雑記:タテジク

積んでたアフタヌーンを崩しました。
今『ブルーピリオド』が熱い。

個人的にはずっと熱いと思っていたものの、「受験編までは読んでたんだけど受験してからはちょっと」という人をよく見たので、そういうことではないんだと思う。

受験編以降のブルーピリオドは、自意識過剰繊細マンの主人公が美術とそれにまつわるヒト・モノから刺激を受け、その刺激を受け入れたり咀嚼したり反発したりしながら、作品制作を通して己と向き合い考えを整理し成長していく、という物語になっている。はず。

受験のときとやってること自体は変わらないし、主人公と周囲の人々の人生を描くという軸はある。
けど、それは多分縦軸を求めてる人の欲しい軸じゃない気もする。

点と点を辿っていったら線になってるよ、じゃなくて、ここから始まってあそこがゴール、ならゴールまでの道筋はこうなるって想像できるよね?が求められてるんだろうな。

なにがなんだかわからない話でも喜んで読んでくれるのは一部の物好きだけだろうし、ジャンルと物語の目的を提示しろってだけのことなんだから、それは全くおかしい話ではない。

それで言うとブルーピリオドは、序盤に「スポ根芸術漫画」「藝大に受験する物語」って提示したのに、藝大に現役入学してそのままぬるっと話が続いて、しかもスポ根感が薄れてるから、あれ?ってなってる気がする。

話が違うじゃん、という。

ブルーピリオドの序盤を思い返してみると、印象的なシーンは早朝の渋谷が青いって八虎の感覚だったり、他の受験生を見下ろしてメンタルバランス整えてる桑名さんだったり、八虎がよたくんに「好きだし嫌い」的なことを言うところだったり、受験のときにぶっ倒れた八虎さんを助けてくれる桑名さんだったり。

人ばっか見てるから人ばっか描いてる受験編以降も楽しめてるんでしょうね。
好きなキャラは桑名さんです。

あと八虎が感覚を言語化できて気持ちよくなってるところが好きです。
大体ある見開きバーンが格好良い。

こういった方向性で一番面白い話は絵画教室編だと思っていますが、これは多分読み続けられた人向け。

冒頭で「今熱い」と書いたのは、今やっている話が同級生の過去編で、藝大合格ストーリーと消えた天才を巡るサスペンスを絡めた新しい話になっているからです。
スポ根感はないけど、新しい面白さがあります。

あと、主人公が藝大入学後の自分に目標がないことに気付き始めています。
この話が終わる頃には縦軸が整いそうな気もする。

お前の人生を描く漫画なんだから、お前がこの漫画の縦軸を作るんだよ!八虎!

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