クリスマスエキスプレス89メモ

映像関係の仕事をすることになり、今までテレビなどをあまり見てなかったので何となく基本的な動画のカメラを覚えようと思ったところ、2時間もある映画など見てられません。1分とか30秒で終わるCMを見ようとなり、古いものなどからyoutubeで有名なものを探しクリスマスエキスプレスに決める。

こうして数十回は見たクリスマスエキスプレスの映像について、仕事用に自分のために書いたメモ書き研究ですが、もったいないのでここに書く。

まず最初のカットで主演の牧瀬里穂の紹介カット。花束をもって、走る姿を正面やや下アングルからとらえる。サイズを変えずにカメラも動きながらも迫ってくるかのような位置です。タクシー乗り場のロータリーを走っている。

次のカットでは電車からホームに降車する人たちの足元のカット。定点で3人人分の足が移るがサラリーマン風、女性、と通り3人目の男のジーンズにブーツの足が一度足をそろえてから歩き出す。

次のカットは短いカットで牧瀬が走り駅の入り口らしきドアをくぐる。ドアをくぐると牧瀬を追うカメラ。

さらにその次のカットは男がホームで立ち止まっており頭にまいたバンダナを整える。そして、カバンでも拾い上げるのか体を曲げて歩き出そうとする。ここまで男性のカットは全て定点であり、男の動きは彼女に会うための身支度である。対して牧瀬のカットは常にカメラが動き、本人も走っていて、男対比して急いでいる感じが強調されている。ここまでが起承転結の起といえる。

次のカットは牧瀬のバストアップにやや寄ったカットになり、背景には電車の発車時刻表示版があり駅に入っていることがわかる。相変わらずカメラは動きながら追いかけている。

さらにその次のカットでついに男が歩き出す。ゆっくりとではあるがやや広めのバストショットのカメラも動く。ここまでが承

その次のカットで突然広めの牧瀬の前身が移る横からのアングルのショットになる。カップルを追い抜き走る牧瀬をカメラがフォローしていくと牧瀬は老人にぶつかってしまい、花束を落としてしまう。振り向いてにらむ老人に頭を下げる牧瀬、そして頭を下げた拍子に帽子を落としてしまう。帽子と花束を慌てて拾うと走り出す。ここで老人にぶつかるときにカメラはまるでブレーキをかけたかのようにゆっくりとアングルを変えながら止まる。そして逆に再び走り出した牧瀬はカメラが追えずに画面の外に向かう。実際にはフレームアウトする直前にカットは変わる。CM中一番長いスピード感のあるカット。転

ちなみにここまで牧瀬のカットは終始、低めのアングルからとられている。男が歩き出すときのカットがほぼ水平であることとその前のカットを比べるとわかる。

男の階段を降りる足の短いカット

改札の前らしき場所で周囲を乗客が横切る中、牧瀬が周囲を見渡し、男を探すバストアップのカット。カメラは定点ではなく少し不安定に動く。後ろに向いていた牧瀬は正面を向く。

男が改札の近くにくる。鞄を持ち上げ直すところをバストアップで短く。

牧瀬の前のカットと同じサイズ。正面を向いて不安そうな表情から男を見つけたような明るい笑顔を浮かべる。ここで2人がであって終わりであればこれほど有名にならなかったと思われる。

全身までうつる引いたアングルで駅員や改札を見せながら、男は改札をまさにくぐろうとする。

柱のそばで後ろを見ている牧瀬のかなり寄ったアングルから徐々にカメラが柱の正面に回り込みながら引いていくと改札のそばの柱に隠れている牧瀬の後ろからやってくる男が見える。牧瀬は手にした帽子に気づくと慌てて帽子をかぶり花束を抱えてドキドキして男を待つ。ここまで男がバンダナを整えていたのも老人にぶつかって帽子をおとしたのもすべてがここに向かっていたことがわかる。ここでカメラは最終的に柱を境に画面を半分に割り、左に牧瀬、右に男を配置する形になる。「ジングルベルを鳴らすのは帰ってくるあなたです」のナレーションとともに男の側にクリスマスエキスプレスのロゴが出てくる。この年から使われているこのロゴは、「Xmas eXpress」の文字がXの位置を揃えてまるでプレゼントのラッピングのような形になっている。それが男の上にかかるということは、男をまるでクリスマスプレゼントに見たたてているかのように思われる。個人的な予想になるがCMを作った人たちは前年のCM(まだクリスマスエキスプレスの名がついていない)のナレーション、すなわち「帰ってくるあなたが最高のプレゼント」を想定していたのではないかと思われる。


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