見出し画像

Skillzのここに注目!

最近よくツイッターで見かける、$SKLZについてご紹介。

1)概要

Skillzは、サンフランシスコに本社がある、iOSとアンドロイドに対応した競技系モバイルゲームプラットフォーム会社です(記事では、eSportsと表されますが、いわゆる「スポーツ」以外のゲームも含むので、「競技系」と訳しました。)。

ゲーム開発者は、Skillzから無料SDKをダウンロードし、自分がデザインしたゲームを、世界中のユーザーが参加できる競技として提供できます。ユーザーは、トーナメントなどで勝ち賞金を稼ぐことができます。

創業は2012年と意外に古く、創業者の一人であるパラダイス氏は、過去に2回起業し、どちらも売却に成功。しかし、自分が立ち上げた会社が、他人の会社に吸収され後に残るのがお金の山、というのが嫌になり、今度は長期的に独立して運営できる企業を目指し、Skillzを創業。

当初、競技ゲームにはPCやコンソールが必要と考えられていて、50M売り上げるのに3年かかったものの、100Mに達するには7ヶ月だったとのこと(2017年5月)。創業時以来のゴールを、地道に着実に達成してきた様子が伺われます。Amazonやソニーも、後発でSkillzのようなサービスを展開しようとし、失敗したとのこと。

Skillzは、9月にSPACのFlying Eagle Acquisition Corporationと上場し、その後、12月16日に合併完了、銘柄名が$FEAC から$SKLZと変更になりました。なお、このEagle Acquisition Corporationは、DraftKing ($DKNG)も上場させた実績がある会社です。

以下、評価額は最新のもの、売上高などは9月30日までの数字です。S-1はこちら

評価額:7B
売上高:$60M(9ヶ月で売上高は$162.4M)
売上高成長率: +92%(Q3 2019 to 2020)
粗利率:95% (2020&2019 Q3)
Gross Marketplace Volume (流通取引総額) 成長率: +76% (2020&2019 Q3)
Net Loss:$42.8M (2019 $5M


1年間のトーナメント数:20億
ゲーム開発パートナー数:1000万人(Y to Y  +333%)
MAU (Monthly Active Users):270万人
PSRは29で、今の相場だとまだ安いのかもしれませんが、ワクチン摂取が増える来年春以降はどうなるかわかりません。

Engagementは62分(1日にユーザーがSkillzを利用する時間。プレゼン資料に掲載されていたので紹介しますが、それほど重要ではないと思われます)

画像2

モバイルゲーム市場は、2025年には、現在の2倍、1500億ドルに成長すると言われています。Skillzは今年、プラットフォーム上で開催される20億以上のトーナメントにより、参加費だけで16億ドルの売上があると予想しています。

Skillzは、NBA, NFLに所属するチームのオーナーからも資金調達しています。Fidelityなどを含む、大型投資家が約25%のSkillz株を所有していますが、合併完了後2年間は売却しないことになっています。

2) 収益構造

こちらに、2人のユーザーが競技した場合の売上が表示されています。 60セントのプレイ費2人分から、開発者への支払いや賞金などを差し引き、売上高総利益は15セント、プロダクトコストが4セントとなっています。

画像4

NPOと提携し、乳ガン治療の募金活動のトーナメントも開催。女性や中高年ユーザーを増やし、募金活動にSkillzを使用してもらう戦略も功を奏しています。

画像5

3)ビジネス拡大状況

NFL スーパーボウルチャンピオンのマーショーン・リンチやボクサーのフロイド・メイウェザーなどセレブが、トーナメントを運営するためにSkillzを選択、したためブランド価値のあるトーナメント提供が拡大。

世界最大のボウリングセンター運営会社であるBowlero社が、電子ボウリング場提供のためにSkillzを選択。

米国癌協会や米国赤十字社とのイベントを含む、主要な非営利団体のための大規模な参加型募金活動を支援(NPOとの連携については、後述)。

4)特徴

ゲーム参加が簡単で、チャンピオンシップやトーナメントで賞金を稼げる

”Skillz, eSports for Everyone”というキャッチフレーズの通り、Skillzユーザーのコメントには、「誰にでも使える。」「フォートナイトのように、慣れるまで時間がかからない。」「自分の両親でも使える。」と、使いやすさに言及するものが多く見受けられます。

画像1

実際にどんな競技ゲームがあるのか調べてみると、ビンゴ、ブラックジャック、風船割、パズル、フットボール、ビリヤードなど、シンプルなものが多いです。「ちょっと暇つぶしに」「待ち時間に」と、携帯でゲームをしたことがない世代でもプレイできます。

Skillzによると、トップ10人のユーザーは、10年間で3300万ドルの賞金を獲得し、その70%が女性。ユーザー構成を見ると、18歳から66歳以上の高齢者、低所得から中間層が多いようです。ROBLOX が若年層向けなのと対象的です。

Skillzが、自身をエンターテイメントだけでなく、収入源と位置付けている点は、ROBLOXと似ていますが、Skillzの場合、ユーザーはゲームを開発しなくても、ゲームで勝つことで賞金を稼げます。コロナ渦で就職の機会を失った人、外出自粛で通常の娯楽を楽しめない人、健康上の理由から好きなスポーツを実際にプレイできない人、自分がデザインしたゲームをトーナメント制で提供したい人、募金活動でより多くの資金を集めたい団体など、Skillzの成長の可能性は大きいですね。


画像3

公式のプレゼンを読むと、まだまだ紹介したい内容があるのですが、家人から白い目で見られないように、今日はこの辺で。

読んでいただきありがとうございました。

参考資料:

https://venturebeat.com/2020/09/02/competitive-mobile-game-maker-skillz-will-do-a-quick-ipo-at-3-5-billion-valuation/https://variety.com/2020/gaming/news/mobile-gaming-skillz-public-merger-harry-sloan-flying-eagle-1234864254/

https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1801661/000110465920101665/tm2029912d1_ex99-2.htm

https://www.marketwatch.com/story/mobile-games-platform-skillz-to-go-pubic-via-merger-with-spac-flying-eagle-acquisition-2020-09-02-6911722


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?