ノースフェイスのパーカーください。

中学校の頃、地元のタワレコでとにかく速いバンドが聞きたい!と思った。メロコアやハードコアパンクは通過していたのでひたすら速いバンドを聞いて部屋で暴れたかった。当時速いといえばドラゴンフォースやメタリカ、スレイヤーなどのイメージがあったがそういうバンドを一枚も聞いたことがなかった。折角だからこの機会に買ってやろうと思って、手に取ったのがアニメぽいジャケ。これはきっと速いはず、だってキャラが心臓持ってて若干グロいからな!そしてそれはComeback kidのturn it aroundだった。

速いバンドと思いつつも当時はビートダウンが全く理解できず、なんでここで落とすんだ…?と思い、あまり聞いていなかった。そして同時期に買ったFugaziも速くないという理由で全然効かなくなってしまった。

時間を経て好きになるCDは沢山あって高校へかけてはそれが多かった気がする。

高校2年の冬に初めてComeback Kidのライブを見に柏ALIVEへ行った。対バンはたしかfc five,verse,use my third armかな。ライブは勿論良かった。初めてのハードコアのライブだ。モッシュやダイブも動画で見たのとはまた違う緊張感があった。

そこで感じたのが、みんなパーカーやマウンテンパーカーがノースフェイスだったこと。運動部の高校生にノースフェイスなんて買えるわけない。特にオシャレでもなかった僕はユニクロにも行けてなかった。もっと言うと服屋に行くのも恥ずかしかった。当時の服装はたしかジーンズメイトで買ったよくわからんパーカーを着て見ていた気がする。その時感じたのは楽しみという感情よりも、みんな同じ服装で楽しそうだなって気持ちだった。

逆に自分が浮いていてはずかしかったのを覚えている。みんなと同じ格好出ないのが、少し悲しさもあった。みんなおしゃれだなって羨ましい気持ちと、自分は今浮いているんだなという気持ちが混じってライブ中過ごしていたのを今でも覚えている。今なら同じ格好を揃えられるし、モッシュのカルチャーもある程度わかる。けどその時の服装にカルチャーショックを受けたのを鮮明に覚えている。

その後もライブに色々行ったし、色々な現場を見てきた。でも同じ格好をしてもコミュニケーションが弱い自分に変わらない。結局、どんな格好をしようが自分は変わらないのだ。少し前の自分に伝えてもそれはわからないと思う。外見を変えてみて見つけたのは、中々自分は変えられないということなのかもしれない。


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