【短編】小説を書きたい女

今日はとても疲れていた。好きなだけ動き回ったから。
街へ出て、勉強を少しして、ジムで体を動かして。好きな物も食べた。
気がすむまで散歩をして、懐かしい場所に行って、好きな人と歩いた道を、1人でまた歩いたりして。
でも、と立ち止まる。わたし、ただ遊んでただけなのではないかしら。
時間を怠惰に使ったのではないかしら。
わたしは知っていた、この時間を有益に使えている!と思えば、強く思えばそれはその通りになることを。そもそも、わたしという1人が、「今日1日の過ごし方は有益!」という意見に、一票入れているのだから。反対に一票入れるのも、無理矢理100票入れるのも、私なのだから。
不意に、小説を書きたくなった。
いきなりだけど、そうじゃない。ずっとずっと、昔から思っていたこと。
なぜ今急に?そうだ、図書館にいって、「ダ・ヴィンチ」の乃木坂46高山一実の「アイドルになっていなかったら、小説を書いていなかった」を読んで、影響を受けた、というか、煽られたのだ。

なんで小説を書きたいのかな。放っておいても物語を作って遊んでしまう性格だった。1人部屋で、頭の中で、話を作るのが大好きだった。馬鹿にされたくなくて、わたしは天才だって思い込んでいたくて、そんなこと、誰にも言わなかった。
きっと親にはバレていたのだろう。でもただただ、遊んでいた。

小さい頃から、わたしは空想して遊んでいた。チラ見した漫画の主人公をサブにして、わたしを主役にして。アンソロジー?二次創作?を勝手にしていたということだろう。
何をしても、人に好かれる主人公とか、友達はいないけど憧れの人とは付き合えていて、魔法が使えるとか。とても広い隠れ家を海の中に隠し持っている小学生の話とか。
大学生になったわたしは、そんな小学生の頃の作品を、「支離滅裂!設定が甘い!」と批判していたけど、楽しければ良いじゃん。その甘い設定は、貴方が改変してあげれば?もっと良くなるかもよ。と、今は思う。
好きなことを好きなだけして、もっと好きなことを見つけて。
自分が変化するのが怖くて楽しいけれど、止められない。同時になかなか変わらない自分に歯がゆくなりながらも、受け入れるしかない。
そんな自分を、誰もいない駅のホームで、夕日に照らされながら、抱きしめていた。

私をめちゃくちゃ喜ばせたいと思ったら、サポートいただけるとその通りになります🌸