見出し画像

お手紙に代えて

Sさん、お葬式には行くと約束したのに叶わないことが悔しくてなりません。
祖父の告別式と日程が重なり、どうしても行けませんでした。ごめんなさい。

Sさんとの思い出はどれも懐かしいものばかりで、最近は手紙のやり取りしかしていなかったですね。
それでも折につけご息災な様子を知れることに安心していました。
まさかこんなに早く会えなくなってしまうなんて。思いも寄らず、ただ無念な気持ちでいっぱいです。

誕生日にいただいたバッグは使いすぎて持ち手が壊れてしまいました。以前くださったハンカチやポーチは大切にしています。エプロンはまだ使っていません、汚してしまうのが勿体無くて……

Sさんにいただいた物がたくさんあって。お互いの誕生日とクリスマスに贈り合う習慣が私の楽しみのひとつでした。
今度は何を贈ろうかな、それは私の日常の中にいつもあります。ベジタリアンなSさんに良さそうなものを見つけると「あぁ、今度はこれにしよう」とメモをしていました。
それが無くなるなんて不思議な気持ちです。
もっとずっと、続くものだと思ってしまっていました。

いつかTちゃんと一緒に会いに行こう、そう思っているうちに今日になってしまって。
もっと早く、自分ひとりでもいいから会いに行けばよかった。本当にそう思います。お会いしたかった。

夏になるとお体を悪くされているのが印象的でした。もう我慢しないで、食べたい物が食べられますね。
珈琲がお好きだったと思いますのでお線香をあげさせていただく際には珈琲に合いそうなお菓子をお待ちしますね。
Tちゃんや息子さんからSさんのお話をいっぱい聞いてみたいです。

何年もの間、途切れることなくやり取りが続いていたことを嬉しく思っています。
年齢は離れていますが、親戚のような友人のような……他にはない特別な存在でした。
Sさん、本当にお世話になりました。ありがとうございました。
御冥福をお祈り申し上げます。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?