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「特捜班CI☆5」 ザ・プロフェッショナルズ

ものすごい男たちが今日も飛び出していく。「特捜班CI☆5」 はプロフェッショナルなアクション・ドラマなのだ!

「特捜班CI☆5 ザ・プロフェッショナルズ」が製作されてから30年近く経た現在でも “最高のアクション・ドラマ”と評されるのはなぜだろう? 派手な銃撃や爆発シーン、華麗なカーチェイスや殴り合いが毎回あるわけではない。主演は初老のオヤジと二人の男。 CI5が扱うのは、痴情のもつれや金銭のトラブルといった犯罪ではなく、テロ、機密書類の漏洩、暗殺、政府高官の汚職などで、相手もプロならこちらもプロ。 ドラマが放映された当時、コンビものということで 「刑事スタスキー&ハッチ」や潜入捜査を描いた「マイアミ・バイス」とよく比較されたそうだが、刑事ものであるこれらの作品とは土台が違う。
しばらくは「特捜版CI☆5」を思わせるドラマに出会えることはなかった。 ブライアン・クレメンスがクリエイターのひとりを務めていた「バグズ ハイテクスパイ作戦」くらいだろうか。

 やがて意外なところに後継者を見つける。 士郎正宗の傑作漫画「攻殻機動隊」である。 ここに登場する公安9課という組織は実にCI5に似ている。 中でもTVアニメシリーズ 「S.A.C.」は踏襲していて、聞けば脚本家はかなりこのドラマを研究し、ストーリーを練ったのだという。 まさに近未来版 CI5と言えるだろう。 最近は英国製のドラマ 「S.A.S 英国特殊部隊」シリーズがあるが、 一番似ていると思わせたのは 「24-TWENTY FOUR」である。 特に第4シリーズにおける核テロの恐怖とそれに対処するCTU (テロ対策ユニット) の活動。 1日を24エピソードで描く「24」 と、 正味50分程度でひとつの事件の顛末まで描く 「特捜版CI☆5」とは根本的に大きな違いがあるが、 絶対どこかで手本にしたに違いないと思わせる箇所がいくつかあるのだ。
瞬時の対応と、展開の速さ、 異常なまでの緊迫感。 もちろんジャック・バウワーはあまりに超人的であるが。
「特捜版CI☆5」を思わせる、あるいは影響を受けたであろう作品を見るにつけ、つくづく思うのはやはりこのドラマに優るものは未だ出ていないということ。 ひとつのエピソードに凝縮していた緊迫感。 脚本の素晴らしさもさることながら、少ない予算と過酷な条件で少しでも信憑性のあるもの、真実に近いものを作ろうと努力を惜しまなかったスタッフ&キャストには感服するしかない。 製作当時は冷戦時で、米ソに挟まれ微妙な位置にいた英国。 いや、 かつても、そして今現在も、英国は常に諜報戦の中心であり、様々な危機に直面している。 爆破事件は後を絶たず、先日も飛行機を狙ったテロが寸前に回避されたばかりだ。 今日もどこかで彼らのような組織が人知れず活動しているのであろうか? コーレイが常に言っていたこと、「連中が手榴弾のピンを抜く前に見つけろ! つぼみのうちに摘み取って花を咲かせる隙間を与えるな」 その指示を最高の部下が受ける。 ボーディとドイル。 二人はパートナー、コンビ、相棒、チーム、戦友、兄弟。 いなければならないときに常にそこにいて、 まずい状況になったら駆けつけ、瞬時に互いの意図を察することが出来る。 たとえフィクションであってもアクションは限りなくリアル。 全力で走れば顔はゆがみ息は切れ、ドアをぶち破れば腕は骨折し、車と衝突したら肋骨は折れ、塀から飛び降りれば足を捻挫する。 原爆が爆発直前でも、ビルが崩壊寸前でも、軽口をたたきながら平然と任務をこなし、褒美はパブでの一杯。 時には安月給を嘆き、デートをすっぽかし、上司への愚痴をこぼす。 決して表彰されることも、賛辞をうけることもない。 ヒーローではなくプロフェッショナルズを描いたドラマ。
それが 「特捜班CI☆5」なのだ。

特捜班CI☆5 ザ・プロフェッショナルズ  
THE BEST OPERATION DVD-BOX PART 2 封入小冊子に掲載
発売・販売:株式会社スティングレイ
企画協力・株式会社フィールドワークス
※2024年2月現在廃盤
配信なし
英国放映:1977年12月から1983年2月 全5シーズン 57話
日本放映:名古屋CBC他民放ローカル ミステリチャンネル

付記:今日に至るまで、私にとっての海外ドラマベストはこの作品。ボーディとドイルに勝るコンビなし。本当に愛してやまないベストチームです。

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