限界独身オタク男性がモニタースピーカー用のパワーアンプを新調した話
・Ncore搭載のパワーアンプを買った話
・何でこれを買ったの?NCoreって良いの?という話
・フランスから個人輸入したよという話
・音について
・検討してる人に向けた注意点
Ncore搭載パワーアンプ、買いました
買ったのはこのモデルです。
AUDIOPHONICSというフランスのショップオリジナルのモデルで、ステレオ250W@4Ωのシンプルなパワーアンプです。諸費用込みで大体58,000円程度でした。
Hypex Electronicsという会社のNcoreというシリーズの、NC252MPという250Wステレオのパワーアンプモジュールを使用……というか、そのモジュールをケースに収めて端子やスイッチ等と接続しただけのものになります。
電源スイッチはありますが、ボリューム等は存在しません。
何でこれを買ったの?NCoreって良いの?
まずはアンプ遍歴を。
元々はMarantzのPM-80という30年くらい前のプリメインアンプを中古で安く購入して使っていたのですが、古いモデルなだけあって4年ほど使ったところで故障してしまい、とりあえずの繋ぎとしてAmazonで3,000円くらいで買えるLEPYの中華アンプを買ったのですが、中々アンプに予算を回せるタイミングが来ずに、ズルズルと2年以上この中華アンプを使い続けていました。
激安LEPYくん
流石にこのままでは不味いと思っていたのと、長らく動いてなかった東方アレンジサークルの活動がまた始まったこと、幸い資金にも多少の余裕があったことから、買い換えるなら今しかないだろ!と思ったのが始まりです。
実は2年ほど前から欲しいと思っているアンプがありました。
逢瀬というところが出している、WATERFALL Integrated 250という、DAC+パワーアンプというあまり見ない構成をしている機材です。
エンジニアの知人やオーディオ好きの知人がベタ褒めしており(参考記事1 / 参考記事2)、めちゃくちゃ欲しかったのですが……いかんせん価格が高い。40万円!!!!
全く手が届かないというわけでもないのですが、他の機材に予算を回せない、他の趣味に予算を回せないという問題があり、これの購入は泣く泣く諦めることにしました。宝くじ当たれ。
じゃあどうするかという話です。最初はPM-80を修理に出したり買い直したり、もしくは他の評判の良い数万円程度のアンプを調べて買おうかなとか思ってたのですが、ふと、Integrated 250に搭載されているパワーアンプモジュールのことが気になりました。そうです、NCoreです。
Integrated 250のページを読むと分かりますが、このNCoreのパワーアンプモジュールを採用していることが書かれています。それを頼りに、NCoreについて調査してみたところ、以下のことが分かりました。
また、これはIntegrated 250のページにも書かれていることですが、特性に関しては以下の様な特徴を持つことも分かりました。
高いダンピングファクターと低発熱についてはD級アンプが元々持っている特徴ですが、低歪みに関してはNCore独自の特徴の様です(元々D級アンプは高域での歪み率が高かった)。
これは良さそうだぞ、ということでどうにかこのNCoreを採用しているアンプを安く買えないか調べてみることにしました。
調べて出てきた候補は以下の通りです。
うーん少ない。そして高い!いや質と価格は釣り合ってるかもしれないけど単純に予算オーバー!
やっぱり厳しいか……。どうしよう、HypexがNCoreを出す前に作っていたICE Power(※これ間違いでした。下記の追記を参照)と呼ばれるシリーズだったら中華アンプとして2万円くらいで買えるし、TEACも5万円くらいで出してるからそっちにするか~。とか思っていた時に、友人から教えて貰ったのがAUDIOPHONICS製のNCoreパワーアンプでした。
----------2021年1月18日追記----------
※これ間違いでした。ICE Powerを開発したのはHypexではなくBang & Olufsen ICEpowerという会社です。HypexがNCoreを出す前に作ってたのはUcdですね。Twitterでエゴサしてたらたまたま指摘ツイートを見つけて気が付きました。許してクレメンス
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これです。
私が買ったモデルとは違い、モノラル250Wを2機使ったモデルです。以前は250Wだとこれしかなかったのですが、比較的最近になって、Integrated 250に使われているものと同じステレオ250WのNC252MPというものが使われたモデルが登場し、これよりも安かったためにもうこれしか無いだろうということで購入に至りました。
フランスから個人輸入
AUDIOPHONICSはフランスのショップで、日本には代理店なんてもちろん存在しないので個人で輸入する必要があります。幸いAUDIOPHONICSさんは国外への販売も行っているため、何の問題も無く買うことが出来ました。
特に難しいことも無いので、
・翻訳サイトを使ってもいいのでざっくりと英語が読める
・PayPalアカウントを持っている
・自分の住所が英語で書ける
という条件を満たしていれば余裕で個人輸入できると思います。
国内に入ってきた後に消費税と輸入手数料が掛かることには気をつけてください。
注文してから届くまでですが、私の場合は大体2ヶ月ちょっとでした。コロナのせいで部品の供給が遅れていることが原因っぽいです、通常はおそらく1ヶ月くらいだと思います。飛行機便で来るらしく、発送されてからは数日で届きました。
その時の為替レート次第だとは思いますが、消費税と輸入手数料込みで大体60,000円程度で購入出来ると思います。
実際の金額はこんな感じ。これに消費税と手数料が乗ります。
音について
中華アンプしか比較対象が無いため(PM-80が壊れた後にスピーカーを買い替えた)あまり参考になるかは分かりませんが、音の感想を書いていきます。周波数特性が~とか歪み量が~みたいな表現を使えると伝わりやすいのはその通りなのですが、別に測定機器があるわけでも無く、飽くまで耳で聞いた感想でしか無いので、よくあるふわっとした表現に留めます。まあそもそもとしてろくな比較対象じゃないのであまり影響はないでしょう……。
当然と言えば当然ですが、中華アンプと比べると全てにおいて圧倒的に上回っています。めっちゃ良いです。あと鳴らしてるスピーカーが違うので予想になってしまいますが、多分PM-80よりも良いです。予算10万円程度まででパワーアンプを探してる人は今すぐ買え。
もうちょっと具体的に書きますが、かなりドッシリとした密度の高い音が出ています。ピラミッドバランスとはこのことを言っていた……?
高いワッテージと高いダンピングファクターによって、ローの聞こえ方が全然変わるのは予想通りだったのですが、中域の例えばギターの音まで全然違って聞こえるのは予想外でした。ぶっちゃけあまりの違いに笑いました。
ローの聞こえ方が変わると書きましたが、高いワッテージと高いダンピングファクターによってユニットがビシッと駆動&制動されることによって、ローが豊かかつ速くなりました。中華アンプだとユニットを全然駆動させられてなかったんだなあということを実感する音を出してくれました。NCore最高!NCoreバンザイ!
勿論ハイの音も良くなっています。もう40年くらい前の同軸ユニットなので、ハイの特性はあまり良くない(歪みがち)のですが、それでもハッキリと分かるくらいクリアな音になりました。もう何も言うことはない。
また、今まではスピーカーから出てくる音に対して「なーんかごちゃごちゃしてるなー」と思っており、「土台をガッチリ固めたり、ルームチューニングをしっかりやったりしないと駄目なのかなー」と思っていたのですが、このアンプにしただけでごちゃごちゃ感が一切なくなってまた笑いました。強すぎる。いや中華アンプが弱すぎたのか……?ごちゃごちゃ感がなくなったおかげで、中華アンプだったらうるさいと感じていた音量でも、まだ全然音量が上げられると感じられてしまいます。ご近所迷惑にはならないように気をつけないといけません。
多分ですが、これらの音の変化は全体的に歪みが減ったことによって生じたのかなあと思います。そもそものアンプ回路の時点で発生していた歪み+アンプの駆動力不足で発生していた歪みが、このアンプによって解消されることによってこの様な音の変化になったのかなあと。
まともなアンプとの比較が出来ていないので説得力は皆無ですが、この音が6万円で手に入るのは最高だと思います。みんなも買おう。安く抑えるなら1万円程度下がる125Wモデルもありますし、より良い音を目指すなら(価格は倍以上になりますが)400Wモデルもあります(400Wモデルの方は単純なW数の差だけではなくて回路設計も全然違っているらしい)。また、Ncoreの設計者が新しく出したPurifiというモジュールを使ったアンプもありますので、そちらを検討するのもアリでしょう。
いやまあ、僕のnoteを読んでる数少ない人の中でパッシブスピーカーを使ってる人なんて更に少ないでしょうし、その上でパワーアンプの買い替えを考えてる人なんてまずいないでしょうけど……。
検討してる人に向けた注意点
そんな、皆無であろう購入検討者に向けた注意点です。
ボリュームが調整できない
ボリュームを持っていないタイプのパワーアンプになります。その方が電気的な特性は良くなるはずなので、歓迎できることだと思います。ただし、ゲインが26dBほどあるので、AIFからの出力をそのまま突っ込むと爆音が出ると思います。AIFの出力ボリュームを絞ればいいじゃん、というのはその通りなのですが、AIFが(エラー由来の)ノイズを吐いた時や、何らかの原因によって設定が吹っ飛んだりした時に爆音が飛び出るリスクは覚悟した方が良いと思います。アナログな出力ボリューム調整機能を持ってるAIFであれば大丈夫だと思います。が、そんなAIFは滅多に無いので、プリアンプやモニターコントローラーを併せて導入することを考えた方が良いと思います。
僕が最近買い替えたAIFにはモニターコントローラーがついていましたが、色々考えた末に別途モニターコントローラーを買いました。以下それぞれの購入記事です。
電源ON/OFF時にポップノイズが出る
これはD級という増幅方式の宿命なのですが、どうしてもポップノイズが出てしまいます。実用上問題は無い……と勝手に思ってます。どうしても我慢ならないって人も居ると思いますので、そう言った方には向きません。
ちなみにこの光ってる丸いのが電源ボタンです。主電源スイッチも別に存在しています。
また、付属の電源ケーブルが日本では使えないタイプの端子になっています。
まあ電源ケーブルなんて他の機材に付属して余ってる奴が部屋や押入れに転がってると思いますので、それを使ってください。
ちなみにこのアンプの電源ですが、国内の100Vがそのまま使えます。ワールドワイドな電源になっています。
AUDIOPHONICSのスペック表を見ると115V/230Vと書かれていますが、NCoreのアンプモジュールのデータシートを見ると、
100-120Vac (±10%) / 200-240Vac (±10%)
と書かれているので大丈夫なはずです。
ただまあどうせ部屋や押入れにステップアンプトランスや、120V出力が可能な電源ラックが転がってると思いますので、そこから電源を取るのが精神衛生上よろしいかと思います。
また、いつぞやに125Wモデルがヤフオクに出品されていることがあったのですが、質問欄に「フランスのアンプなので50Hzじゃないと出力が落ちます」みたいなことを書いている人がいました。フランスの電源周波数が50Hzなのはまあその通りなのですが、こちらもNCoreのアンプモジュールのデータシートでは電源の周波数について、
47Hz-63Hz
と書かれてますので、60Hzでもなんの問題も無いはずです。関西、あるいは長野県でも問題なく使えるはずです。ご心配なく。
総評
めっちゃ良いです。パッシブスピーカーを使ってる人で、あんまり良いアンプを導入できてない人はWATERFALL Integrated 250を買いましょう。どうしても40万円が出せない!という人は、AUDIOPHONICSのNCoreパワーアンプを買いましょう。5万円あれば125Wモデルが買えます。プリアンプやモニコンが欲しくなるのが難点ですが……まあ、AIFの出力を絞る形でも全然運用出来ると思いますので、まずは買いましょう。マジで良いです。
パッシブスピーカーを持ってない?NCoreをアンプとして採用したアクティブスピーカーが出るのを待ちましょう。
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