観光を学ぶ学生として
観光は何のためにやるのだろう。
この問いに真剣に向き合う機会って、授業だと少ないと思う。
山田桂一郎先生をはじめとした観光のプロフェッショナル達の主張は一致している。
「地域を豊かにするため、人を幸せにするための観光」
観光で一番恩恵を受けるべきなのは地域だ。
地域に富がもたらされ、地域が発展していくのが大事なのだ。
京都はどうだろうか。
観光地になる→外資が入ってくる→地価が上がる→住民が住み続けられなくなる→空いた物件にさらに外資が入る→生活文化のない観光テーマパークができる
富は外資に吸収されていくため地域には恩恵がもたらされない。
そのため、京都は日本トップクラスの観光地であるのに財政は振るわない。
さらに、看板が乱立することで秩序がなくなり、景観破壊が起こる。
街の許容量を超える集客をした結果、訪れた観光客の満足度が下がってしまう。
マナーの悪い観光客のせいで住民の不満もたまっている。
何も地域のためになっていない。
観光先進国と幸福度ランキングは比例しないらしい。
「住んでよし、訪れてよし」
観光庁がよく使っている言葉だ。
個人的な主張として、これはこの順番以外成り立たないと思っている。
まずは地域住民の幸せということを考えなければならない。
だが、それを抑えている学生は少ないように感じる。
以前、他学部も含めた観光コンペに出たことがあった。
売り上げは単価×個数で決まるということを抑えていないためにオーバーツーリズムを招きかねない提案が出る。
よそ者目線でアイデアが欲しいと言われたため、そのアイデアが同地域のためになるのかという視点が抜けている。
観光に関わることを目指すなら踏まえていないといけない点を抑えられていないことに衝撃を受けた。
地域経営は少し特殊だと思う。
自分のところの利益を追うだけでは成り立たない。特定の業種だけでなく、地域全体が恩恵を受けなければいけない。
かつて旅行関連業だけが儲けようとして観光を促進した結果、マスツーリズムのブームが終わった瞬間さびれてしまった観光地がいくつも生まれた。
その悲劇をくりかえしてはならない。
観光は、地域を豊かにし、人を幸せにできる手段だ。
これからの日本を、地域を支えられる分野を学べることを誇りに思って、勉学に励みたい。
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