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ガニ股歩きの金髪アイドル=ココ・パーティン・ココに出会って10分で始まった話

「17時組!ゴォゴォ入りまぁぁぁぁぁぁーす!!!!!!!」

それは、一瞬の出来事にして最大の衝撃だった。

金髪の髪をなびかせ、肩で風を切るように、ヤンキー顔負けのガニ股歩きで、威風堂々とビルに入る一人の女性。そう、後に運命的な出会いを果たすことになる、ココ・パーティン・ココさんだった。

2021年3月30日、パンドラの箱を開けた瞬間だった。

遡ること2020年10月、YouTubeで偶然見た、椎名林檎さんの「罪と罰」をカバーするBiSHのアイナ・ジ・エンドさんの歌唱力に惚れ込んだ。そして、生のアイナさんの歌唱見たさに、2020年12月24日にREBOOT BISHに参加した僕は、少しずつ、グループとしてのBiSHにも興味を持ち始めていた。

念の為説明をしておくと、当時の僕はアイドルとは縁遠い人生を歩んでいた。そんな矢先、WACK SHOPなるものが渋谷で開催され、そこにBiSHのメンバーも登場するという情報を得た。「アイドル…オタク…どんな現場なんだろう。こわいな…」未知の体験にいささか恐怖心を覚えた僕は、行くかどうか、当日までめちゃくちゃ悩んでいた。

それでも、BiSHのメンバーと会って話をしてみたいという思いが勝り、勇気を出して、WACK SHOPに行く決意を固めた。幸いにも職場が渋谷にあるため、会場には行きやすかった。仕事の調整をつけ、3月30日に行くことに決めた。

当日、整理券配布の時間が迫る。BiSHメンバーが登場するのは17時以降が多いという情報を得ていた僕は、その頃の時間の整理券を取れるように、少し遅めに会場に行き列に並んだ。そして、見事、17時からの入場整理券を手に入れたのである。「よし!これでBiSHに会える!」安堵した僕は、期待に胸を膨らませながら、その日の16時45分頃、再び会場にたどり着いた。

実はこの日、昼過ぎくらいから、BiSHのセントチヒロ・チッチさんが店内にいるという情報が入っていた。「頼む!そのまま残っておいてくれ!」そんな僕の心を知ってか知らずか、いやおそらく知らなかったのだろう。なんと僕の入り時間である17時で交代するという情報が入ったのだった。何という運のめぐり合わせなんだろう。

「この日に限って。」

ANTI SOCIAL SOCIAL CLUBのコラボスウェットを着たセントチヒロ・チッチさんが、会場を後にする姿を目で追いながら、ただただ悲壮感しか芽生えなかったことを今でも鮮明に覚えている。そこで、件の出来事が起こったのである。

「17時組!ゴォゴォ入りまぁぁぁぁぁぁーす!!!!!!!」

金髪姿の、失礼だがアイドルとは思えないガニ股歩きの女性、それを見て爆笑するオタクたち。やはり帰ろうか。。悩んでいる暇もなく待機列に並ぶよう指示を受けた僕は、「せっかく来たんだし缶バッジだけ買って、BiSHが当たればそれでいいや!」と自分に言い聞かせた。

地下に降りる。見知らぬアイドル2人がカウンターで接客をしている。

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この時、奥にいる2人が誰なのか全くわからず、ただただ緊張していた。

さっきの金髪のヤンキーの人だな、きっと。少し怖かった。何を話そう。どのようにふるまえばよいのだろう。そこで、思い切って前に並んでいた女性の方に聞いてみた。「すみません、大変失礼な質問かもしれませんが、あちらにいるお2人は何というお名前ですか?」

質問を受けたその女性は丁寧に答えてくれた。だが、今でもこの時になんと回答をしてくれたのか定かではない。なぜなら、僕のそれまでの人生で一度たりとも「GO TO THE BEDS」「ココ・パーティン・ココ」「ユメノユア」という単語を、見たことも聞いたことも無かったからだ。

列がどんどん進んでいき、いよいよ僕の番になった。僕は物事をあまりオブラートに包んで言えないタイプなので、堂々と言った。「大変申し訳ありませんが、お2人のことを知らないんです。お名前は何というのですか?」

普通であれば「どうせここだけの関係だから、相応の愛想をふりまいて答えておこう」と思うだろう。決してこれが悪いわけではなく、むしろこれでも対応としては十分すぎるくらい良いはずだ。ところが、2人ともとても丁寧に、まるで幼馴染と久しぶりに会ったかのような満面の笑顔と愛嬌で、

「GO TO THE BEDSのココ・パーティン・ココでーす!」
「同じくGO TO THE BEDSのユメノユアでーす!」


と答えてくれた。歴史が動いた瞬間だった。あれだけガラの悪そうなヤンキーだと思っていた方が、こんなにも親切に接してくれる。ましてや完全なる一見客であり、冷やかしに近いと思われても仕方のない僕を相手にだ。

そして、よく見ると2人ともめちゃくちゃ可愛い。この人が本当にあの時のガニ股ヤンキーアイドル?素直にそう思った。少しだけ感情が揺れ動きながらも、当初の目的を果たすために、「缶バッジを6個ください。最近BiSHが好きになったのでBiSHが当たると嬉しいです。」とリクエストした。

すると、今でも忘れもしない。ココ・パーティン・ココさんとユメノユアさんがこれ以上ないくらいの100%の笑顔と大きな声で、「よっしゃ!任せて!BiSH当てるね!!」と言って、嫌な顔ひとつせず、缶バッジを選んでくれたのである。この時、さらに歴史が動いた。完全に自分の心は誰だかわからないこの2人に鷲掴みにされた。

その後、快く写真撮影にも応じてくれた。スマホを見返すと、まるで古くからのファンと接するかのようにとびきりの笑顔と愛嬌で写るココ・パーティン・ココさんとユメノユアさんがいた。

この時も当然、名前はわかっていない状態だった。しかし心は間違いなく揺れ動いていた。


なんてアイドルってすごいんだろう。得たことのない感情だった。地下を上がってすぐ、会場の周りにいた人たちに今起きた出来事を語り、グループ名を聞いた。(この時、自らオタクに駆け寄った事実は今でも不思議でならない)そして、はっきりとグループ名を認知した僕は、GO TO THE BEDSについて調べてみた。

「マジ神」というタイトルのMVがあった。衝撃を受けた。完全にロックだったのである。もう一度言う。完全にロックだったのである。


決して音だけではない。MVに映るメンバーのアティテュードもだ。はじめはとても可愛い、いわゆるよくあるアイドル衣装を身にまとった6人が映ったのだが、そこから一転して一気にダークサイドに駆け寄っていく。身震いがした。

なんだこのグループは?さらにGO TO THE BEDSのことを知りたいと思った僕は、タイトルのインパクトがすごかったこともあり、「現状間違いなくGO TO THE BEDS」のMVを観ることにした。


MVを観終わると、そこは完全にSLEEPERの世界だった。

ココ・パーティン・ココさんとユメノユアさんに出会ってからSLEEPERになるまで、わずか10分程度の出来事だった。何という運のめぐり合わせなんだろう。

「この日に限って。」

ディズニーシーで人気のアトラクションに、タワー・オブ・テラーがあるのは皆さんご存知だろう。地上約40mから急降下していくスリリングさは、一度体験すると病みつきになる。まさにタワー・オブ・テラーのごとく、垂直落下式に、一瞬で、GO TO THE BEDSの沼にはまり込んだのだった。

その後、現在に至るまで、何度もGO TO THE BEDSのライブに足を運び、PARADISESに全トレードとなった今でも、ずっとライブに通い続けている。

2021年5月29日『COME AS YOU ARE TOUR』@東京 TSUTAYA O-WEST
2021年9月27日『THE GETAWAY TOUR』@東京 TSUTAYA O-EAST
2021年12月13日『GOOD NIGHT TOUR』@東京 TSUTAYA O-WEST


いつ行っても、前回のライブの最高点を超えてくるところは、いまだに理解できない。本当にすごいアイドルだと思う。もはや、完全にアスリートだ。アイドルとは真逆の人生を歩んでいた僕にとって、信じられない出来事だが、全て実話である。やはり急降下できるアトラクションは何度乗ってもワクワクするし、楽しい。とてもエキサイティングだ。

家に帰って缶バッジを開けてみた。

2人が選んでくれた缶バッジ6個のうち、3個がBiSHだった。


なんてことだろう…BiSHが当たった嬉しさよりも、ココ・パーティン・ココさんとユメノユアさんの優しさに涙が出た。そして、その日の朝には絶対に考えられなかった感情が芽生えた。そう、GO TO THE BEDSの缶バッジが1枚も無いことに気づいたのだった。この事実に、その日、1番の切なさを覚えたことは言うまでもない。

これからも僕は、圧倒的な勢いで急降下を続けていくのだろう。GO TO THE BEDSとPARADISESという最高にスリリングでエキサイティングなアトラクションに乗って。

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最後までお読みいただきありがとうございました!
是非、GTTBとPARADISESの曲を聴いてみてください!
そして特典会やライブにも足を運んでみてください!
1発で魅力が伝わると思います!
(2022.1.2追記)GANG PARADEの活動もスタート!


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