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盗めるアート展

芸術評論家でも何でもない、ただsame galleryの盗めるアート展のオープニングレセプションに参加した者の感想ですので悪しからず。


僕は正直感銘を受けていた。

これだけの人をこの時期に集めた話題性の強さは本当にすごい(見方によったら良くないかもしれませんが)。

本来ダメだとされていることってやっぱり人はやりたいし、自分が泥棒になれるという高揚感で集まった人も多かったのではないだろうか。


アートってなんなんだろう。僕はこの展示が始まる前、作品を見ている間、帰ってSNSを見た時、ずっとアートのあり方を考えさせられた。瞬間瞬間にアートの存在意義が僕の中で生まれ続けた。

見る前は、どんな作品があるのだろう。僕が作家だったらどんな作品を作るだろう。盗みやすいものにするのか、盗まれる訳で、予算かけても利益はゼロだからどれくらい制作費を費やすのか。テレビでも取り上げられこれだけ話題になっているイベント。盗まれるべきなのか盗まれないべきなのか。まあ多分僕より実際展示した人たちの方がたくさん考えただろう。僕はその妄想を膨らます時間が純粋に楽しかった。

実際に見た時、ちょっとこれは本当に一つ一つの作品に心打たれてるから一個一個言うのは大変だけど、作家の皆さんの作品を存分に楽しませてもらった。みんなそれぞれのアートのスタンスがよくわかる展示だった。盗みやすいよう、日めくりカレンダーみたいに紙の束重なっている作品、グラフィックがプリントされた布を切り取って持って帰れる作品、ギャラリーに持ってくる際に盗まれちゃったていの作品、盗むと言ったら財布っしょって作品(こんな説明でいいのか?笑)、馬鹿でかい真っ白な四角い作品三つセット(この三つの意味が面白かったので興味ある方是非連絡してください)、自分の考えた(本当は既に誰かが言ってるものだったりするらしい)おもしろアイデアをポストイットに書いておくから盗んでいいよっていう作品、ザ絵画みたいな大きなキャンバスに写真がプリントされている作品(これの意図がもしもっとあるなら直接聞きたい!)、1万円札をいろんな加工をして額に入れた作品。

言葉で説明するの大変って言ったけど説明したくて全部書いてしまいました。ごめんなさい写真撮っておけばよかったです。そして今説明していて考えたがここまで一つ一つの作品がどんなものだったかはっきり覚えている展示があっただろうか。それだけ僕は一つひとつの作品に想像力を巡らせた。全力で純粋に楽しんだのである。

帰ってSNSをチェックした。僕の目に止まったのはフリマアプリに膨大な数の転売されているという光景だった。嗚呼、結局小遣いを稼ぐために人は集まっていたのか。フリマアプリでいい値段で売られていたら便乗してしまうのだろうか。そう感じていた。しかしそこから面白い発見もある。

転売されている多くの作品は財布とカードと海外のお金の入ったお財布だったのだ。これは展示されている作品の中では比較的盗りやすく、希少価値の低いものだ、と僕はレセプションの際に見ていた。しかし、いざ窃盗祭が始まるととりあえずなんでもいいから盗ろうという精神から財布、カードたちはおそらく瞬く間に無くなったであろう。おそらく展示されていた場所が入り口すぐだったのもあるかもしれない。

僕が面白いと思ったのはそのあとの転売行為。他の作品はさほど出品されていないのだが(ある作品はヤフオクで100000円で販売されていた)、その財布とカードだけが出品されているのだ。

なぜそれらのみが転売に出されるのか。僕が考察したのは二つ。

一つ目は本気で窃盗をしに来た人は目当てのもの目掛けて盗みに行くためそもそも転売を目的としていない本当にアートが好きな人たちがいたということ。

二つ目は、たくさん同じものが置いてあったために匿名性に長けている財布、カードは転売しても誰が転売したかわからないという点。僕は後者の方が多数だと思う。そこでやはり日本のアートというものの価値がどう評価されているのかという点にも繋がった。小さいからいいだろみたいな精神だったり、アート作品を軽視している人が転売している人には多いと思う、が、これも受け入れるべき事実で、人にアート作品だと認識してもらうためには大きな作品を作ることも大切なのだなと感じた。例外もたくさんあるけどね、しかも転売されてるってことは価値があるって評価されてることにもなるしね。ある意味作品としての価値は軽視されているかもしれないが本来の目的がどうであれ、名前を知ってもらうためには大成功な作戦だったと思う。

そして何より、SNSでもこれだけの盛り上がり、僕もレポート?をしたくなるほど考えさせられた展示であったことは間違いない。おそらくsame galleryはこの展示を機に知名度も上がったし、次の展示への期待も高くなっているだろう。

そして僕が言いたいのは、これだけの大勢が集まったことも、転売が多発したことも、このあとのギャラリーの動きも、全てアートと捉えることもできるし、本来アートとはすごく自分たちの生活に身近であるということ。自分たちはアートというものに知らず知らず加担し、関係性を持っているということを自覚する人が増えたらいいなってすごく思う。そうすればもっとちゃんと俯瞰して、作品そのものを楽しめるようになったり、社会問題、社会現象などにもみんなが興味を持てるようになるんじゃないかと思う。

おそらくまだ感じたことあるので随時追加します!最後まで読んでいただきありがとうございました🙏


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