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人生迷子を未来に導くM-1王者

「芸人新聞」創刊から13年目の夏。思ってもみないビッグサプライズが舞い降りた。

noteに上げていたこの新聞が銀シャリ橋本直さんの目に留まり、ポッドキャスト番組「銀シャリのおトぎばなし」で取り上げられたのだ。しかもちょっと紹介レベルの話ではない。作家・畠さんのジャーナリズムによる徹底した取材と隅々まで網羅した細かいクイズ、そしてその難問に挑み続ける銀シャリのお二人が丸々一時間の企画を生み出した。

その後note公式Xなどにも取り上げられ、大きな反響がありました。まさか芸人さんご本人の目に触れて、番組の企画になるだなんて。これからもこのマイメディアを発行し続けたいなと改めて思っています。

これは一年間のお笑いニュースをまとめた「芸人新聞」2023年度版の内容である。

前回取り上げていただいてから10カ月。
何か変わったかことがあったかと聞かれれば特にない。
世間では色々あるけれど、私、お笑いが好き。この気持ちも変わっていない。

ただその変わらない状況に至るまでには非常に多くの葛藤があった。
この番組に取り上げられた昨年8月から「私は何がやりたいの?」「どうしたいの?」と人生迷子モードに突入していた。

今の仕事を続けるのか、
副業で新しいことを始めるのか、
思い切って起業するのか…

今の仕事が嫌なわけではない。
上司はAマッソ、先輩はパンプキンポテトフライ、同期はバッテリィズが好きという信じられない環境で、これ以上合う職場はないのではないかと思っている。

でもずっとある。
雑誌を作りたいという夢が。
それを諦めきれない情熱が。

副業で夢に近づくならライターを始めようか。
ただ経験が重視される世界。そう簡単にやりたいことをできるわけでもない。

そして迷いに迷って
池上彰・著「なぜ僕らは働くのか」を熟読したほどには迷って
仕事ではなく環境を変えるという選択をした。

28歳にして一人暮らしを始めたのだ。

そして痛感した。「生活」には時間がかかる。
しめじは洗うのか洗わないのか、カビキラーは何に使えて何に使えないのか、ホッチキスの芯は燃えるのか燃えないのか…いちいち調べないと分からない。
本当に毎日自分を嫌いになるほど生きているだけで時間がかかる。
なかなかやりたいことを始められないまま一日、また一日と過ぎていった。

そんな日々の中で、とある雑誌のライター募集を見つけた。
経験不問で、副業という形でもできると書かれている。
こんな貴重なチャンスはない。とりあえず応募してみよう。
そう思って少しずつ準備を進め始めた。
就活以来初めて履歴書を書き、人生で初めて職務経歴書を書いた。
ただやりたいことの企画書を書きながら、何か違和感を覚え始めた。…これって自分でやればよくないかと。結局お笑いのことを書きたい。自分で作って発信すれば満足しそうじゃないか、と。

締め切り前日、集中して考え続け、気づくと深夜0時。
スマホを開くと銀シャリのオールナイトニッポンポッドキャストが更新されていた。そしてそのタイトルに驚愕した。

「芸人新聞クイズのお話」

はっきりしたオンエア日を知らなかったので状況が呑み込めなかった。
なんなら2度目はないかもしれないとさえ思っていた。

嬉しなり、夜中にすぐ聴いた。
すると銀シャリさんがさらに嬉しくなることを言ってくださっていた。

「これ売れるど」
「劇場とかに置いたらいい」
「キヨスクで売ってたら俺買ってまうで」
「これとビールで2時間半は持つで」

こんな光栄なことはない。

さらに「趣味でやってんねん」「これがすごい」
「手書きなのがいいのよ」というお言葉。

目の前の靄が急に晴れ、光が差してきた感覚だった。

趣味でやってるのがいい。
そういう良さに気づかせてくれた。
やっぱり、もっともっと新聞を極めたい。
このマイメディアを拡げていきたい。

ということで急旋回することにした。
ライター募集の企画書を閉じ、新聞の発信に力を入れることにしたのだった。
今ある武器をすべて持って、やれることをやってみよう。それが何かに繋がればこんなに嬉しいことはない。

人生迷子の入り口にいたのも出口にいたのも銀シャリさんだった。
恐らく、またやっぱり本物の雑誌を作りたいと思って再び迷う時が来るだろう。でも、大好きな人が「編集長」と呼んでくださることほど名誉なことはない。この気持ちを忘れたくない。

そしていつか新聞が劇場に置かれるようになったら、それはもう本望です。

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