「勉強」が楽しいと気づいた瞬間 2022/07/20 【1942文字】

まず、私はいわゆる「高学歴」や「旧帝大」の出身ではないことを先んじて話しておく。

要するに「勉強に時間を費やした人種」ではないことを話しておく必要性がある。

しかも、人生でもっとも「勉強」が必要になる分水嶺および転換期である《中学時代》には、友達と駄弁って地元の高校へ進学し、普通の生活を送っていた。

私に転機が訪れたのはもう少し先の《高校時代》であって、そもそも《中学時代》には親に塾へ通わさせられていたし、最初の何週間は完全に塾もサボっていたし、それで怒られたこともある。

「勉強」に対して気付きの第一歩は間違いなくその塾であろう。当時、大学生の塾講師が熱心に数学の一次関数や連立方程式などの基礎から、確率などの受験問題までケアしてくれたのは記憶として残っているが、私はこういった受験勉強が好きではない。

何故なら基本的にその後は『無用の長物』になってしまうから。それならゲームの知識などを仕入れていた方が、私にとっては値千金である。

その塾には、たまたま同じ高校へと進学する予定の同じ中学の友達もいて、友達と塾で話す時間はそれなりに楽しかった。

さて、先程「勉強」が楽しくなった瞬間は《高校時代》だと話したが、まず結果から言えば学内テストの成績は高校時代からそれなりに向上したのだが、そこそこ玉石混交のマンモス中学校でもあったので、中学のレベルが高かっただけとも言えるし、成績には楽しさは見出していない。

しかし、《中学時代》は「勉強」に対して、無関心だったのも事実であり、勉強=成績に相関しやすいというのもまた客観的事実でもある。

そもそも私は得意科目でいえば『歴史』が好きで、『日本史・世界史』は私がもっとも好きな科目であった。

ここが「勉強」に対して取り組み方が変化した決定的なワンシーンだと思うのだが、当時私が通っている高校では、良い意味で【頭のおかしい歴史オタクの女教師】がいて、その先生は1年・3年の担任でもあった。

直接的になにかを教わった覚えは無いのだが、『日本史・世界史』が楽しいと感じたのは今思えば彼女のおかげかもしれない。

具体的に楽しいと感じたのは、教科書の隅っこに書かれているような「周辺知識」を披露してくれたことだろうか。

当時私は『日本史・世界史』では、特に《縄文・弥生時代》の付近は眉唾物だと思っていたのだが、例えば、卑弥呼がいたのは恐らく《大和国》(現・奈良県)周辺が有力であるという、何気ない周辺知識は私の「勉強」を豊かにするのに充分であった。

太宰治の『カルチベート』という単語の真意は分からないが、私なりの『カルチベート』はこういった何気ない「周辺知識」なのではないか?と考えている。

つまり、「勉強」とは必死に努力をすることではなく、物事を楽しみ見識を深めるための大前提、動作を動かすためのフレームワークであると考えれば、不思議と勉強そのものが苦ではなくなった。

「勉強はしただけ、そのまま知識になる」と度々言われるが、私はこれについて少しだけ反感を覚える。

例えば、私が海でサーフィンをしようと思った時に、無知で技術もない状態でサーフィンをしようとすれば、たちまち事故や転覆してしまう恐れがある。

これは間違っていない。しかし、重要なのは「知識」ではなく、物事を楽しむための「準備」だと思う。これこそが「勉強の本質」だと思う。

サーフィンの例を引き合いに出すと、仮にボードや知識・技術があっても、そもそもサーフィンに興味がなければ意味がない。

そうなのだ。「勉強」は自分が知ろうという知的探求心には大いにレスポンシブである。

無関心であったり、苦手だったり、嫌いなものには、真の意味での「勉強」は追いついてこない。

例えば、いわゆる『混ぜるなキケン』には「塩素系+酸性を混ぜると有毒ガスが発生する」という前提知識があっても、自分が興味を持たなければ、どういった有毒ガスが発生するかまでは分からない。

そう。「勉強」は自分が好きなものにしか振り向かない。逆に言えば、興味を持てばそれだけ振り返ってくれる。

それをどのタイミングで気付くかだと思うし、それを徹底的に探究できる人は案外少ないのではないだろうか。

それと、興味がないものに対しての「勉強」の必要性は薄いと感じているが、案外続けていく中で楽しいものも見えてくるので、何事も食わず嫌いは控えたいとも感じる。

実際、私は「勉強」への興味には、それなりに時間が掛かったし、私自身かなり「勉強」に対して『狭く深く』だと思っている節があるので、正解は一様ではないし、それで良いと思っている。

なので、『勉強は物事を楽しむためのフレームワーク』だと思えば、私は今までより少しは楽しめるようになった。

みなさんもぜひ今一度「勉強」を楽しんでみては。


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