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詩集 ほら、あなたの隣にも

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2018年2月の記事一覧

七五三

七五三

神社の境内 二匹の狛犬
祝いのあの子を睨んでる
大人はちっとも見えないの

小さな神社の守り番
祝いのあの子に睨みを利かせ
大きな念を送ってる

片手に大きな千歳飴
祝いのあの子はもう泣きそう
それでも必死に我慢の子

きれいなおべべのあの子はもう
涙はきれいに拭きました
一つ大人になりました

奴がいた

奴がいた

雨戸を開けるときに奴は私の指をかすめた
見えないことをいいことに
奴が私に触ってきた

私は慌てて窓から離れた
奴はさっきからそこにいたらしい
障子の陰から足だけが覗いていた

私は雨戸を開けたかった
だけどそこには奴がいる
どうしよう

誰かがいれば助けを求めるのに
誰もいない
どうしよう

私は慌てて棒きれを持ってきた
けれども奴はもう姿を消していた
だけど雨戸が開けられない
奴が物陰から現れ

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孤独を愛しちゃおかしいの?

孤独を愛しちゃおかしいの?

夜が好きだといけないかい
ネガティヴな奴だとつつかれる
独りが好きだとおかしいかい
独りじゃなければそれでいい?
それができない人もいる
できないことにくよくよすれば
それはなおした方がいい
けれども平気な人もいる
だけどそれはおかしいかい
誰かといるのは嫌いじゃないけど
独りでいてはおかしいかい

詩集・ほら、あなたの隣にも から 酒

詩集・ほら、あなたの隣にも から 酒

酒を飲んでいるときにゃ
側にあなたがいるようで
見えないおちょこに注ぎます

酒の香りに包まれて
時は一気に逆戻り
楽しい想いに浸ります

酒の味にはちとうるさい
理屈をこねる癖さえも
すっかり移った私です

酒を飲んでいるときも
酒に飲まれちゃいけないと
酒を勧めた人がいた

詩集〝ほら、あなたの隣にも〟から 大樹と雷雨のはざまで

詩集〝ほら、あなたの隣にも〟から 大樹と雷雨のはざまで

赤い小さな花びらが
雷雨と風にあおられる
大樹に生まれた青葉の群れは
強い心を持ってるが

赤い小さな花びらは
びくびくしながら咲いていた
大樹に生まれた青葉の群れは
赤い小さな花びらに
僕が守ると言っていた

それを聞いてた雷神は
そうはいかぬと暴れ出す
大樹と雷雨の戦いを
そっと見ていた赤い花

争い好かない赤い花
自らひとひら舞い上がり
一心不乱に空頼み
やはり戦さは続きます

争い好かない

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〝ほら、あなたの隣にも〟から 夜咲く花

〝ほら、あなたの隣にも〟から 夜咲く花

(台湾民謡「雨夜花」のメロディに乗せて)

見知らぬ街の灯に 照らされる姿が
遠ざかる風のように 小さく消えてく

時計のリズムにこの身を乗せて
待っているのは静寂(しじま)の中よ

南の窓から見上げてみれば
きっと三日月が伝えてくれる

ほのかに照らされる小道を行けば
きっとどこかに小さな花が

夜咲く花は優しい花よ
夜咲く花は悲しい花よ

夜咲く花に涙をあげて
夜咲く花を咲かせてあげて