#私的次にくるマンガ大賞2021 コミックス部門
先日、ユーザー参加型漫画賞である「次にくるマンガ大賞」の結果が発表されました。
この大賞は数ある漫画賞の中でも人気投票に近いお祭り大賞だと思っているのでお祭り気分で楽しく見ていたのですが、
Twitterでは「もう来てるマンガばっかじゃん！」との声が。
一般読者が投票してて総得票数51万とかなんだからそりゃそうだろと思いつつ、不満な人が「これが私の思う次にくるマンガ大賞だ！」とやってくれると思ってワクワクしていたのに、一向にそんな流れにならない。
なので自分でやります。順位はないです。
購読している雑誌の都合上集英社・講談社メイン。有名作ばっかりです。
■コミックス部門（単行本発売済み）
『Thisコミュニケーション』六内円栄
20世紀後半――地球に突如として現れた謎の生物「イペリット」。
敵と認識された人類の多くは滅ぼされ、地上は廃墟と化していた。生き残りのデルウハは、絶望の果てに自ら死を選ぶが、ある研究所の人間によって一命を取り留める。
その研究所では、イペリットに対抗するべく造り出された少女たちがいた！
倫理観0合理性100のイカれながらも超優秀な元軍人が、
「死んだら死ぬ一時間前の状態に再生する」
性質を持つ少女たちと協力したり、都合が悪ければ殺してやり直したりしながら怪物と戦うサスペンス。
スプラッター映画の殺人鬼顔負けの演出で少女たちを手にかける主人公だけではなく、襲い来る怪物の正体であったり少女たちの成長であったり、あらゆる要素が絡み合って進む物語にドキドキが止まらない。
『ワールドイズダンシング』三原和人
シェークスピアより昔に世阿弥がいた。「わびさび」の走り、世阿弥がいた。庶民の代表者である芸能者が、国を、社会を変える！
世阿弥こと鬼夜叉は、父親・観阿弥の命令でとりあえず舞っている美少年。
観阿弥が頭をつとめる人気の一座・観世座に所属しているが、何故舞う必要があるのか常に疑問に思っている。そんななか、ある小屋で、貧弱な体と枯れた声、下手な動きで舞う女を見かけた。いいはずないのに、その姿に鬼夜叉は「よさ」を強く感じたのであった…。
「身体」を武器にした中世ダンスレボリューション、開幕！！
「芸」とはなにか、「よさ」とはなにか。
無気力だった主人公が女の舞に衝撃を受け、愚直に「よさ」を追い求め突き進み、少しずつ自分にとっての「よさ」を形作っていく過程の描写が丁寧で引き込まれる。
父親である世阿弥など「よさ」を追い求める先人たちから受け継がれ、積み重なり新たな芸になっていく時代と今の表現が好き。
『スロー・ジェットコースター』佐倉チカコ
本田日和、16歳。
ふつうの高校生――と、見せかけて、
同じ学校のクールな琉生と人懐っこい伊吹の2人でBL妄想を楽しんでいる、隠れ腐女子だ。
でも、ただの“推し”だったはずの琉生との距離が縮まって、恋心が動き出して…？
“甘い”と“辛い”を行き来する、予測不能系ラブストーリー！
男女ともに顔が好みすぎる枠です。
琉生くんも日和ちゃんも内面も外見も可愛すぎる。好きだ……。
↑ 試し読み
『テンカイチ 日本最強武芸者決定戦』中丸洋介/あずま京太郎
日ノ本最強の武芸者は誰か！？
これは我々の知る歴史ではない。
時は西暦1600年。“織田信長”が天下統一してから10年が経過していた。信長は自分の死期を悟ると、最強の武芸者を輩出したものに“この国”を譲ると発表。天下統一の夢破れた武将たちは、それぞれ最強の武芸者を擁立し、この国の王を目指す！ 第一試合は“天下無双槍”本多忠勝(後援：徳川家康)VS.“進化する天稟”宮本武蔵(後援：長宗我部元親)！！
誰もが夢見た異種武術時代絵巻、堂々開幕！！！！！！！
設定を見てまず思い出すのは『終末のワルキューレ』だと思いますが、
『終末のワルキューレ』を立ち上げた編集さんが『テンカイチ』も立ち上げているのでセーフ。こういうのって他にもいろいろあるしね。
個人的に、この手のドリームマッチ漫画で一番気になるのは試合結果に納得できるかどうか。
初戦の本多忠勝vs宮本武蔵は両者の格を落とさず、魅力を見せた上で激熱の決着にまとめていたので、今後も楽しみ。
ただキャラ付けは結構大胆なので、そういうの苦手な人にはおすすめしません。アレンジレベルは『戦国BASARA』くらい。相当ですね。
『竜女戦記』都留泰作
一介の武士の妻である「おたか」は、ある人物に導かれ人生の舵を切る…。
主婦が天下を取る、壮大な歴史ファンタジーの幕が上がる！
「壮大な歴史ファンタジー」と聞くと難しそうに思うかもしれませんが、『竜女戦記』の魅力のひとつは情けないくらい人間臭い登場人物たち。
壮大で偉大な歴史も作っているのは人間で、歴史を作るような偉人も自分たちと同じ人間なんだと強く感じさせてくれます。
↑ いい感じの試し読みが見つからなかったのでLINEマンガで
『図書館の大魔術師』泉光
孤独だった少年が本の力で世界を繋げる物語。
その昔、書物は金と同様の価値を持っていた。
小さな村で姉と2人、貧しい暮らしをしていた少年は本の都“アフツァック”に憧れを抱いていた。そんなある日、一人の司書と出会い、運命が大きく動き出す──。
圧倒的な画力で魅せる異世界ビブリオファンタジー開幕！
人種・民族・宗教などの問題のみならず、「ルール的には問題ないが過激な表現の本を出版規制するかどうか」の議論を作中でひたすらしているなど風刺的な展開も多い。
しかし世界の作りこみがとんでもなく細かいため、緻密な世界観が好きな人には刺さる物語。
『六畳一間の魔女ライフ』秋タカ
新米魔女のマッジとリリカ。
六畳一間のアパートで暮らす二人は、魔女として最低のＣランク…。
できる仕事は限られ、収入も細々と…。
でもほんとはもうちょっとだけいい暮らしがしたい…！
二人のおしごとがんばりコメディです。
魔法が社会の一部になり、魔女もお仕事であったり見世物であったり、特別なものではなくなってしまった世界。
新米の二人は、実力はあるのに「売れ線」の魔法じゃないせいで最低ランクの魔女として苦しい暮らしを送ることに。
それでもへこたれない二人がふわふわ頑張る姿に癒される漫画です。
『リスタート！～34歳ゲームディレクターのつよくてニューゲーム～』坂木原レム
「未来を知る」という謎の老人と出会い、1995年から2020年にタイムスリップしてきてしまった天才ゲームディレクター・宮友雄一。かつての右腕だった岩間は、出世して会社の社長になっていた！
現代で再会を果たした二人だったが、にわかに宮友本人とは信じることができない岩間は、その実力をたしかめるため、頓挫しかけのスマホゲーム開発プロジェクトの立て直しを命じる。
宮友のひらめきによって、なんとか最悪の危機は脱したものの、完成までにはまだまだ課題が山積みで…。
天才が未来にタイムスリップ！はよくある話だと思うのですが、『リスタート』で面白いのはタイムスリップが30年程度で当時の仲間は大体生きてるし会ったら死ぬみたいな設定もないため普通に会って自分が宮友だと言うこと。信じてもらえないけど。
しかも作っていたゲームのマスターアップ直前、修羅場の時期に突然消えたせいで当時の仲間は主人公に複雑な感情を抱いている。
主人公・宮友を通し、今は偉くなった昔の仲間たちは輝いていたあの日々を思い返し、当時の悩みと向き合ったり懐かしんだり……。
こういったなつかしさの表現がとても上手で、登場人物と一緒にじーんとします。
『そのへんのアクタ』稲井カオル
突如宇宙より襲来した地球外生命体（イズリアン）と人類との、存亡をかけた大戦争。
数年に渡る戦いの結末は―――どっちつかずだった!?
イズリアンとの戦闘において「終末の英雄」と呼ばれた青年・芥。
左遷されやってきた鳥取支部で、副隊長・百福らのゆるっとした雰囲気に巻き込まれるうちに、「日常を過ごす」ことがこれからの戦いなのかもしれないと気付き始め…？
終わりそうで終わらない、ちょっと終わりそうな世界でゆるゆる過ごすポストアポカリプスコメディ。
わかりやすいのに独特なワードセンスで繰り広げられる会話は他にない味わいの面白さでおすすめです。
『ワンダンス』珈琲
自分の気持ちを抑えて、周りに合わせて生活している小谷花木（こたに かぼく）。
そんな彼が惹かれたのは、人目を気にせずダンスに没頭する湾田光莉（わんだ ひかり）。
彼女と一緒に踊るために、未経験のダンスに挑む！
序盤と中盤以降で読み味が大きく変わるマンガで、中盤以降、ダンスがメインになってからの展開がめちゃくちゃ面白い。
一話が刺さらなかった人もこの13話とか読んだら刺さるかもしれません。
ジャンルにより描き方が変わり、動きと止めでの躍動感の出し方がセクシーだったり格好良かったりなダンスの表現、おすすめです。
それぞれがダンスにかける熱意であったり向き合い方であったりモヤモヤであったりをダンスに乗せてぶつけ合い、通じ合う演出も激熱。
『岩元先輩ノ推薦』椎橋寛
1910年代。軍の訓令により超常現象を調査する少年、岩元胡堂。
彼の行く先には、怪奇たる少年達が―!! 『ぬらりひょんの孫』の椎橋寛が描く、時代と戦う少年達の出会いと別れを巡る美麗浪漫奇譚ー!!
明治イケメンパラダイス。
怪奇のおぞましい美しさ、イケメンの輝く美しさに見とれていると、徐々に近付いてくる陰謀や戦争。
絵柄の美しさと物語の見せ方が絶妙で、ライトに読める幻想小説らしさがある。
『ヒラエスは旅路の果て』鎌谷悠希
自ら「死」へと飛び込もうとした少女・ミカ。そんな彼女を救ったのは、謎めいた二人組だった。
そしてミカは、彼らとともに、希望と絶望が入り混じる思索の旅へ出ることに……。
蒼く切実なる旅物語、開幕！
大好きな親友に会うため死のうとする主人公。
死ぬために死のうとする不死身の男。
正しく死ぬため黄泉の国へ旅をする神様。
「死ぬ」という目的以外なにもかも違う三人が、黄泉の国への旅を通し「死ぬこと」「生きること」を考え、向き合っていく。
優しい物語でありながら、死ぬということへの温度感は冷たく、その辺りの温度感が絶妙。
■コミックス部門（単行本未発売）
『NERU-武芸道行-』比良賀みん也
武芸家だった祖父の残した書物で、一人鍛錬を重ねる少年・五老海練磨、通称ネル。
中学卒業を前に進路に悩む彼のもとに、武芸家を名乗る謎の少女・拝庭朱琵が現れる。
朱琵に連れられてネルが辿り着くは、現代の武芸家が集う学校――
本格学園武芸アクション、開幕!!
『ビンテイジ』赤堀君
古着と恋で世界は変わる!!
「どうして…どうしてオレはなんでモテないんだ!?」
主人公・エイジは、オシャレに無頓着なイケてない大学1年生。
童貞卒業を目標に合コンに挑むも惨敗続きの彼は、古着フリークだった父親の形見のGパンと、愛想はないけどめちゃくちゃ可愛い古着屋の女の子・アヤメと出会う！
「古着」と「恋」で動き始めるキャンパスライフコメディー、開幕!!
（試し読みなし）
『嘘つきユリコの栄光』田中現兎
皆から褒められたい。目立ちたい。一番になりたい…だけど何も持っていない。
そんな自己顕示欲だけが高いフツーの女子中学生・百合子は、入学初日に「セレブなクラスメイトの婚約者」という嘘をついてしまう。
一瞬でバレるはずのくだらない嘘に、彼が何故か乗ってきて…⁉︎
『花は咲く、修羅の如く』武田綾乃/むっしゅ
「響け! ユーフォニアム」シリーズの武田綾乃、初の漫画原作!!
人口600人の小さな島・十鳴島に住む花奈は高校の入学式を明日に控えていた。
小学4年生の頃から続けてきた朗読会は今日も盛況に終わり、参加した子どもたちを見送っていると、見知らぬ女子高生から声をかけられて……？
『双生遊戯』岡田淳司
新時代仁侠漫画開幕！
関西一の巨大極道組織・布袋組は、金子組長の下、我が世の春を謳歌していた。金子組長は自身の息子で双子の琳と塁のどちらかに跡目を継がせようとする。
しかし、性格も考えも正反対の琳と塁のどちらにつくかで組は二分。そして、この双子にはとんでもない秘密が！！ 全員悪人にして奇人！！！
『iコンタクト』伊賀大晃/月山可也
公式戦出場を夢見る、中学３年FWのサッカー少年・桜坂獅子。
陸上部顔負けの俊足はあるが、何度シュートを打ってもフカしてばかりで、万年補欠止まり。
そんなある日、オンラインサッカーゲームで出会った謎の有名天才ゲーマーただ一人が、獅子に秘められた才能を見抜く。
「次の部活の練習で試してみてほしいことがある」
出会ったのは、神か悪魔か!?電脳と現実が交錯する次世代サッカー漫画開幕!!
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