見出し画像

越島はぐ展-『ビブリア古書堂の事件手帖』装画(2015年7月)

2015年7月11日
宝塚大学ギャラリーTRI-ANGLE
 宝塚大学構内のギャラリーで、卒業生のイラストレーター越島はぐの個展。第15回電撃イラスト大賞部門銀賞を『先輩とぼく』(著:沖田雅)で受賞。

 造形芸術学部の募集停止が発表された直後の展示だったので、内心複雑だったが、開学して30年近く、多くの優れた卒業生を輩出してきたのだなと、感慨がある。越島さん本人も在廊して現地制作をしながら、在学生と話したりしていて、縦のつながりをうらやましく思いもした。
 こういう分野には全く詳しくないので、ただの素朴な感想だが、北鎌倉の古書店、対人関係の苦手な若い店主という雰囲気が色調や線にとてもよく出ているように思えて、魅力的な世界を構築していると思った。古書店のにおい、空気感が、漂ってきそうな絵になっている。
 店主で探偵役の篠川栞子が主要なテーマになっていたが、Wikipediaにも書かれているように、内向的だが古書の知識は豊か、黒髪の美人で、黒縁のめがねをかけていて、細身の巨乳という、典型的な萌えキャラ(なんだろうと思うのだが)。
 おそらく越島さんの美点は、一枚の中に、古風な清楚さと、柔らかな官能性を、絶妙なバランスで同居させていることなのだろう。そのバランス感覚については、若干の物足りなさを感じないでもないが、そうでなければイラストレーションという世界では難しいのだろう。しかし、逆にその柔らかな不満から来る焦燥感が、萌え死ぬような熱い思いを掻き立てるのかもしれない。
 造形芸術学部の在学生が、勇気づけられ、ファイトを燃やしてくれていたら、いいのだが。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?