絵本を読む〜『ごちそうたべにきてください』『おばけのてんぷら』

(2021.10.11)

 月曜日は「 絵本を読む」というテーマでお届けしています。
 
 絵本を読むと心がほっこり温かくなります。怒った声で読むことができないので、先日のように嫌なことがあった時には気持ちのリセットができて切り替えが楽にできるのでいいな、と思っています。
 心の引っかかりは早めに対処した方がいいですね。

  ということで今週も秋におすすめの絵本を2冊紹介したいと思います。

 今日は『ごちそうたべにきてください』と『おばけのてんぷら』です。

 1冊目の『ごちそうたべにきてください』は茂市久美子さん作、しもかわらゆみさん絵の作品です。一言でいって、本当に優しい絵本です。
 
 主人公のうさぎはご馳走するのが大好きで、森のなかまたちにいつもおいしいものをご馳走していました。リスが来た日にはクルミを、あかねずみが来た日にはどんぐりをご馳走していました。
 冬が近づいてご馳走するものがなくなった時、困っていたうさぎの元に、ご馳走してもらった動物たちがお礼にと、ある食べ物を持ってきてくれました。それを見てハッと、いいこと思いついたウサギは、冬の間も動物の仲間に、ある食べ物を用意することを思いつきます。
 
 その食べ物一体何だと思いますか?
 実は 今でも作られているところがある食べ物です。何を作っているか、是非絵本を手に取って確認してみて欲しいです。(ささやかなヒントです)

 この絵本は今年の1月に出版されました。表紙を見ただけで動物たちの表情の愛らしさ、可愛いのに本物のように感じる繊細なタッチで書かれたイラスト。私はしもかわらさんのイラストが好きなので表紙を見ただけでテンションが上がってしまい、すぐに購入してしまいました。
 内容的にまさにちょうど秋、冬、早春と季節の移ろいが今にぴったりの絵本です。

 くるみはなかなか落ちていませんが、どんぐりや紅葉した落ち葉は見つけることができます。子供たちと一緒に外に散歩に行った時に、どんぐりを見つけたら、今だったら「 ごちそうたべにきてください」を合い言葉に、ごっこ遊びができたなぁ、と少し残念になりました。 絵本を通して、毎日の散歩が楽しくなったりそこからの広がりが無限にありそうなお話です。文章がとても優しくて、茂市久美子さんらしいと感じました。 茂市さんはつるばら村シリーズなどを書いている児童文学作家の方です。
  茂市さんの温かい表現と、しもかわらさんの優しく精巧なイラストがぴったりの絵本です。ぜひ手にとって見てみてください。文章量が多いので、年中さんより大きい子におすすめしたい絵本です。

 2冊目は『おばけのてんぷら』です。『ねないこだれだ」を描かれた、せなけいこさんの 絵本です。こちらは初版が1976年とかなり古い本ですがずっと読み継がれている人気の絵本です。昔サイン会でセナさんにお会いした時に、この絵本にサインをしてもらったこともあって思い出の一冊でもあります。

  主人公のうさこは食べることが大好きです。ある日山でお弁当を食べているこねこくんに会いました。子猫くんのお弁当は天ぷらでした。お味見させてもらったうさこは、作り方を教えてもらい、家に帰って早速天ぷらを作ることにしました。
  野菜を切って、衣につけて天ぷらをあげようとした時、切った玉ねぎが目にしみたのでうさこはメガネを外しました。メガネを外したので周りがよく見えないまま、天ぷらを揚げ始めました。その匂いに誘われて、山の奥からお化けがやってきました。メガネを外したうさこはお化けにも気付かず、どんどん天ぷらを揚げます。 揚げたてを食べながら、「天ぷらなくなるのが早いなあ」とのんきなことを言っているうさこは、その後とんでもないことをしてしまいます。ラストのオチは楽しみにとっておいて、この美味しそうな絵本を、天ぷらを食べるときに思い出してほしいなと思います。

 絵本から天ぷらの揚げたての良い香りがしてきそうです。絵本を読んだ後は大抵天ぷらが食べたくなります。そんな風に五感を刺激される絵本は魅力的で大好きです。