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題のない

すべてが狭い

体も狭い
空も狭い
海も狭い
自然も狭い

限りなく感じられる音楽も
限りなく広い芸術も
無限と言われる創造も
無限に与える言葉も
ほぼわかっていないとされる宇宙

すべてがせまい

狭い体もたくさん出来ることがあり
狭い空もたくさんしていることがあり
狭い海もたくさん守っていることがあり
狭い自然もたくさん助けていることがあり
音楽は自分が知らない音で誰かを癒し
芸術は自分が知らない姿で誰かに感動を与え
創造は自分が知らない表現で誰かの背中を押し
宇宙はすべてを見せないことで興味を生み

なのに何故

こんなに窮屈なのか

こんなに自由で、十分なのに

窮屈だ

この空間さえも

この狭さが己の限界ととどまるか
過去よりもさらに広げるか

かつて、すべてが狭いと言った自分に皆は言った

これのどこが狭いのか!と
すべてを知らないから言えるのだ、と
ないものねだりだ、と
なんと欲が深いのか、と

そう言うモノたちは
毎日、自身の成り立ちを探り
毎日、自身と周りの繋がりを確認し
毎日、自身を追っていた

『窮屈だ』
ボソッと口から出た時だ
友が言った
『君にとってはそうだろう
 だが、私たちが在るためには広すぎるくらいだよ』

今は体を持つ友に同じことを言ったらなんと言うだろう

窮屈に思うたびに思い出す
その時は膨らませている空間を少し縮めてやる

今度は友が消えないように

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