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臓器の記憶

しろいとりでには


臓器が透けたふたつの体


わたしのて
あなたのむねに
あてる


神経が私の体に行き渡る


貴方の神経伝達は私にあの感覚を伝える



回転される最中
彼の顔を必死に見るわたし

「俺だけを見ていろ」

その他は流れる風景
目が回るから見なくていい

「俺だけを見ていればいい」

私は必死にしがみつくように
彼の顔だけを見ていた


頼りたくない
信頼など遠い
嫌悪感しかない


でも、今のこの瞬間の恐怖の終わりは
彼に委ねられている


彼を今だけ神様のように
思わなければいけない


どうしてこの人を
好きにならなければいけない?

どうしてこの人を
受け入れようとする?

なにが、なにが、なにが、なにが、、、


なにが、そんなに良いの?
この人はただの加害者なのに
わたしをころすくらいにきずつけた
心も体も羞恥心も、亡くなる感覚だった、、


顔だけを見ていろ?
じゃあ、回転をやめて。

顔だけを見ていればいい?
その親しみ一杯の笑顔はどんな心理、、
・・怖い。


私は彼の神経の伝達を感じながら泣いていた


「・・辛いなぁ。辛そうや。。あなた、、」


わたしは
その声の
かれをみた


「彼はあの彼ではなく知らない彼」


・・そう、心から、
実感する現在の私の心、、


彼は優しく悲しげに微笑む


「おいで」



誰の気配も気にせずに
誰の声にも引き留められることなく


わたしはかれのからだをだきしめた


彼の中に入る感覚



臓器が熱く動いている感触


えろは体内の全ての臓器の鼓動と熱、、


水、空、風、影、光、、

その感触からは得られない感触に感じた、


外の自然世界の感触には
ない
感触


「生きている命の鼓動の感触」


細胞と細胞が重なり合うと
音がする
熱が重なる

好む匂い
好まない匂い

寒気がする感触
包まれる柔らかな感触



それは胎児の記憶に似ていた、、



繕いを忘れたふたつの臓器の熱の重ね合い


臓器の感触の刺激に



わたしのこころはついていけなくて、、
















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