ではなかった。当然条件に年齢の枠はあるものの、ただ歳を重ねるだけで「熟女」が成立するわけではない。それこそ当時でいうところのレジェンド・川奈まり子のような、どことなく哀愁とツヤがある綺麗な女性こそ「熟女」なのだ。

2016年ごろの川奈まり子。妖艶さは健在。


しかし時代の経過と共に熟女好き芸人などが面白おかしく熟女像を作りあげた結果、テメエの親までも熟女カテゴリに分類される結果となってしまった。弊社のパートタイマーの9割が50歳以上の女性で構成されているのだが、自分たちを「美熟女」や「美魔女」などと言っている辺り、もはや定義は崩壊しまったのだろう。ましてやSNSなどでも自称熟女諸君を発見することがあるが、顔やらなんやら大事な部分を隠しておいて何が熟女や、などと思うしかない。同様に「イケおじ」とかいうクソ言葉があるが、悔い改めて「壮年紳士」とか絶対に浸透しないような言い回しに訂正して頂きたい。

また、熟女に求められる要素のひとつとして「音」があるのを忘れてはならない。人は男女問わず歳をとることにより声帯と周辺の筋肉が衰えるため声質が低くなるのだが、この声帯の変化を上手くエフェクトしているのが熟女である。基本は低音で、狭いスレッショルド値の中でちょうどいい具合にレシオ値が調整された圧縮音に、イコライザーはHIGHを抑えめにしてMIDをブーストしてLOWを出す。軽くオーバードライブで歪ませてリバーブを薄くかけたような届く轟くベースの果ての声こそ熟女サウンドである。これは熟女AVをヘッドホンで視聴すると感じられるのだが、ブリブリなサウンドを堪能できる。さらにディレイやエコーを駆使して視聴すると、まるでドラヘビのようにぶっ飛んだサウンドになる。

更に深い定義の内容(熟女の唾液がやたらぬるいとか分泌が凄いとかいう論述)は私の人間性を疑われる気がするのでもう言及しないが、あらゆる部分においていろいろ硬くなるストーナー要素を含んでいることは間違いない。つまり、これを兼ね備えていなければ到底熟女とは言い難いのだ。しかし例を挙げるならば弊社の婆群などは声にしかるべきエフェクトがかかっていないためHIGHが高いソリッドなサウンドで、その割に顔には過剰にエフェクトをかけていて、単なる娑婆にしか過ぎなかったりする。ただ歳を重ねるだけで「熟女」になるなんてあり得ず、いわばそれは「熟女B」のB(ババア)の部分だけを継承しているのだ。それこそ繰り返しになるが「イケおじ」の類も同様で、まずはエフェクトを駆使しなければ作品は完成されないということを理解する必要がある。

しかしながらここ10年、いやそれ以上の年月の熟女達は皆エロい。よくよく考えてみれば私が10代の頃に居た巷のお姉さん方々は今やその熟女枠に入っているから必然だ。アムラー、ルーズソックス、援交etc、、、あの香ばしい時代を生きた世代が紆余曲折して歳を重ねたとなればエロくない訳がなかった。同時に私の世代も条件年齢枠に突入していて、寧ろ自分より若い世代が既にその枠に入っているにもかかわらず、まだまだ私自身のスキルが足りていない状況であり、何者にも媚びず己を磨くという「熟女B」ならぬB-BOYの「B」を定義することを引き続き目指すが如く、今日もひたすら熟女ネタで擦るのであった。

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