見出し画像

還暦おやじのスタディアブロードWith ウクレレ㉞女王様からの英会話レッスン

女王様から英会話レッスン

 部屋の前まで来ると事務員のフルーツが立っていた。部屋にどうぞと誘ったが、フルーツが外で話す方がいいというので、立ち話になった。幸い、犬は散歩中なのだろうか、やけに静かだった。

フ:「Hello Shigeki. Can I talk to you for a second?」こんにちは。シゲキ。チョット話してもいいですか?

鍵:「Sure.」もちろんです。

フ:「How was Jam’s class?」 ジャムの授業はどうでしたか?

鍵:「It was a lot of fun. Thank you.」とても楽しかったです。ありがとう。

フ:「I’m glad to hear that. Please enjoy the afternoon class as well.」それを聞いて私も嬉しいです。午後の授業も楽しんでください。

鍵:「The day after tomorrow, I’m going to McDonald’s for lunch.」明後日マクドナルドにランチを食べにいきます。

「I will try what I practiced. I’m looking forward to that.」練習したことを試してみます。私は楽しみです。

フ:「Really? Have fun!」そうなの?楽しんでね!

鍵:「Thank you.」ありがとう。

フ:「I’ve told Margarine what you want, so it’s okay.」 マーガリンblah blah blah大丈夫です。

鍵:「Pardon?」もう一度言ってください。

フ:「マーガリンに、あなたの希望を伝えてあるので大丈夫と違いないれす。」と、チョッと変な日本語で話してくれたが、本当はもう一度英語で話して欲しかった。

 しかしフルーツの多少変でも一生懸命に日本語を話してくれると日本語ネイティブとしては嬉しい。

 このような思いは万国共通なのだと思う。私も間違った英語であっても大きな声で話すことに抵抗がなくなってきた。

鍵:「Thank you. Take care. Bye-bye.」ありがとう。元気でね。バイバイ。

フ:「Thank you and take care of yourself too. Bye-bye」ありがとう。あなたもお大事にね。バイバイ。

それにしてもフルーツの細やかな心遣いが嬉しい。彼女は本当に如才ない人だ。益々ファンになっちゃう。しかし、ふと、如才ない・・・。平たく言うと愛想がよく気が利く人って英語で何っていうのだろう?後で、ググってみなくちゃ。それにフルーツになら狸の事も代官を探すことも相談出来そうだ。

鍵:「You are kind. I really appreciate that. Thank you.」ご親切にどうも、とても感謝しています。ありがとう。

フルーツは事務室に戻って行ったが、どうして日本語も英語も話すことが出来て美形のフルーツが、このスクールの事務員として働いているのかという疑問がふと頭をよぎった。

 まさか、フルーツのおなかの赤ちゃんの父親は校長?もしそうだとしたら彼が羨ましすぎる。

部屋のドアを開けているところにマーガリンが来て挨拶してくれた。砂さんからマーガリンはこのスクールで一番高齢だと聞いていたが、スタイルも良いし美形の女性だった。

 部屋の中に入って貰って軽く挨拶を交わし、話をしてみると毎週スポーツジムに通っているとのこと。

 その為、スタッフTシャツの上からもみてもおなかのあたりがしまっている。それに胸が大きい。

 そして、信じられないが孫がいて私の妻と同じ年だというのに、彼女がミニスカートでイスに座って足を組む仕草にはドッキっとさせられた。

そして、英会話スクールの先生が履くのは場違いだと思われる真っ赤なハイヒールもフィットしていた。

私は冷蔵庫からミネラルウオーターを取り出して彼女に渡してから、ジャムやフルーツにも読んで貰った「スタディアブロードの目的」の書いてあるノートを読んで貰った。

 マーガリンは、ノートに目を通し。

M:「I heard from Fruit. Where is the book you brought.」フルーツから聞いています。あなたが持ってきた本はどこですか?

鍵:「Yes this is.」はいこれです。

と言って本を手渡した。マーガリンはしばらく眺めてから。

M:「My lessons are pronunciation and linking. Are you Okay?」私がレッスンするのは発音とリンキングです。あなたはそれで良いですか?

鍵:「Yes, I am.」はい。

確かリンキングは音声変化で「連結」「脱落」「同化」でリエゾンと同じだったよな。

M:「Let’s get started.」それでは始めますよ。

と、云ってレッスンはスタートした。

M: 「First of all, read this text. Shigeki.」まず初めにこのテキストを読んで。シゲキ。

文面は英語と日本語併記となっていて、内容は、リンキングについての説明だった。

私の嫌いな勉強だが、こちらも私が持参した本でレッスンをしてほしいという無理なお願いをしているので、ここは逆らわずに素直に読んでみる事にした。

リンキングの授業は大嫌いだ!

 マーガリンにはどことなく逆らう事を許さないといった迫力があり、目力も強く、SM小説の女王様の雰囲気を醸し出していた。

 プロポーションも良く美形という事がその様な連想を助長させ、彼女が鞭を持っている姿が一瞬頭に浮かんだ。

テキストの内容は、リンキングの基本について書いてある。

Check it out! 調べてみよう!「チェック イット アウト」は「チェッケラゥ」

Can I take it out? 取り出せますか?

「キャン アイ テイク イット アウト」⇒「キャナイテイケッタウ」

何故、こうなるのか?

以下を最後まで読んで理解してくださいと書いてある。

母音と子音を改めておさらい。

母音⇒a. i. u. e. o 日本語の「あ」「い」「う」「え」「お」

子音⇒それ以外のアルファベット

リンキングの5つの法則

①子音で終わる英単語(英会話で最も多く使われる)

 英単語の語尾が子音で、次の英単語の語頭が母音の場合、子音と母音をくっつけて発音する。

②英単語が母音から母音へと続く場合は、間に「Y」や「W」の音が挿入されることが多い。

「Y」や「W」どちらになるかは「音が母音で終わる英単語」を発音した時の口の形で決まる。

音が母音で終わる英単語の場合、[a][e][i]の音で終わる場合は、口は広がった形になっている。

口が広がっている時は「Y」の音が入ってくる。

[a]⇒[ei]「エイ」[e]⇒[i:]「イー」[i]⇒[ai]「アイ」

例)The end 「ディ エンド」⇒The yend「ディ イェンド」

 High up 「ハイ アップ」⇒High yup「ハイ ヤップ」

口が丸まっている時は「W」の音が入ってくる。

「音が母音で終わる英単語」[o][u]の音で終わる場合、口は丸まった形になっている。

[o]⇒[əʊ]「オゥ」[u]⇒[u:]「ユー

このような音で最初の英語が終わる場合は次に繋がる英単語の前に軽く「W」の音が入ってきます。

例)Go out「ゴーアウト」Go wout「ゴーワウト」

③子音で終わる英単語+同じ、又は似た子音で始まる単語

同じ子音で始まる場合

同一の子音が続く場合は、2回同じ音を発音せず一回のみ発音する。ネイティブは、同じ音が重なった時片方は発音しない。

例)Set top「セット トップ」ではなく「セトップと[t]を発音しない。

似た子音で始まる

「似た子音」とは「S」と「Z」、「F」と「V」など。

I have finished have.終わりました。Haveが[v]で終わりfinishが[f]で始まるのでリンキングして「2回の時間で1回」になる。[t][d[th]同士は、頻繁にリンキングする。

④[in][on][and][or]が続く場合

これらは母音で始まるので子音で終わる単語とリンキングするが、単語自体が短いので一瞬で発音が終わってしまう。

これらは同じように発音さる場合が多いので、前後の文脈でどれかを判断するしかない。

そして、殆どの場合シュワ+Nという発音になる。

例)「Get on in.」 乗りなさい。「ゲットオンイン」⇒「ゲットンニン」

「Come on in.」 どうぞいらっしゃい。「カモンニン」

 「I use butter and sugar.」 私はバターと砂糖を使います。アイユーズバッターンシュガ

⑤「何とか」+「Y」で始まる英単語の場合

「あなた」という意味の「you」は、コミュニケーションをとっている相手がいる限り、英会話の中で必ずと言って良いほど出てきます。

この「you」という英単語を使う場合、リンキングすることが非常に多いので注意が必要。

「T」+「Y」の場合

英単語の語尾が「T」で次の英単語の語頭が「Y」の場合、「ch」と発音する。

例)Don’t you. 「ドンチュー」となる。

  Get you. Want you. Aren’t you.も同じ。

 「D」+「Y」の場合

 英単語の語尾が「D」で、次の単語の語頭が「Y」の場合は「j」と発音する。

Did you? 「ディヂュー」と発音する。

 Need you. Could you. Would you. も同じ。

「S」+「Y」の場合

英単語の語尾が「S」で次の英単語の語頭が「Y」の場合「sh」と発音する。

This year. 今年。「ディシャー」となる。

「Z」+「Y」の場合

英単語の語尾が「Z」で次の英単語の語頭が「Y」の場合は、「zh」と発音する。

As you know. あなたが知っているように。「アッジューノー」

リンキングの発音トレーニングなんかやめて日本に帰りたい

①ネイティブの発音を繰り返し慣れるまで聞く。

②リンキングを意識して聞く。

③好きな洋楽を繰り返し聴いて、英語のアクセントになれる。

④音に集中して、意味やスペルは考えない。

⑤発音する際にはゆっくり音と音の繋がりを意識する。

⑥RやTHなどの日本語にない音を正しく発音する「癖」を付ける事を優先する。

⑦英語の発音は腹式呼吸で声を前にだす。

読み終わったが、ちっとも楽しくないし眠たい。

私がテキストを読んでいる間、マーガリンは私が持参した本を読んでいた。
つまらないのであくびが止まらない。こんな時はあの狸でもいてくれたらなぁ。あの狸なんていったかなぁ。なんて全くテキストに集中できない。そうだ!OKまんごろうだ!
へい、だんな、お呼びでげすか?

桶まん!

鍵:「そうだけど、その恰好やめてくれる。気味が悪い!
英語の勉強がつまらないから、なんか面白い話をしてくれよ。」
桶:「おもろい話なんか何にもありやせん」
鍵:「そうなのか、つまらないなぁ」

英語を聞き取れるようになりたいならシャドウイング!

その次のページは「リエゾン」の説明だ。

私はリンキングとリエゾンと同じと思っていたが、このテキストは違うと言っている。

このテキストによるとリエゾンは「音声変化」で「連結」「脱落」「同化」の3種類があり、リンキングは「連結」の部分だ。

その他「脱落」と「同化」を理解しないと英語を聞き取れないとテキストは言っている。

リスニング力を鍛えないと、スピーキング力は身に付かない。すなわちリスニング力とスピーキング力は表裏一体だというのだ。従ってリエゾンを克服してリスニング力をアップするには、自分でもリエゾンさせて発音できるようになるが近道で、自分がリエゾンさせて発音するようになって初めて、脳はその音を「音」として認識してくれる。

  つまり、聞き取れるようになるためには、何度も繰り返し聞くより、音声をまねて何度も口に出して練習する方が良い。その為には、ネイティブに発音して貰ってシャドウイングし、違いを修正して貰う練習が最適だ。

  脱落が起こる理由は、ネイティブにとって発音しない方が楽だからで、全てを発音していたら早く話せないし疲れるからだそうだ。

脱落は以下の二つの種類をおさえておこうと書いてある。

①子音+子音で音が落ちる場合

 ア、破裂音と破裂音で音が落ちる場合

 例)Stop calling. 「スタップ コーリング」⇒「スタッコーリング」[p]の音が発音されない。

Club president.「クラブ プレジデント」⇒「クラップレジデント」[b]の音が発音されない。

Sit there.「シット ゼア」⇒「シッゼア」[t]の音が発音されない。

Send them.「センド ゼム」⇒「センゼム」[d]の音が発音されない。

Black shirt.「ブラック シャートゥ」⇒「ブラッシャートゥ」[k]の音が発音されない。

Flag ship.「フラッグ シップ」⇒「フラッシップ」[g]の音が発音されない。

イ、破裂音と+子音(破裂音、摩擦音以外)で音が落ちる場合

Top level.「タップ レヴエル」⇒「タッレヴェル」[p]の音が発音されない。

Hot milk.「ハットゥ ミルク」⇒「ハッミルク」[t]の音が発音されない。

Just now.「ジャストゥ ナゥ」⇒「ジャスナゥ」[t]の音が発音されない。

ロ、子音+[h]で[h]が落ちる場合

Could have.「クッドゥハヴ」⇒「クダヴ」[h]の音が発音されない。

Call him.「コール ヒム」⇒「コーリム」[h]の音が発音されない。

この[h]の脱落は厄介だ。私は以前、英会話のセミナーに参加している時に、

講師から「I met him yesterday.」が聞き取れますか?と言われてわからなかった記憶がよみがえってきた。

「アイメッイムイエスタデイ」私は昨日彼に会ったという簡単なフレーズだが[t]と[h]が脱落することで、私が聞き覚えのあるフレーズとは別物になり、聞き取れない事がすごく悔しかった。

②文末の破裂音が落ちる場合

例)I did it.「アイ ディドゥイットゥ」⇒「アイディディッ」[t]の音が発音されない。

 I’ll go walking.「アイル ゴゥ ワーキング」⇒「アイル ゴゥ ワーキン」最後の[g]の音が発音されない。

  I’ll do that. 「アイル ドゥ ザットゥ」⇒「アイル ドゥ ザッ」最後の[t]の音が発音されない。

 この様なテキストを見ているとなるほどそうなのかと、英語を勉強している気になるが私は好きではない。

  しかし、青でマーカーした部分の英語表記をマーガリンにも読んで貰ったことで、初めのレッスンとしてシャドウイングを5分の休憩の後に行うことになった。

  休憩時間を利用して、彼女は如才ない人だ、をGoogle翻訳で確認してみた「She is a friendly and attentive person.」そうか「attentive.」を使うのか。アテンドでふと、代官を思い出してしまった。

鍵:「桶まん!可愛い女子大生にでも変身してみろよ。」
桶:「へい!」

変身

鍵:「なんだよ。桶まん、お主の美的感覚はどうなっているんだ?」
桶:「お言葉ですが、我らの世界では超かわいくてアイドルなんでげす。」

そんなことより彼はどうしているのかなぁ。連絡先を聞かなかったことに今更ながら後悔している。休憩後の授業のシャドウイングは、私が持参した本のフレーズを彼女がゆっくり読んで私が真似をする。私はリンキングやリエゾンを意識しながらお手本のフレーズを聞いて繰り返す。

A:「Is this your first trip to Japan?」日本へは初めてですか?

B:「Yes, it is.」 はい、そうです。

A: 「Great! Welcome to Japan.」いいですね。ようこそ日本に。

B:「Where are you planning to go?」どこを訪ねるつもりですか?

A:「We’re planning to visit Kyoto, Nara, and Hakata.」京都、奈良、博多を訪ねるつもりです。

B: 「Sounds great! I hope you have a good time there.」どうかお楽しみください。

A:「Is this your first trip to Japan?日本は初めてですか?

B: 「No, It’s my third time in Japan. 」いいえ3回目です。

A:「So it seems you like Japan.」そうですか、日本を気に入られたようですね。

B:「Of course I do.」もちろん、日本が好きです。

A: 「What’s your favorite place in Japan? 」日本でお気に入りの場所はどこですか?

B:「I like the Yansen area.」谷根千やねせん地区です。

A:「Wow, that’s surprising.」え、驚きました。

 「It’s a very popular area among young Japanese people.」日本の若者にも人気のエリアです。

B:「A friend who has been to Japan told me.」日本に来たことのある友達が教えてくれたのです。

A:「By the way, where are you staying?」ところで、どちらにお泊りですか?

B: 「Actually, we’re staying at a ryokan in Yanaka. 」実は、谷中たなかの旅館に滞在しています。1ページ分を何度か練習すると、彼女の発音だけを頼りに、私は本を見ずにフレーズを発音しなければならない。

  そしてAとBを彼女と私で交互に読み、最後には日本語訳だけを見てフレーズを英語で発音する練習をさせられた。発音の間違いについてフレーズの途中でストップさせられて、細かくチェックされ何度もやり直しさせられた。同じ個所で間違うと鞭で打たれているような錯覚になる。まさしく女王様だった。

マーガリンは鬼だ!

「S」の発音が聞こえないと言われ「Th」の発音を直され、リズムを修正され、「Wh」の疑問文は語尾が下がる事の指摘を受けて頭がパニックになった。それに、[,]で一拍置く事の重要性を説明してくれた。

[,]で一拍置かないと意味が違ってくるという指摘を受けて練習させられた。フレーズをノートに書き留めた。

「Let’s eat, grandma!」おばあちゃん、食べよう!「レッイイッ グランマ」

「Let’s eat grandma!」 おばあちゃん「を」食べよう!「レッツイイツグランマ」

  2時間のレッスンだったがヘトヘトになったのに、おまけに宿題までだされた。宿題の内容は、今日のレッスンフレーズを各3回ずつスマートフォンに録音し、明日のレッスンの時にマーガリンに聞いて貰うというものだった。宿題なんて要らない、と断れる雰囲気ではなかった。本当に彼女がSMの女王様に見えてきた。

  フルーツから渡して貰った先生のシフト表を再度見てみると、平日は毎日午前がジャムで午後がマーガリンとなっていて、土曜日と日曜日は原則授業が休みなので空白となっていた。

鍵:「桶まん。人探しは出来るか?」
桶:「人探しでやすか?ヒットマンなら知り合いがおま。」
鍵:「ヒットマンって、殺し屋?」
桶:「旦那が恨んでいる人がいたら、頼んでみるでおま。そ奴はどこのどいつでおますか?」
鍵:「いやいや、やめとくよ。代官を殺されたらたまんない。」


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?