あの映画を観た感想 ※ネタバレ

観てから読め

結局観た

観る予定ないんですけど〜とか言いながら、ミーハー心がざわついて普通に観た。

TLをちらっと見て、なんだかいろいろな評価をたくさん見そうな気がするぞ、と思ったので、これは先に観ねば、みたいな強迫観念に襲われたのもある。SNSの奴隷。


自分の中では「想像の10倍ジブリだった。面白さみたいなのとは別次元で勝負してる、なんなら戦おうとすらしていない作品な気がする。映像とキャラクター表現がすごい」みたいな感想に落ち着いた気がする。


映画全然観ない民なので、そんな感じのふわふわ感想です。


序盤

Twitterでいろいろ言われてるのが目に入りそうだからその前に観たい、というネガティブな理由で観に行ったので、事前情報もなにもなく観た。その結果、序盤めちゃくちゃ困惑した。


個人的に、幻想文学は幻想文学だと了解した上で鑑賞した方が面白いと思っている。「これはなに?」という疑問に振り回されず、ノイズ少なく作品を楽しめる気がする。


本作を観る前に情報を入れなさすぎて、冒頭描写から普通に戦中戦後の少年の生活を描くものだと思っていたので、実際の内容のファンタジーさに驚いた。

特に序盤、アオサギと素のフラッシュバックと周囲のなんとなくわかってるけど見て見ぬふりしてる素振りが相まって、鑑賞感覚はファンタジーどころかホラーに近かった。


なので、事前情報なしで行ったのは失敗だったかなぁ、と思ったものの、軽く調べてみたら小説の方は別に幻想小説ではないらしい。なんなら映画の内容も事前にはよくわかってなかったらしい。不可避ファンタジーじゃねえか。なんやねん。


「これはなに?」と思わせることが狙いです、と言われたらなにも言えない。

実際、中盤まではどんな映画なのか本当に掴めないまま観ていたので、スクリーンのなかで起こること全てに意味を探してしまう。そのお陰で登場人物の機微みたいなものに気が付けた面もあった気はするし、そうやって考えることが大事なんですって言われたら「そっかぁ」ってなる。

序盤の感情描写の積み重ねがあるからこそ中盤以降がいい、というのは間違いなくあるので、大切な部分だとは思う。


けど、序盤の現実か空想かみたいなところにあまりノレなくて、絵がすごいな〜音がすごいな〜くらいの感想が強かった。映像は本当にすごい。音と合わせて自然感がすごい。映画館で見てなかったら序盤で観るの止めてたかも。


あとキャラクターの見せ方が良かった。

この人はこういう人ですよ、みたいな説明は一切ないけど、発言であったり細かい所作であったりを見てればちゃんとわかる。


主人公は特に丁寧に描写されていてわかりやすかったけど、主要なお手伝いのお婆ちゃん達も最低限の表現でキャラを立たせていて驚いた。


今作のキモの1つな気がする多面性的な部分を表現するためには1面をちゃんと表現する必要があって、それが本当にわかりやすい。


アオサギは象徴的なキャラクターだと思う。ポスターアオサギだし。

序盤の謎タイムには主人公のずる賢さの象徴的な存在か、とか考えてたけど全然そんなことはなかった。


世界

なんだか意味深な言葉がたくさん出ていたものの、終わって振り返って見れば世界もメッセージもシナリオもシンプルだった気がする。気がするだけでわかってはないです。


意味深な言葉は物語よりも世界が世界足り得るために必要な要素で、わからないならわからないでいいし既知の概念と紐付けやすい出され方をしているっぽかった。

それはそれとして、こういうことしまくっても許されるのはネームバリューパワーな感じもする。


「実はこの設定にはこういう意図が……」みたいなのはたくさんありそうだけど、一回観ただけじゃわからないことも多いし、そういう考察みたいな見方をする映画でもない気がした。感じろ。


でも、全部見た後におじいちゃん視点で考えながら見直すのは面白そう。神視点。


人や物の多面性を認識し、素直に生きることの素晴らしさを学ぶ、みたいな感じだったけど、このメッセージを言葉で表現せず、主人公が体験を通して行動で表現して、現実を選ぶところがこの映画の大事なところなのかな。


逆に言えば、それを表現するための部分以外は割とざっくり流されていた気もする。「お父さんの大切な人を助けに行く」と自分に嘘をついていたのが「夏子お母さんを助けたい」になって自分からそう言ったことが重要で、夏子さんを助けること自体を主人公がやる必要はない、みたいな。

なんなら「行動するのは大人の仕事」くらいの感覚なのかも。


シンプルだった気がするって書いたけど、生命誕生体験コーナーみたいな世界のことはよくわかってない。


あの世界全体が生命推しだった理由もよくわかってない。他は主人公の成長を通して見せてたけど、生命に関しては主人公も粗末にしてたわけではなかったので、映画から観客にダイレクトに、ただ生命の素晴らしさを語られただけな気がする。


生命の素晴らしさに感銘を受けて、みたいなのはあると思うけど、お婆ちゃんたちが守ってくれてる、みたいな話のほうがグッと来る。

ペリカン埋葬するのもあの子なら元からやりそうな気がする。なんだったんだろう、生命。

あの白くて丸っこい生命の種ちゃんはかわいい。


生命、なんだ……?で頭が固まったのでおしまいです。


感想書き終わったので感想会的なことをした

Twitterでフォロワーさんの感想も見た。


それで思ったのは、大体の人が「宮崎駿の映画」を観るためにこの映画を観たんだな、ということ。

映画のなかに宮崎駿を見ている。


しかもそれはこの映画を楽しむために適切な視点で、自分が抱いた「これなに?」みたいな疑問は大体「宮崎駿は過去にこういう表現をしていて〜」みたいなので解決される。


感想会前に書いた感想で一度も宮崎駿というワードを使っていないくらい自分は宮崎駿に関して詳しくないので疑問も多かったが、宮崎駿に詳しければそんな気にならず観れるのだと思う。なんならご褒美というか、その異質な要素こそが作品の魅力に繋がる。


話してるなかで児童文学というワードが出てきて、これがかなりしっくり来た。

ワクワクして、夢みたいだけど少し不気味で、説教臭くないけど最後には教訓的なものが残る。子供向けということではない。

素晴らしい児童文学に挟まってる疑問を紐解くと宮崎駿が顔を出す。そんな感じの映画だった。

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