【H×H】キメラアント編の構成が綺麗すぎる イカルゴ編【解説記事】

冨樫義博先生といえば言わずと知れた『HUNTER×HUNTER』や『幽☆遊☆白書』の作者である。

私はその中でも今回《キメラアント編》を紹介していく。

大筋については割愛して、今回はディープな部分にフォーカスしていく。

まず、キメラアント編には序盤に《女王アリ》がNGLという自給自足の自然保護区に漂着したことが切っ掛けで、人間を食糧として体力を回復させつつ、子孫を増やしていき、その後に《師団長》と呼ばれる強い兵士を産むことになる。

《女王》の目的は《キメラアントの王》の出産であり、師団長はそれらを出産するまでに産み出された個体である。

今回の核となる師団長およびチームの《レオル》と《フラッタ》について解説していく。

他人の能力を借りる『レンタルポッド』の念能力者の《レオル》、複眼で空中から相手を観察する『サテライトンボ』の念能力者である《フラッタ》と《ヒナ》というキメラアントの3人組で構成されるチームである。

その後、キメラアントの王が孵化し、女王アリが死産したことで《師団長》は完全に意味が無くなり、実質的な解散状態となり、各々が後天的に王を目指す。

ここのタイミングで《ハギャ》は《レオル》に改名し、フラッタ・ヒナも着いて行くことになり、再度彼らが登場するのは中盤以降である。

実はこのタイミングで《フラッタ》が、ハンター協会側の《キメラアント討伐隊》に討伐されている。

その後キメラアント討伐隊の《モラウ》の煙の能力によって、《レオル》は一酸化炭素中毒により死亡。

その後、元・師団長である《イカルゴ》が、メインメンバーである《キルア・ゾルディック》との介入によって、《キメラアント討伐隊》に参加し、打倒《キメラアントの王》を目指す。

特に《イカルゴ》は《キルア》と友達の関係にある。ここが大事。

実はイカルゴ(タコのような見た目をしている)には、死体の皮を被れるという念能力『リビングデッドドールズ』があり、討伐隊が先程屠った《フラッタ》の死体を借りていた。念能力も借りれる。

要するに《イカルゴ》は現在《フラッタ》に変装中であり、立場的には「キメラアント側のスパイ中」という立ち位置である。

《イカルゴ》の役割としてはキメラアントの棲む宮殿に、先日から潜入捜査していた《パーム・シベリア》の保護・奪還である。

ここまでを前提として、更にアクセルを踏むと《キメラアント討伐隊》である《ゴン・フリークス》および《キルア》の目的は、ゴンの父親の弟子である"カイト"の治癒である。

ざっとまとめよう。《イカルゴ》は現在《フラッタ》に変装中。立場としては「キメラアント討伐隊」に参加中。目的は《パーム・シベリア》の保護・奪還。

《キルア・ゾルディック》は宮殿内にいる《王護衛軍》の1人である《ネフェルピトー》を追っている状態であり、《フラッタ》とは敵対中。《イカルゴ》とは友人関係。

そうなのである。この状態では《フラッタ》(イカルゴ)とは敵対中なのである。

今まで、とても長かったが、ここが重要なのだが、ややこしい。

《キルア》は、ここで《フラッタ》側にいた下級キメラアント兵士を無意識の内に殺害してしまった。

要するに、《フラッタ》は《キルア》を見逃すという愚行を行って、すれ違うシーンな訳です。

その後に出た《イカルゴ》の台詞が、「貸しだぞ!!」

いや、ヤバすぎ。天才だよね。私は気軽く「天才」などとは言わないように気を付けているが、これは天賦の才ではなく、努力の賜物。そういう意味での天才。

前半の文章も大事で、宮殿内にはそれなりに《師団長》が残っていて、もちろんそれを見ていた《師団長》が2名ほどいた。

その2名は、エビのような見た目の《ブロヴーダ》と、狼のような見た目の《ウェルフィン》。

要するに、敵をわざわざ見逃した《フラッタ》に違和感を覚えた2名は《フラッタ》に接近し、何個か質問を繰り返す。

そこで《イカルゴ》も致命的なミスを犯す。

《フラッタ》が《レオル》という呼び方ではなく、《ハギャ》という言い回しをしてしまったのだ。

女王から貰った名前である《ハギャ》を捨て、プライドが高く《レオル》と呼ばなければ激昂していたのに、《ハギャ様》と呼んでしまったのだ。

しかも、これは視聴者にしか分からないミスリードで、《イカルゴ》は最後までこのミスリードに気付くことは無かった。


要するに、《キルア》と《フラッタ》は敵対中なのに、下級キメラアント兵の殺害をした《キルア》を、《フラッタ》はすれ違って"見逃す"という致命的なミスを犯してしまった。

そして、師団長である《ブロヴーダ》と《ウェルフィン》に違和感を詰め寄られ、かつてのリーダーである《レオル》を改名前の《ハギャ様》と発言してしまい、更に違和感を感じさせてしまうが、《イカルゴ》はまったく気付かないというだけのシーン。

これ言葉で聞くと大したこと無いと思うかもしれないけど、こんなのサブイベントというか誰も気にしてないワンシーンだし、これ説明しただけでも7巻くらいに渡っての話だからね。

《キメラアントの王》を倒すって言ってるのに、こんな師団長なんて木っ端な訳ですよ。

護衛軍が80%、王を99%のリソースで考えるなら、これはせいぜい5%〜10%くらい。

それなのに、この綺麗さ。すごすぎる。素晴らしい。

これの綺麗なところは、さっき出てきてた《ヒナ》はちゃんと裏で《レオル様》って言ってるとこなんだよね。ヒナなんて後半にちょろっと再登場しただけなのに。すごすぎ。

すべてが綺麗。未読勢に言ってること伝わってるかな?これに関してはすべて記憶で再現してるから、抜けてる部分はいっぱいあると思う。

流れはすべて合ってるけど、言い回しとかは少し違うから、ゼブラックとかで読んで確かめてください。

ちゃんと細かいとこまで書いてたら、多分5000文字は堅い。なんてことないシーンでもこんだけ語れる。

多少ネタバレにも配慮した形なんだけど、言いたいこと伝わったかな? 単純に覚えてない人も多そう。 逆にこの熱量を4ヶ月今まで、よくセーブしてたな。

これ実際の年月だと休載期間も込みで、4〜5年とかリアルに掛かってるから、すごいことになってるんだよな。週間だったら絶対無理。

【師  5-9-6-3】

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