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【使用レビュー】プラチナ塗り名人キットのおはなし【シミラボ】

みなさまごきげんよう。しりゅうです。

突然ですが、皆さんはCPUグリスの塗り方、どうやっていますか?? 中央に盛ってクーラーで圧し潰したり、その派生のバッテンや五点盛りといった手法が多いのでしょうか。他にもグリス付属のヘラで伸ばしたり、そもそもグリスを使わず熱伝導シートを使う手もありますね。CPUクーラーによっては最初から塗布されていることもあるので、自作経験があってもグリスを塗る経験がないこともあるかと思います。

そもそもCPUとCPUクーラーの受熱部はお互い真の平面ではないので、間に空気が挟まり、それが熱伝導を妨げてせっかくのクーラーも冷却能力を発揮しきれません。そこで、空気の代わりにグリスを挟み込むことでCPUの熱をクーラーへと伝えやすくするのがグリスの役割です。そのため、CPU表面の金属板(この内側にCPUの本体であるシリコンのダイが収まっている)に広く薄くグリスを塗り、クーラーの受熱部と密着させる必要があります。
※参考動画 ドスパラのCPUグリス塗り方別の広がり方紹介動画
https://www.youtube.com/watch?v=AfDLzhqhVV8

グリスの塗り方と同じくらい、グリスの種類や選び方にも個人差が出る所だと思います。グリス自体の熱伝導性能だけでなく、広がりやすさや耐久性など様々な特徴の製品が出ているので、ここも個人の好みで選ぶ世界かと思っています。様々な情報から選ぶもよし、クーラーについて来たものをそのまま使うのもいいと思います。
※参考動画 OLIOSPECの生配信でCPUグリスの性能比較を紹介した回
https://www.youtube.com/watch?v=eTyRU2w0Dt8

さて、ここからが今回の本題。CPUグリスは塗り方も選び方も個人の好み、と書きましたが、せっかくPCを組んだのに、冷却能力を発揮しきれずに性能が落ちてしまうのはモッタイナイの極み。最近のCPUは熱の制御が優秀で、昔のように火を吹いたり突然落ちるようなことは起こりにくくなりましたが、その代わり出力を性能を絞って発熱を抑えようとするので、フルに性能を発揮出来ないまま動いていて、異変に気付かないこともしばしば。また、CPUの自動オーバークロック機能も冷却性能に依存するので、冷やせるPCは、性能も良くなるのです。

グリス自体の熱伝導性能は空気よりはいいものの、どうしても金属には劣ります(液体金属というものもありますが、手軽に扱えないので割愛) そのため、CPUとクーラー受熱部の間のグリスは薄いこと、そしてCPUと受熱部全体に広がってくれることが理想です。参考動画にも上げたとおり、中央に盛ったものを圧し潰すだけだと全体に行き渡りにくいので、バッテンや五点盛りをするのは理に適っているといえます。しかし、圧し潰す圧力はクーラーの固定方法によっても変わります。そもそも、出しすぎていると潰しても広がり切らず、分厚く残ってしまいます。

そこで、CPUの四辺をマスキングし、その中を薄く塗る手法があります。囲った面に塗り広げるので出しすぎても問題なく、足りなければ追加で出せばいいので、どんなグリスでも理想に近い塗り方になります。この一番のデメリットはとにかく面倒なこと。マスキングするだけでも手間なのに、小さなヘラでちまちま伸ばす作業は面倒で、慣れていなければ平均的に伸ばすことは難しいです。

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そんな面倒を解消し、手軽にマスキング塗りを実現できる製品が、今回使うプラチナ塗り名人キットです(やっと出てきた商品が出てきた……)
https://www.shinwa-sangyo.co.jp/products/new/2020/smz-timkit-02p
オーバークロッカーの清水貴裕さんが開発したグリスを塗るためのカードと、そのほかグリス塗りに役立つアイテムのセットです。
内容物によっていくつか種類がありますが、今回はAMD用のマスキングシールの入ったものを使います。グリスを塗り広げるカード、AMDCPUのサイズに合わせて切り出されたマスキングシート、グリスや表面をふき取るグリスクリーナーが入ったセットです。
グリスを塗るカードは、清水さんがいつもグリス塗りに使っているプラチナカードを模した金属調になっています。こちらの素材はプラなんですが、触った感触はちょっと不思議。色々なカードがありますが、それらともちょっと違う硬さとしなりを持っています。

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まず、マスキングシールをCPUにセットします。なるべく真ん中付近に、そしてしわにならないように。ここが一番時間かかりましたね……雑にやるとゆがんだり隙間からグリスお漏らししちゃうので、四辺全部が密着するように貼り付けましょうね。CPU表面からはみ出なければ、多少ゆがんでいる程度なら問題ないんですけどね。気分の問題です。

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貼れたらグリスを盛っていきまっす。カードを動かす方向を考え、それに合わせた感じで出します。上の写真で言えば左から右へカードを動かすつもりなので、左に寄せて一列に……出しすぎたなこれ??

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1回でキレイに塗ろうとせず最初は全体に広げ、それからカードを端から端までまっすぐ動かすことで、こんな風になります。出しすぎた分は不要な分が外側に逃げるので問題ないです。ポイントは、最後に全体をならすこと。これで、CPUの上にはマスキングテープの厚み分のグリスだけが残ります。
使ったグリスはSMZ-01R、通称猫グリスなので常温でも広げやすかったです。硬かったり粘りが強くグリスでも、一度に伸ばそうとせずマスキングの中を埋めるよう伸ばしていけば大丈夫だと思います。
マスキングシートが十分広いので、余裕をもって作業が出来るのも快適ポイントですね。自力マスキングだと、テープの幅によっては外にグリスを漏らしそうで怖いんですが、このマスキングシートならそんな心配もなし。

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マスキングを外すとこう。何か謎の筋が1本入ってますね……何か噛みこんでたのかな。このくらいなら影響ないでしょう、たぶん。あとは、CPUクーラーを乗せて固定して、おしまい。クーラーと馴染ませるために少しぐりぐりする程度で、あとはクーラーの固定力だけでキッチリ密着できます。

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横から見ても、どこもはみ出てきていないのでちょうどいい量をちょうどいい厚みで塗れていたことがわかると思います。

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マスキングシールは、上手い人なら何度か再利用できるそうなので、台紙に戻してグリスをふき取って保管してみようと思います。しかし次使うのっていつになるのやら……?? まあ何枚もセットになっているので、ダメでも問題ないのですが。
片づけていた時に気付いたんですが、このグリス塗りカード、金属質感を出すためか表面にヘアライン加工があるんですが、ふき取る際に微細なラインにグリスが残るんですよ。つまり、カードにグリスを保持するような働きがあって、これも塗る際の広げやすさに繋がっているのかな、とか想像しました(まったくのツルツルだと、カードとグリスが滑ってグリスの粘度によっては上手く広げられない気がする)

そんなこんなで、プラチナ塗り名人キットのおはなしでした。短くまとめるつもりが長くなってしまいましたが、手軽でいい感じにグリスを塗れるので、普段は盛って潰す派など他の派閥の方も、試してみると面白いと思います。特に、いいグリスを買った人はやってみて欲しいですね。それではごきげんよう。

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