タバコ

喫煙者の方々への思い。

私はタバコは吸いません。小さなころからヘビースモーカーの父を見て育ったので、タバコは中毒性がありやめられないのだろうこと散々見せられていました。また、父の部屋や体はタバコのにおいがしみついていて、TVドラマでいうような懐かしいにおいなどという感慨はなく、夏場などは体臭と混ざったりして、ただただ不快なにおいでした。

タバコとはかつての若い人たちの間では不良のトレードマークのように扱われていましたが、とても不思議でした。大人に反抗的であることを見せつけたいはずの不良とかロックとか自由をかたる人々が、合法な大人の商売であるタバコを買い、その中毒性からやめられなくなる。つまり、私はタバコを吸っている人が、まるでタバコを販売している人々に飼われているような不自由さを感じていました。

また、近年は喫煙権について配慮されるようになってきました。ときおり喫煙権をかたる喫煙者を見かけます。ニコチンに中毒性がある以上、喫煙権について議論ができるのは非喫煙者だけではないか、という問題もあります。中毒性のあるものについてその中毒になった人が冷静に判断できるのかどうか疑問です。

タバコの一番のデメリットはそのにおいにあると思っています。今では箱に、健康を損ねるとか、寿命が縮むとか、書いてありますが、それはいつか起こる「かもしれない」話であり、TVで放送されるような長寿の老人が意外とタバコを吸っていたりします。そんなことよりもタバコのにおいは確実に体につく。これこそが恐るべきデメリットだと思います。

学生時代、飲食店やゲームセンターなどでアルバイトをしました。営業中や閉店後に灰皿を集めて、捨てる前に吸い殻や灰の山に水をかけるのですが、その時に何とも言えない、ゴミ捨て場のにおいの一部を凝縮したようなにおいがするのですが、そんなにおいがタバコを吸ったばかりの人の口からは出ています。そして、そんな時に仲のいい人であれば「臭い。」といいますが、そうでなければ心の中で臭いと思いつつ口には出しません。個人的な感想ですが、このにおいにかつてメディアを巻き込んでかたられた、かっこよさ、哀愁などは一切感じません。ただただ美人をも台無しにするにおいが体にしみつくだけです。

ちなみにタバコの一番のメリットとはその中毒性にあると思います。自ら新しい欲を体の中に作り出し、お腹がすいたから食事をとるように、(もともと体は必要としないものであるにもかかわらず)ニコチンが切れたからタバコを吸うのです。

これによって空いた時間を埋め、手持無沙汰なときに、「タバコを吸う」という欲を満たす「作業」をすることができるのです。また逆にいつまでも続けていると飽きてしまうような長い作業をしているときにその作業とは違うことをことで気分転換ともなるのです。食事やゲームなどをするほど時間をかけることもなく、薬物のような幻覚を見ることもなく。もちろんただただ暇なときに時間をつぶすこともできます。

デメリットの多いタバコではありますが、こうしてあらためて文章に書いてみると、職種などによってはタバコのメリットもそれなりにあるように思えます。即ち、長時間の集中力などを必要とする業種などに限っては、その本人の肉体は気づかぬうちに犠牲になっていますが、作業効率の面などで必ずしも悪くないかもしれないということです。

ただそのメリットの本質は中毒性にある以上、喫煙者は喫煙をしながらその権利を論じる際に冷静な判断ができなくなってしまうという矛盾もはらんでいます。また、よくよく考えてタバコを吸うことによるメリットのない業種や生活環境にある人の方が現実的には多いと思われます。

ここまで、あまり一般的な歩きタバコの危険性や副流煙の害などについては特に書いてませんが、そういったことも含めて、タバコにはデメリットが多いです。それでも吸う人がいて、パチンコ屋(今では禁煙コーナーもあったりしますが、やはり喫煙できる場所がメイン)や競馬場などが喫煙自由なのは意思の弱い人々を食い物にしているような気がするのです。

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