【 白牡丹 】2人声劇

娘 【助けてくださった方にわたしは恋をした】

土方「怪我は無いか?」

娘 『お助け下さりありがとうございます。
         私は大丈夫でございます』

土方「この辺りは浪士が彷徨いておる
            出歩く時は充分気をつけよ」

娘 『そのように致します。あの宜しければお名前を』

土方「土方だ。私はこれで失礼する」

娘 【 そう仰った土方様は優しい眼をしていた。
          私はその瞳に惹かれ恋をした。
          お礼も言えずに数日がたった頃 】

娘 『あれは新撰組…あのお方は土方様?』

娘 【 隊服に身を包んだ土方様の眼はまるで
          鬼のようで
          私に気づいた土方様は
          気まずそうに目を逸らした】

娘 『土方様…先日は充分なお礼も言えず…』

土方「これを…」

娘「え?」

土方「では気をつけて帰りなさい」

娘『行ってしまった…これは…』

土方「白牡丹、月夜月夜に、染めて干し」

娘 『あ!私のかんざし…
         土方様は本当の自分を押し殺し
         鬼神の如く恐れられる鬼の副長。
         でも、わたしは分かっております。
         本当は心優しき方という事を…
         例え結ばれずとも、
         ずっとお慕い申しております』

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