コロナになって。

コロナになってイベントごとは全て無くなった。楽しみにしていた旅行も外食もカラオケもいけなくなった。

連日ニュースでは若者の感染拡大を取り上げ、年寄りのコロナ感染は悲劇的に、若者のコロナ感染は自業自得だと非難する。
日本のバランスは逆三角形で年寄りの方が多いのに。
年寄りを守る為に今自分が自粛をしなければいけない。というスタンスにうんざりする。

20代、30代は働き盛り、テレワーク推奨だのテレワーク7割目指すだの言うが、テレワークなんてできる会社の方が少ないだろう。
特に私はしがない保育士なのだが、医療も福祉も人と関わる事が大半で、現場の人間はコロナにならないよう、時差出勤もできない環境で家と職場の往復しかしてない。

それなのに今日も朝早くから、年寄りが買い物カートやリュックを背負ってスーパーや薬局へ行くためにバスに乗っている。中にはマスクもしていない人もいる。
バスの中で10人中9人が高齢者だ。
開店と同時に店に行くのか、はたまた病院へ行くのかは分からないが、時間をズラすという選択肢はなかったのだろうか。
通勤しなければ行けない私と、定年し昼間に時間のある年寄り、どちらが気をつけるべきだろうか。

朝早くから長蛇の列をつくって買い物をする年寄りや家族連れを見ると「ただ非現実的な日常を楽しんでるだけ」のようにも見える。
朝からそれだけ混雑しているのだ、私が仕事で疲れ、買い物をして帰ろうと思っても終業後はお店に何もないのが現状で、米すら残っていない。
働くこともせず家で四六時中テレビを観てるか、散歩に行く程度の生活してるのに、そんなに食料が必要なのか甚だ疑問だ。

20代、30代,40代は感染経路が不明な事が多い、と、なんとかっていう専門家が言ってた。当たり前だ、その年齢は昼間に仕事をしているのだ。
電車もバスも使い、人混みの中を歩き、国民の義務である労働をおこなっているのだ。

瞬間移動して出勤してるわけじゃない。

全ての労働者が車やバイク、自転車で通勤するとでも思っているのか。
電車の中でもバスの中でもどこでも感染するリスクはあるし、コロナは場所も時間も配慮しない。

自粛で楽しみもない、美味しいものも食べられない、映画もライブもなく、服すら買いに行けない。
髪を切れば「こんな時に行くんだ」と心ない保護者から嫌味を言われる。

前回配られた給付金はその年の住民税に消えた。配るってそもそもなんだろうか?国はあげたつもりでいるのだろうか、そのお金だって結局は私たちの「税金」なのではないのか?

GOTOだって賢明な人間は思いとどまっていた。なのに、政府はイケイケとバブル並のテンションで推進した。
首都圏外に対するバイオテロの如く。

メディアでは今日も「若者が」「夜の街が」「飲食が」と政府じゃない「誰かに」責任をなすりつけている。
別に政治なんてどうでもいいし、今もどうでもいい。ほどほどに貯金をし、適度に仕事をして、楽しく遊ぶ。それだけでいいのに。

保育士をしてるとさまざまな理由で子どもを預けなければいけない家庭がある。そういう家の為にこちらはこの中でも開所してるんだ。けれど。

「昨日まで熱があったけどもう大丈夫です」って言いながら連れてくる保護者。
「昨日は動物園に行って来たんだ」という保護者。
「職場でコロナが出た」という保護者。

仕事だから笑って対応してるけど、本当は帰ってほしい。近寄らないでほしい。少しでもクラスターを起こす可能性を持ってる人は来ないでほしい。
預ける親御さんは今一度考えて、家で見れるなら自宅保育をしてほしい。

今日来ないと契約が切れるわけじゃありません。
そのネイルは今日、行かないとダメ出ますか?
そのカラーリングは今日、行かないと死ぬんですか?
公園も、動物園も映画館も逃げないですよ?
…と。不要不急の予定で子どもを預ける親に、唾を吐きたくなるのだ。

医者も看護師も人間で、保育士も施設のケアスタッフも人間なのに。人に尽くす事が仕事なのだろうと「自分ではやらない」誰かが言う。

ボランティアじゃない。仕事なんだ。
私が頑張ることで救われる家庭がある、そう思う事でなんとか仕事をしているんだ。テレワークできる企業とは違い、低賃金でハイリスクな現場にいるのに、現場に来ない経営者は「社会の役に立っている。報われる日が来る」と声高に叫ぶ。

仕事以外家から出る事なく自粛してるのに家庭内感染した児童から職場でうつる可能性がある。
通勤でうつる可能性だってある。

それなのに、ニュースで芸能人や政治家が仲間たちと集まって美味しいご飯を食べた!という話を聞くととても、とても悲しくなる。

遊ばず、好きなことを我慢して、頑張って、頑張った先に何が残るのだろうか。
何も生まれないし、何も残らない。
達成感もなければ、ただの日常がまた始まるだけなんだ。
これは自粛なんてしないで楽しく遊んだもの勝ちなのではないだろうか。

テレワークもできない会社に就職した奴が悪い、そんな風潮も少なからず目にする。

そういう奴は歳を取っても老人ホームを利用するな、病気になっても自力で治せ、子どもが生まれてもどこにも預けるな。
あなた達が何も困らずに生活できるのはそれを支える人たちがいるからだ。

ほんの僅かな、本当に大変な保護者のために保育士は頑張っている。
ギリギリの、本当にギリギリのところで…。
自分の事をおいて、頑張っている。
放課後デイも保育園も幼稚園も学童も心をすり減らして頑張っているのだ。

どうか、テレワークできない底辺職業ざまぁwと笑う前に自分の行動を顧みて、少しでも働いている人たちに迷惑をかけず、負担をかけず、粛々と生活をしてもらいたい。
私たちも人間なのだと、分かってもらいたい。

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