ここより条件のいい会社があったらそこに行きますか

上記のような面接質問が入社試験であったということがインターネットの掲示板に書いてあったので、これについて書いてみます。

この質問は面接試験としては、(特に営業職などでは)とてもいい質問だと思います。

前に圧迫面接について書いたことと同じこと実はよく似ているのですが、これは「仕事の際に給与や休日に付いて希望がありますか」とか「何か資格はお持ちですか」とは違う意図の質問だということに気づかなくてはいけません。

この質問には言外の意図がいくらか含まれています。つまり、自分の考えていることを答えるタイプの質問ではありません。

たとえるなら、頭の悪さで売っているタレントがクイズ番組で簡単な問題がでたからと言って喜んで正しい答えをいうようなものです。それでは誰も喜びませんし、自分の仕事をしたとは言えません。もうその番組に呼ばれることもないでしょう。

もちろん面接者はお笑い芸人になるわけではありません。しかし、サラリーマンにはなるのです。なのでこの質問に上手に答えられることは能力として持っていて損はありません。実仕事での状況で言うと、契約先との会話中に「うちよりいい条件の契約先があったらそっちと契約しちゃう?」なんて冗談で言われたりすることもあるわけです。そしてその対応によって契約が白紙になるということもあるということです。

では面接でこの質問の正しい答えとはなんでしょうか。正直なところ、確実な答えはありません。正直に「はい」と言うことも、面接官にはわかり切っていることだし、「いいえ」というのも嘘だということが見え透いています。

つまり、この質問に対する答えとして「はい」というのも「いいえ」というのも普通に答えるとどちらも間違いになる質問なのです。これを単なる2択の問題ととらえてしまうとその時点で正しい答えにはたどりつけません。

ただ、答えの方針はあります。面接官に良い印象を与えることです。

なので、答えの方針としては、「いいえ」と言いながら否定する理由に説得力を持たせて話す、というのが主流になると思います。会社が何らかの理由で自分にとってオンリーワンである、あるいはそれ以上良い条件の会社が存在しえないという説得力のある理由づけを話せば十分だと思われます。

一応例を挙げておくと、会社の経営者個人の下で働きたい、その会社の商品が昔から好きだった、給与は自分の能力に見合った給料の上限だと考えている、仕事を覚えるまで休暇を増やすことをそれほど望んでいないなどを付け足して行けばよいでしょう。

そしてこの答えは内容だけでなく、話し方や表情なども非常に重要になってきます。つまり、これは意地悪なロールシャッハテストのような質問ともいえます。

ちなみに「はい」と言いながら、申し訳なさそうにする、あるいは屈託なく答える、そのあとにその会社のフォローを入れる、「この会社は”現実的には”自分の希望しうる最良の条件を満たしています」というようなことを言うことも可能かと思いますが、かなりレベルが高くなると思います。

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