Bad End「愛玩」

これhttps://note.mu/siro463/n/n87cf50ac0cfcの蛇足

与えられた部屋の広さに、設備に驚いた。本当にここが昨日までいた地点と同じ異空間なのかと、驚きを隠せない。久しぶりに寝転んだベッドは、ひどく心地が良かった。今まで寝ていた床のかたさと痛さ、そして、隣に横たわっていた佐々木くんたちの顔が思い返される。
『裏切り者』。
佐々木くんの顔が歪み、こちらへと青い色を向ける光景が脳裏をよぎった。痛む胸を堪えながら、横で同じように寝ている羽山さんが頭を撫でるのを、甘んじて受け入れている。その口には微かながら笑みが浮かんでおり、緩やかな子守唄らしい歌を口ずさんでいた。言葉は聞き取れない。きっと、私の知らない言葉なんだろう。彼女はこれを聞いて育ったのだろうか。それとも、だれかに歌い聞かせてきたのだろうか。その口は、歌い慣れているような気がした。
羽山さんと、うっかり目が合う。黒い瞳が美しい。
「寝よう。明日も明後日も、戦いは続いていくから」
「……はい」
「おやすみ」
「おやすみなさい」
大丈夫だ。彼女の手を取る。彼女はこちらを振り払うことなく、握り返してきた。彼女についていけば、願いは叶わずとも生き残る事は出来るだろう。彼女の手腕ならば自らの力を余すことなく発揮出来るだろうし、役に立たないと思い悩む必要もない。自分の能力を恨むのはもううんざりだ。
死にたくない。今はそれが私の願い。

攻略ヒント
羽山さんは手を下ろしたものの、その手は赤く染まっていませんでした。

麦茶を買います。