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香港人と仲良くなるための言葉のおはなし

みなさんこんばんは。香港在住のしゅうまいです。

今日は、香港で話されているいろいろな言葉について、日頃考えていることをまとめてみようと思いました。その上で、香港人と仲良くなるためにはどうしたら良いか、整理してみました。香港のことをよく知っている人には常識的な部分もあるかもしれませんが、しばしおつきあいください。

目次

1.香港で話されている言葉は何?

2.香港で暮らす上で、どのような言語を話すのがいいのか?

3.香港人の言語能力について

4.言葉の勉強法について(備忘録)


1.香港で話されている言葉は何?=広東語(カントン語)

香港は1997年にイギリスから中国に返還されました。ということで、国の上では中国ということになります。(実際には香港特別行政区という正式名称がついていて、一国二制度なる制度のもと、ある程度以前からの自治的なものが認められています。)詳しくはWikiなど参照。

では香港で話されている言葉は中国標準語(北京語=普通話)なのでしょうか?答えはNoです。香港は昔から、数ある中国語の方言の1つ、広東語がネイティブ言語になっています。

方言という言い方は語弊があるくらい、中国の地方の言葉には違いがあります。文法はほとんど共通しているものの、発音がまったく違うのです。

例えば、「こんにちは」は普通話(ぷーとんふぁ、とみんな呼ぶ)では你好ニーハオですが、広東語では同じ漢字ではあるもののネイホウと呼びます。

あとは詳しくは書けませんがイントネーションで大事な音の上げ下げのパターンでいうと、普通話:四声なのに対して広東語:九声だったり、いろんな違いがあります。

漢字も、簡体字(書きやすいように簡略化した)と繁体字(昔ながらの難しい文字)の2種があるのですが、広東語の筆記形態は繁体字です。

というわけで、香港人は皆広東語で会話しているのですね。普通話と比べると、活気がよく、べらんめぇ調で勢いのある言葉に聞こえるというのが自分の印象です。

ここまでがWiki的なお話。

ここからは香港の人が広東語に抱く思いについて、こういうことなんじゃないかという想像を交えて書きます。

まず、香港人は広東語を話すことに誇りを持っているように思えます。これは、中国との複雑な関係が背景にあるのでしょう。中国に返還される前のイギリス領時代、自由を謳歌していた香港は返還されるにあたり、このままではいずれ共産党の支配下におかれ、これまでのような自由がなくなってしまうのではないか、という思いに苛まれていました。かなり多くの人がそれを恐れ、国外であるカナダやオーストラリア、イギリスやニュージーランドに拠点を移したとも言われています。その後、実際には一国二制度としてある程度自由が尊重されることになり、現在のような発展が続いているのですが。

こんな背景があるので、なおさら広東語は香港人のアイデンティティ的な側面もあるのかと思っています。また、香港には地続きの中国深センから観光やビジネス目的で連日多くの中国人がやってきます。前述した一国二制度のため、実際には香港は中国の一部であっても、深センと香港の間にはしっかりとボーダーが敷かれ、パスポートがないとお互いに行き来することができません。大陸に住む中国人が香港に入るのには制限があるようで、これをどの程度緩和するのか(どの程度の人数を、香港に入れるか)をコントロールするのかは中国政府のさじ加減次第なのだそうです。

昔はあまり大陸から人が押し寄せてくることはなかったのに、最近では大陸から来る人たちが増え、あちこちで騒いだりゴミを散らかしたりとマナーの悪い様子を見て眉をひそめる香港人は少なくありません。時折、香港の民主化を主張するデモが盛り上がるのは中国人に対するよくない感情もあってのことなのですね。

しかし、香港としても大陸から来る人が消費していく買い物や宿泊などで経済が回っている側面もあります。観光での一般消費のみならず、中国で財をなした富裕層が資産を海外に移すための手段として、香港の不動産に投資するという力学も働いています。もはや香港経済は香港だけのパワーで回っているわけではなく、中国なくしては成り立たないのです。中国人は好きじゃないけど中国人が来ないと景気が悪くなる。なかなか複雑ですね。

さて言葉の話から盛大に横道に逸れてしまったので無理やり軌道修正して、2.に移っていきましょう。

2.香港で暮らす上で、どのような言語を話すのがいいのか?

1.で、香港人は広東語に誇りをもっているということとその背景を書いて来ました。そんな香港人と仲良くなるために必要な言葉は・・・もうおわかりですね笑。

それは、やはり、広東語一択ということになります!!

話しかけるときは、ニーハオじゃないんですね。せっかくなのでネイホウ!でいきましょう。それだけで、香港人の笑顔が見れるんですよ。本当です。

この日本人は、ちゃんと広東語で話しかけてくれるんだと。そうなるんですね。

日本人で広東語が話せる人はレアらしく、びっくりしてくれたのち、すごく喜ばれます。

ですが、我々日本人。ここで悩むことになります。香港にフルコミットするならば、広東語にかけてもいいでしょう。しかし、他にも行きたい場所はあるし、世界中の人と仲良くなるチャンスも失いたくないと。だとすれば他にバランスのとれたもっといいやり方があるのではと。そう、英語です。(ありきたり笑)

幸いにも香港は旧イギリス領。英語は公用語の1つでもあるので、街中ではほぼ通じるのです。

個人的な経験から言うと、英語が通じる度合いは

・観光地のお店・ホテル・公共施設・銀行等→100%

・繁華街のレストラン→90%

・企業スタッフ(日系)→80%

・ローカルのレストラン→50%

・タクシー→20%

ざっくりこんな印象かなと。

もちろん、英語を話せる人にもレベル差は当然あり、欧米に留学経験がありネイティブと変わらない流暢な英語を話す人から、聞き取りづらい香港なまりの英語を話す人まで様々です。ですが、日本のように、英語で話しかけられただけでムリムリムリムリってパニクってダッシュで逃げる、なんてことには基本ならないです。

また、ビジネス上の会話は英語で交わされるのが常です。イギリス人、フランス人、アメリカ人、日本人、韓国人、インド人etc.これらの多種多様な人々が一同に集まる国際都市香港ですから、ビジネスの会議でも複数国の人が集うのは普通です。自然と会話は全員の共通語である英語で行われます。

日系企業であっても、香港人と日本人のミーティングは英語で行われています。このことから、英語は当たり前のツールとして認識されていますね。

企業であれば、英語が話せない=外から仕事を取ってくる能力がない とみなされますのでそれだけでマネージャーになれません。したがって一定のポジション以上の人は漏れなく英語を話します。100%です。英語は仕事に直結しない、というのは日本の特殊な事情あってのことで、香港というか世界はどこでもそうだとは思うのですが、英語できるだけで(ある程度)金になるというのは本当なんですね。

というわけで、バランスをとって、英語をがんばるというのは香港人と仲良くなるための次善の策としてとても有効だと思うのです!(まとまった。笑)

3.香港人の言語能力について

香港人は広東語がネイティブで、英語も話せる人が多いと。では他の外国語など言語能力はどうなっているのでしょうか。

これも周りの香港人を見渡しての体感値ですが参考まで。

・広東語オンリー 20%

・広東語+普通話 10%

・広東語+普通話+英語  67-68%%

・広東語+普通話+英語+日本語(もしくは韓国語)2-3%

こんな感じ?

・香港人と普通話

マジョリティーは、母国語である広東語に加えて中国普通話と英語ができる、いわゆる3カ国語話者です。普通話は近年、学校教育でも盛んに教えられているとのことで、話せる人は多いです。まあ、文法が共通しているので広東語ネイティブの香港人にとっては発音を覚えるだけなのもあり、比較的習得のハードルは高くないのかもしれません。週末になると国境を超えて深センやドンガンに遊びに行って、夜のお店で中国人のおねーさんを口説いて普通話を覚える香港人男子もたくさんいるらしいです笑。商売上も、大陸から来た中国人相手となれば必須でしょう。

・香港人と英語

英語は、やはりできないと超マイナスという前提があるのでどの家庭も熱心に教育します。香港ならではの教育といえば、お手伝いさん。アマさんと呼ばれます。伝統的に女性の社会進出が超進んでいて共働きが普通なので、家事全般を行う住み込みのヘルパーさんがいる家庭が多いです。ちなみに女性はバリバリ働き、男よりも強いパターンもよく見かけます。で、このアマさんは、フィリピン・インドネシアなどから来ているのです。フィリピン人といえば英語。特に小さい子供をかかえる家庭では、アマさんに対する要求の1つとして、子供と英語でコミニュケーションを取らせると。平日の日中は親は働きに出ているため、アマさんに英語で育てられた子供は自然と英語がインストールされるというわけですね。

もう1つ英語教育で特筆すべきなのは大学の少なさ。香港には大学が、たしか8つくらいしかありません。したがって倍率は超高い。香港の大学に入るのは超難関で、本当に優秀な人しかいけません。香港大学は東大よりもレベルが高いんですね。そこにあぶれた多くの人はどうするのでしょう?はい、海外留学に行くのです。カナダが一番人気。他にはロンドン、アメリカ、オーストラリアなど。そこで国際感覚や英語に磨きをかけ、戻ってきて香港のビジネスに新しい風を吹き込むわけですね。一度祖国を出ているから、いいところも悪いところも客観視できる。戻ってきた時に、どこがおもしろくて、外にアピールしたらよいのかすぐアイデアが出てくる。実行する。香港がエネルギッシュでおもしろい街な理由は、これなんじゃないかと思ってます。

・香港人と日本語

最後に日本語について。香港で日本語ができる人に会ったら、その人はもれなく!普通話と英語をマスターした上で!趣味として!(ここ大事)あくまで、趣味として!!日本語を学んでいるのです!!!つまり4ヶ国語話者確定です!

つい勢い余って(!)を連発してしまいましたが、こういう人材はレアキャラなので、出会ったら拝み倒しましょう笑

日本のドラマや雑誌、アニメはやっぱりご想像のとおり人気ですよ。無料アプリで広東語字幕つけて連ドラ見ている香港人は少なくありません。あとAV笑

若い世代では近年の円安基調も手伝って、日本はコスパよく清潔できれいで観光が楽しめる国として認知されています。(逆に稼ぐ場所としてはぜんぜんダメ、と即答。)香港から日本に訪れる人の数は、日本から香港に行く人の4倍にもなるんだとか。人気の都市は、東京・大阪・福岡・名古屋・札幌・沖縄。なぜここか、わかりますか?答えは直行便が飛んでいるからです。他にもいくつかの都市で直航便が就航し始めています。これらの都市では香港人との出会いや香港人向けのビジネスは非常に可能性あるんじゃないかと思いますね。

ちなみに最近はエンターテイメント業界で躍進著しい韓国。韓流スターに憧れて韓国語を学び始める香港人が増えているのは事実です。

ぼかぁこの前タイに行った時思ったね。寂れた郊外の日本飯屋の前を通ったら、LGのテレビに韓国美女グループが映し出されてくねくね踊ってるんだよね。で、客のおっさんは焼き魚定食か何かを食べながらそれを凝視する。日本食レストランなのにね笑

がんばれ日本のエンタメ。もっと世界に目を向けて発信しましょう。


4.言葉の勉強法について(備忘録)

最後に、言葉の勉強法についてこれまで試したことを書いておこうと思います。

まず英語。これは、あふれんばかりの情報がネットの海にただよっております。

逆に、いろんな勉強法があってどれを試したらいいのかわからない。という問題の方が大きいかと。

自分の場合で話をさせてもらうと、まず、香港に来た当初は英語はほとんど話せませんでした。生来の楽観的な性格もあり、英語を話す環境に身を置けばそのうち話せるようになんじゃね?と思っていたんです。

半年が過ぎました。

1mmも話せるようにならん・・・このままではせっかくの香港生活をぜんぜん楽しめない・・・そこで、勉強方法を調べ始めました。

いくつか調べた中に、偶然ひとつのキーワードを見つけました。「英語上達完全マップ」です。これを貪るように読みました。これだ!これが自分にあってる感(確信)

これに沿ってやってみることにしました。さっそく、二本柱のトレーニング方法、瞬間英作文と音読のテキストを買って練習を始めました。

1年後、周囲からも、あれ、なんか話せるようになってきてるんじゃね?的な評価をいただくことに。それから海外出張の機会が増えていきます。ありがたいことです・・・

ネイティブ同士の会話に放り込まれると全然ダメ、1対1ならなんとか。ネイティブ、非ネイティブともに自分の思いは伝えられるがバリエーションが乏しい。しかし自分がよく理解している事柄、話題、分野に関してはそれなりに深いコミミュケーションはできる。ツボに入ればかなり打ち解けられ、仲良くなれる。周りを見渡せば自分より話せる人ばかりで、がんばらないとなあと思う環境ではあります。まあ、そんなところです。

英語そのものはまだまだハナクソみたいなレベルではありますが、学習法それ自体にはとても手応えを感じたのでご紹介した次第。なにより、一定期間続けられたことで習慣化できたのが大きいと思っています。学習時間を記録すること自体が、学習をモチベートする的な面もあり。何か新しいことを始めようと思ったら、時間を記録するのはとても有効な習慣化メソッドだと思う。

個人的に良い学習方法を見分けるコツを挙げてみると、

・効果が出る時間を、○ヶ月や○年とせず、○時間 と具体的に書いていること

・n=1(著者のみの特別な体験)ではなく、n=多数で実績が出ていること

この2点をよく見て、自分にあった学習法で無理なく続けられるのがいいかと。

お気に入りの音読素材を紹介

スターウォーズ好きにはたまらない逸品。音読って、苦行だと思ってる人がいたらこう言いたい。音読ハイというのが、実際あるんですよ!と。(実際はシャドーイング中心でやっています)

ダース・ベイダーになったりレイア姫になりきったりと、忙しいんじゃこっちは。感情移入しなきゃいけないし。

まあ、エピソード5なんて恋愛映画ですからね、たまたま宇宙が舞台という。ハンソロの振る舞いとセリフなんてもう丸パクリでそのまま使えますよ。(何に?)

とにかくハイになるんで好きな素材での音読はとてもおすすめです。

英語に関しては、それこそいろいろな方が書かれています。ですがここは、完全マッパーでもありマスターの、Heroさんのnoteシリーズをおすすめしないわけにはいきません!超絶おすすめ。全部書いてあります!


続いて中国語(普通話)

この完全マップを中国語に応用している人たちはいるのでしょうか?いるんですね。このことからも完全マップの学習方法が英語のみならず他の言語習得プロセスでも効果を上げていることが証明されています。

中国語版の瞬間作文のテキストもあるのでしょうか?あります。これを買ってしばらくやってみました。

音読素材はまだです。ある程度手応えが感じられるようになったらですね、やっぱりこれなんじゃないでしょうかね笑

香港、台湾の書店で確認済み。1冊買ってみました。(積ん読中。)

あと、すごいサイトを見つけたので備忘録として。

これは中国語学習者(特にそこの男子!)必見ですね。著者は金融日記読者なのでは説あります。(ある。)

続いて広東語です。

広東語を完全マップのメソッドで学習している人ははたして、、、いるのでしょうか?

これはさすがに見つけられませんでした。

自分なりに完全マップに沿うテキストを挙げるとすると、

瞬間広東語作文はこれ。しばらくやってみたのですが、会話のとっかかりとしてとてもいいなと思いますね。発音は、香港人同僚に教えてもらってます。ピンインとかではなくサウンドで覚える感じです。たぶん邪道。でもポロっと日本人なまりの広東語を時々こぼす、おちゃめな日本人、というキャラを演じるには十分ワークしてます。

音読は、、、ごめんなさい探せてないです。

文法について。

文法は、普通話も広東語も共通と書きました。どちらをベースに文法をインストールしたらいいのか悩みます。

周りに聞いてみても、広東語と普通話が混ざるからどちらかでやった方がいい派と、いや両方やると相乗効果が出る派と、分かれます。結局どっちやねん笑

あまり細かいことは気にせず好きな方から気長にやるのがいいのかもしれません。

個人的には、中国本土に出張に行く機会がそこそこあり、普通話を話せるようになったらいいなと思いつつ、言葉に問題がない香港人同僚に頼って、つい普通話の学習を継続できません。近年の中国本土での仕事も、英語でできるようになってきたことも大きいです。余談ですが中国人も英語バシバシ使うんですよ。名刺にはもれなくMikeとかJulietなどという英語名を堂々と名乗ります。逆にそういうことをしている日本人は少なく、発音しにくい名前を苦笑いしながら説明します。ある意味彼らはとても合理的ですよね。
広東語はちょっとした挨拶と、サバイバルレベル(レストランでの飯の注文と、タクシーで家に帰るところだけはパーフェクト)から脱したいと思いつつ・・広東語オンリーの会話ができるようになるには程遠い。まあ、一歩一歩です。

こんな感じではありますが、最後におすすめの語学学習アプリを紹介します。

Duolingoです。

このアプリの概要はこちらの記事を見ていただくのがいいでしょう。素敵な記事です。


で、この期待のDuolingoですが、多くの要望があったとされる中国語バージョンが2017年11月、ついにローンチされたんですね。

ただしこれは日本語→中国語ではなく、英語→中国語です。

しばらく使ってみたところ、例文に使われる英文は平易なものが多いので、十分ストレスなく中国語の練習ができるように感じました。これはいいです!

ゼロから新しい言語を学ぶ上でとてもおすすめのアプリだと思います。これで効果があることを証明したいですね。

また、最近、金融日記で述べられていた学習方法、SRSも合わせて行うととても有効なのかと思います。

Duolingoで普通話・広東語共通の文法を学ぶ→広東語作文や音読をする→普通話の瞬間作文や音読をする

このバランスを、好きなように進める。

こんな感じで進めて行くのがいいかもしれません。もちろん、そのリソースを英語に振り分けて、英語を強化していくのもいいです。

最後は自分語りのようにもなってしまいましたが、何か参考になれば幸いです。

というか、香港について少しでも知ってもらえたらそれだけで嬉しいです。なんだかんだで、愛すべき香港人、街全体がエネルギッシュというのは本当で、とても楽しいですよ。ぜひ一度香港へ。

おしまい

PS

長く書いてしまいましたが、楽しんでいただけましたらいいねとかTwitter RT コメントとかいただけると嬉しいです!

しゅうまい拝

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