2択じゃなく理念で考える

1. 企業のマーケティングについての基本的発想についてマーケットインプロダクトアウトか、と言われる事がある。

マーケットインとは消費者といった買い手の立場に立って、彼らが必要とするものを提供して行こうとする考え方。

他方、プロダクトアウトとは作り手側の発想で商品開発・生産・販売といった活動を行うことを言う。

どちらかというとマーケットインが良しとされ、プロダクトアウトが自分勝手で悪いとする風潮の方が多いように思われる。

2. でもその発想自体が違うと思う。

例えば価格設定の問題。

作り手が消費者に提示する価格設定の方法には大きく分けて製造原価に一定のマージンを付けて価格を設定する①コスト志向的価格設定法、競業他社や業界のプライスリーダーの価格を基準に設定する②競争志向的価格設定法、コストよりも消費者の需要に重点をおいて価格を設定する③需要志向的価格設定法、がある。

①・②がプロダクトアウト的で③がマーケットイン的といえよう。

自分が見積で価格を考える場合、特に最近は従業員への賃金支払や待遇のことを考え、基本的に①をベースに行うが、付き合いの長いお得意様の依頼の仕事やリスクの多い仕事、付帯業務の多い仕事に関しては当然それらを加味した③をベースに行うこともある。またたまに嫌がらせともいえる価格競争をしつこく仕掛けてくる場合には、②をベースにすることもある。

そしてその時に自社が考える一番の基準は「本物の警備の提供」という自社の企業理念。

3. そういったことはすこし考えると当たり前の発想だと思う。

だってマーケットインばかりに目がいけば一部の高級品や高級サービス以外は客に媚びて安売りを極限まで追求したり、無料か低価格で付帯サービスを提供することになり、結果、従業員を低賃金・長時間労働を強いることになる。

またプロダクトアウトばかり重視すると、消費者不在の身勝手この上ない形となり、消費者から見放され、倒産の憂き目にあう事となる。

大切なのはその発想の奥にある理念なり価値観だと思う。それがしっかりしていれば場面・場面でマーケットインとプロダクトアウトを上手く組み合わせて適切なマーケティング活動ができると思う。

ジョブズが打ち出したiPhoneがなぜあそこまで世界の消費者を捉えたのは、マーケットインの発想も考えつつも、消費者に媚びず、「インターネット・イン・ユア・ポケット」と表現し、作り手の側から働きかけるプロダクトアウトの発想もあったこと、つまりは革新的なものを生み出して世界を変えるという彼の理念があったからだと思う。

警備の場合ちょっとやりにくい部分があるけど、自社も企業理念に基づいたマーケティングを心掛けたいと思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?