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「成功したオタク」

有明で推しの展示を観た後に、新宿でそんな日本語タイトルの映画を観ました。(韓国映画です)

タイトルから思い浮かべる印象は、かなり楽しそうですよね。
勿論私も最初はそう思いましたが、事前に公式サイトであらすじを読んで「いやとんでもねえわ」ってなりました。
推しの展示を観た後に観る映画じゃねえよ。いやストーリーはわかった上で両方を同じ日に詰め込んだんですが。

「成功したオタク」はドキュメンタリーなのですが。
ざっくり言うと、2019年にこの映画の監督が推していた芸能人の方が犯罪者になった。
推しに認知されていた「成功したオタク」から一転、推しが逮捕された「失敗したオタク」になった。
監督は、他のファンがどう感じているのかを取材して回った、という感じの内容です。
同じ推しを推していた方、別の推し(やはり罪を犯して逮捕された)を推していた方…私は韓国の芸能界に詳しくないので(日本国内すらあやふや)、それがどんな事件だったのか、どのぐらいの規模のものなのかはわかりませんが、とにかく推しが性犯罪者として逮捕された、その後のファンの気持ちの動きが次々と告白されていきます。

85分のコンパクトな映画ですが、私はイラストにするなら矢が全身にぶっ刺さりまくった状態で映画館を後にするほど、ファンの・ファンだった方々の言葉がどれもこれも私を揺らしまくりました。
そしてこの映画を全芸能人・推し活をしている人たちに観てほしいとまで思ったんですよ。
前者には「自分たちが何かしたらファンにこう思われる覚悟をしろよ」と、後者には「自分がいつこう思うかわからないぞ」と。

と同時に、「私がこの映画を観ているほんの少しの時間にも、私を揺るがしかねないことが起きるかもしれないんだな」と。

私の推しがもし犯罪を、よりによって性犯罪なんてもんをやらかしたら。
まずは正気を保つ自信はない。そしてその後沸々と怒りが湧いて来て、猛烈に怒りまくるだろうなと思います。
擁護には回らないと思う、でも嫌いになることもできないかもしれない、それはどうかわからないし、できるなら一生わかりたくない。

映画の中に出て来たファンの方々の言葉や苦悩は、「わかるわかる」と思うものもあれば、「おお、そこまでは流石に思わんだろうな」と思うものまで、本当に彼女たちのいろいろな気持ちが吐露されていました。
その辺りは個々の感性の違いだよね。同じ日本人同士の私と誰かでも、「わかるわー」ってなる言葉は違うだろうし。
ただ、韓国の方の情の深さというのは、日本人のそれとはまた違うので、そういう意味では理解しきれない面があって当然なのかもしれない。

私はギャンブルをしない。
確かに友人と競馬場に行って、一口だけ買ったことはあるけども、それも「パドックでその馬と目が合った。可愛かった」とか「馬の名前が気になった」とかそんな理由でした。(買ったのは2回だけ。ちなみに2回とも外した)
そんな私が唯一手を出すギャンブルじみたものというのが、ライブのチケットだ。
「彼らなら最高のステージをみせてくれるだろう」という、賭けのような気持ちで10,000円前後のチケットを買う。これがギャンブルでなくてなんなのだ本当に。

そういう「信頼のつけ払い」でチケットを買わせていることは、全アーティストに自覚してほしいなと思ったりする。インディーズもメジャーもない、歌も演劇もスポーツも何もかもジャンルなんて関係ない、金額の多寡も関係ない。

今のところ、私の推しは私の期待を裏切るようなことはしてはいない、と思う。
でもそれだけで、充分「成功したオタク」なのかもしれないな。

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